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2013年3月16日 (土)

高橋大輔 『月光』 / チューリップ(エステラ・ラインヴェルト) / 浅井先生ががんセンターをやめると聞く

3月16日

今日の夜は高橋大輔の最後の世界フィギュアのフリーと思うと淋しい。

2日前のショートの『月光』。勝つためにこの曲にかえた、そうでなければかえないと本人が言っていたが、本当に素晴らしかった。

ロックンロールメドレーもいいが、この『月光』はそれよりもずっと高橋大輔の凄み、深み、身体芸術ともいうべき確たるものが際立って見えた。今の高橋の深さにはこれくらいのシリアスで壮麗な曲が必要ということなのか。

新しい黒のシンプルな衣装は月の光とたわむれる夜の空気の精のよう。高橋の細い腰、体線をきれいに見せ、しなやかな身体の動きを見せるのにぴったりだ。

見ているほうはすごく緊張したが、曲が始まってからの高橋はすうっと吸い込まれるように自分と曲の世界にはいっていて、緊張や固さは感じられず、最初から光を放っていた。

四大陸のあとは凄まじいというほどの練習ぶりだったというが、どれだけの練習をこなしたらこうなるのか、と感心するほど落ち着いていて、人間の身体がすうっと作品に変わっていった。

この曲を自分のものにしているというよりも、曲に奏でられ、身体の中から音が溢れ出していて、そこには時間でない時間が流れた。

音を受容しながらも音を操り、奏で、もはやどういう技をやっているとか何かを演じているとは感じさせない状態。

キアスム。まさに終わりのない反転運動としての「主客未分の」状態(時間)。

ゆっくり重々しく始まり、静かに、しなやかに空間をたっぷりと見せながら、後半は怒涛のステップ。世界一のステップという言葉を超えてしまって身体が透明で激しく強靭な音を共鳴させた。

藍色のさざ波。大きな空間のうねり、どよめき。こんなに速く、激しく、美しいステップがあったろうか。

終わった瞬間の高橋大輔のなんとも嬉しそうな顔。すっとリンクの中央に滑って両手を掲げたときの、口を軽く結んだ微笑の、なんとも誇らしく晴れやかな美貌。

やった、やった!というよりも、ふっと力が抜けたような、真にやるべきことをやれてほっとした、という微笑が美しかった。

現行のフィギュアスケートの採点法では、今回の高橋の演技は、ジャンプの回転不足をとられたことが大きくひびいた。けれどそれは、ある時代のあるスポーツ文化の、ある決まりごととしての採点法での点数である。

あれだけのステップ、あれだけの全身を大きく激しく使ってのスケートがどれだけのドラマを見せてくれ、見るものの記憶を掻き見出し、詩情を感じさせるかは、あくまで一要素としてしか採点されないのだが、私はそちらのほうに評価を重く置く(もちろんこれだけのすごいことをやって見せてくれているのだから勝って笑顔を見せてほしいけれども)。

将来5回転をバンバン飛ぶような選手が出てきたとしても、高橋大輔のようにフィギュアスケートを身体芸術として見せてくれるような選手はもう二度と現れないと思う。

絶対的なものはどこにもないが、その儚さを瞬間、刹那の中に見せること。それがわかっているから、それをやれている苦しくも最高の瞬きの時間を体感しているから、高橋は終わった直後、あんな甘やかな微笑を見せた。

この日の空にはシロツメクサのような、細い爪のような鋭く繊細な月が輝いていた。

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3月15日

国立がんセンター。生理二日目なのに血液を4本抜かれて気分的に弱っているところに、主治医の浅井昌大先生の口からこの3月で国立がんセンターを退職されることを聞いて大ショック。執刀していただいてから長年ずっとお世話になっているとても信頼している先生だ。

鎌ヶ谷の病院に移られるとのこと。鎌ヶ谷ってどこだっけ?と思ったが、都営浅草線で直通の千葉の成田方面、と言われた。

10年くらい前に浅井先生が3年くらい千葉の姉ヶ崎の山の上にある病院に移られた時も、たいへん遠かったけれどそっちに通った(切り崩された山の方には人家もなく、海の方はすごい工業地帯で怖いみたいなところだった。しかし林の奥の道を抜けると100年も変わっていないような昔からの里山があったりした)。その時にくらべたらまだ近い。

浅井先生は静かな声でしゃべる人で、すっきりした頭のいい雰囲気のまま歳をとらない。昔から少しも変わっていない。(確か萬屋錦之助や勝新太郎も浅井先生が執刀したのだ。有名な先生ですごく人気があった。)とにかく命の恩人だし、大好きな先生なのでついて行こうと思う。

3月13日

N病院の帰り花屋に寄ったら、エステラ・ラインヴェルトが3本残っていた。おととい私が7本買ってから誰も買っていなかったのだと思う。その3本を買って帰った。

3月11日

チューリップ(エステラ・ラインヴェルト)パロット咲き Parrot Tulip Estella Rijnveld 3月11日

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誰がつけたのだろう。エステラ・ラインヴェルトという凛とした名前を。

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エステラとは星のこと。花の真ん中に薄青紫の星のかたちが見える。

N病院の帰り、オランダ屋に行っていつものようにっチューリップの入荷をチェックしたら、もう14年くらい毎年さがし続けていたパロット咲きのチューリップ、エステラ・ラインヴェルトがはいっていたので眼を疑った。

本当に毎年見られる限りの花屋を、この花をさがして歩いて、花卉市場にまで行ったこともあったがめぐり会えなかった。一本210円。かたちが変わっているものを選んで7本買った。

この花の特徴はパロット咲きチューリップの中でも花弁の裂が深くて、花弁の捩じれや折れ曲がりや外側のこぶもはっきりしていて、予想を超えた奇妙な美しい線を見せてくれることである。肉厚の花弁に白地に濃いフーシャピンクの愛らしい縞。

帰宅してから夢中で水彩で描いていたら朝になってしまった。

3月9日

震災からもうすぐ2年、各地で反原発デモをやっている。私も明治公園の「さよなら原発」集会に行きたかったのだが、腰痛で断念。最近、背中と肩と腰がひどく痛い。

黄砂や砂ほこりのせいか外に出ると顔の皮膚も痛い。

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