宮沢賢治の世界 / 『ジャッキー・デリダの墓』
4月26日
「宮沢賢治の世界」(レクチャー、朗読、中世の古楽器演奏)を聞きに行く。
「永訣の朝」の真ん中あたりの「・・・・・・ふたきれのみかげせきざいに/みぞれはさびしくたまってゐる/わたくしはそのうへにあぶなくたち/雪と水とのまっしろな二相系をたもち」という部分の「たもち」という語は、何をたもっているのか。何がたもたれようとしているのか。
「永訣の朝」には、そこ以外に「みぞれ」「雪」「あめゆじゆ」という語が何回もでてくるが、ここだけが「雪と水とのまっしろな二相系をたもち」と書かれている。
『春と修羅』にも「ここまでたもちつゞけられたかげとひかりのひとくさりづつそのとほりの心象スケツチです」という一節があり、たもつことが難しいものをたもっているのだ、というレクチャーの言葉が心に残った。
野口田鶴子さんの「無声慟哭三部作」と言われる「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」、さらに「風林」「白い鳥」「手紙4」「イーハトヴの氷霧」「冬と銀河ステーション」の朗読とSally Lunnさんの中世古楽器の演奏。
2時間超のプログラムが終了したら夕方になっていた。食事する店をさがして広尾の散歩街を抜けて有栖川記念公園のほうへと歩いて行った。外国人で賑わっているちょっとハイソな店が多くてはいれるところがなかった。
牡丹はもう花びらが失われて花芯が小さなキャンドルのように膨らんでいた。石楠花の極彩色が坂の斜面に爛れていた。
崩れた塀の前にに春女苑や蒲公英が乱れ咲く裏路地を抜け、隅へ、隅へと歩を進めて行ったら、地名が「南麻布」になり、「西麻布」になり、「まずいよ。どんどん高級な場所に歩いて来ちゃってる。」と焦って広尾の駅前に戻ると、庶民的な店「寿司三崎丸」を発見。
ちょうど一貫88円セールをやっていた。生グレープフルーツサワー。
4月25日
PMSがひどく首、肩、背中が痺れるほど固まってしまったので、星状神経ブロック注射を打ちに行く。先週と先々週も打っていて、その時は何事もなく快適に緊張が寛解したのだが、今回は効いてきた実感のあとに喉が締め付けられる感じで呼吸困難になってしまった。
この注射で呼吸困難になったのはこれで4,5回目なので、あまり気にしていない。1時間くらい発語不能になり、涙でぐちゃぐちゃでケホケホ、ハアハアする状態にはなるが、完全に呼吸ができなくなるわけではなく、気道が押さえつけられる感じ。首、肩、背中の痛みは劇的になくなるので、この有効性を考えるとたまにある危険は我慢できる。
1時間寝かせてもらっていて、少しふらつきながらクリニックを出、その足て治療院に行き、首、肩、腰、脚をもんでもらった。私の場合、星状神経ブロックで首や肩がやや弛緩したあとにマッサージしてもらっても、まだ固いしこりがいくつもあり、がちがちだと治療師さんに言われる。
4月24日
鵜飼哲さんから新著『ジャッキー・デリダの墓』が届く。
LE TOMBEAU DE JACKIE DERRIDA by Satoshi Ukai
少しずつ読ませていただきます。
4月23日
東中野へ。
橋をこえた先の白い八重椿はぼたぼたと落ち、細道の赤い八重のチューリップは外側に反り返り始めた。
古い写真を2L用ミニアルバムに移して数枚持っていく。そのアルバムにもともとはいっていた私の笑顔の写真と、私の絵の写真に反応があった。
「これ、私の描いた絵。」と言うと「いいねえ。」と。
4月22日
本の原稿の手伝いの仕事で新宿へ。Mで食事。3月からずっと整理していたネガの一部をデータ化サービスに出す。私にとってとても大切な人たちの映っている写真を厳選したのでとても重いデータと料金も高いStoregeを選んだ。
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