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2010年12月31日 (金)

浅田真央「愛の夢」

12月31日

浅田真央の「愛の夢」の感動について、26日のフリーを見たあとすぐに書きたかったが、なかなか言葉が出てこなかった。これは、そのオマージュのための、個人的な感覚の覚書である。

リストの「愛の夢」を聞くと、どうしても、この曲で踊っていらした大野一雄先生の姿が見えて来て涙が出て来てしまう。戦争で数多くの死者を葬送し、地獄の中から生き延びてきた大野一雄先生の、あの大きな手の指の震えと、慟哭と無言の祈りと幻想と・・・圧倒的な慈しみの「愛の夢」・・・・

浅田真央の「愛の夢」は、大野一雄先生とは全く違った、若い植物のような、研ぎ澄まされた精緻なきらめきを感じさせた。

到達不可能なところへ到達しようとする希求。このストイックな孤独が胸を打つのだろうか。

青ざめたモーヴ色の薄い香気。ヒヤシンスの、甘くない不思議な香り。ダイアモンドリリーや薄紫のヒヤシンスの、半透明のガラスのような細胞質のきらめき。

霜の、霧の、見えないベールが時折なびいては消えて行った。

余計なブレのない、しなやかだが静謐で硬質な美しさ。植物のきらきらした細胞質の彫刻。

今年の最後に、このようなストイックで端正なものを見せてもらえたことは非常にありがたいことです。

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