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2017年2月

2017年2月28日 (火)

本郷理華 「カルミナ・ブラーナ」 ・ 宇野昌磨 /  絵の撮影

2月26日

フィギュアスケート四大陸とアジア選手権が終わった。

本郷理華のSP「カルミナ・ブラーナ」の個人的な印象。

・・

「おお、フォルトゥナ!運命の女神よ。月のように、姿は移り変わり、……」

だがそれは、言葉ではない。無言の全重量と釣り合う、もはや誰のものでもない叫び。
合唱という匿名性によって名ざされ、召喚される、いまだ名もなきものの怒りにも似た静寂。
その魂ととともに立ち上がり、長い腕を掲げて天を仰ぐ出だしから、私はぐっと引き込まれた。

それからなよやかに、ひそやかに、冷たい水の中をすべってゆく銀の細い魚のように、

天から零れ落ちてくるなにかを、手を伸ばして受けるように、

空気に舞う風媒の種子たちに触れるように、

あるいは中空に無言で語りかけ、自らの思いを差し出すように、

きわめて優雅に、麗しく、かつ伸びやかに、誰かの記憶に息を吹き込む

「常に満ち、欠け、生は忌まわしく無情に、時に戯れに癒して、貧困も、権力も、氷のように溶かしてしまう……」

古い建物の窓のすりガラスの光、ずっと揺れている、震えている灰色の細い木々の重なり、

記憶の中の、淋しく、なつかしい薄暗い風景のなかに、

時折、見え隠れしていた、なまめかしく、生命的なもの、

危うく無防備でありながら、誰にも触れられない、傷つけられないもの、

私はずっと覚えていて、いつでもそこに戻っていけるのだと告げるように、

刻々と移り変わる薄明光の階の下で、

鳥が一斉に飛び立つ羽音を聞き、旋回する影と交差しながら、

そして強い風にさらされて翻弄されながらも、その風に乗って、どこまでも遠くまで未知の場所に流離っていくように、

そんな女性的な、なにかとても美しいものを見ていた。

・・

私は、本郷選手の中で、このプログラムが一番好きだ。

彼女の端麗さが非常に際立つプログラムだと思う。

ジャンプの失敗はあったが、表現はとても洗練されてよくなっていると思う。

若く瑞々しい選手の、まさに表現が大人になる時に、ちょうどスランプの危機が来ることが非常に悩ましく、いとおしくも切なくなる競技だ。

夏から足首の怪我があったらしいが、今、跳べないのが精神的なものであるならば、次はよくなりますように、心より復活を願っています。

・・・・

男子は4回転ジャンプ合戦になったが、やはり宇野昌磨の表現に引き込まれた。

彼の演技はいつも、めくるめく情景を見せてくれる。

人それぞれの体験の重さ、想いの丈の際だった瞬間、その記憶、感覚を呼び覚ましてくれる喚起力がある。

2月24日

次の本の制作のための、絵の撮影。

1:30にカメラマンの糸井さん宅へ。

外の光はカーテンで遮断して(真っ暗ではなく、自然に薄暗い昼間の感じ)、ストロボは3つ。

前回の最後に撮影していただいた感じがすごくよかったので、今回の撮影の光のあてかたもそれに近くなるように、4回ほど光を微妙に調整して撮影していただく。

銀箔が全体にフラットに白っぽくなりすぎないように、斜め上に軽くスポットを当てて、絵の下側に行くにつれて少し暗い色になるように、銀の質感が生々しく出るようにしていただいた。

絵の線描が全部、バランスよく見えるように撮るのはセオリーだが、強い太陽光の下ではなく、そんなに明るくない小さな部屋の壁に掛けられているのを見ているリアルな感じを希望した。

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糸井さんは、光の違いによる絵の見えかたの微妙なニュアンス、雰囲気の違いを、とても理解してくれて話がすっと通じるので、初対面から仕事がすごくやりやすい。

万一、追加で新作を撮ってもらうことがあるかもしれないことを想定して、ストロボの出力など、今回の設定を記録しておいていただく。

途中、3:30頃、撮影予定だった絵が一枚足りないことに気づく。

Mに電話して、事務所から届けてもらった。Mは一時間後に到着。駅で待っていたら、急にすごく冷え込んできて、胃が痛くなった。

この時の冷えによって、次の日、吐いてしまい、一日具合が悪かった。撮影終了後に、Mと駅前の居酒屋に入り、空腹に梅干しサワーを飲んだのがよくなかったのかもしれない。

風邪やインフルだったらどうしようと焦って、友人に連絡し、会う予定を延期してもらったが、結局風邪ではなく、ただ胃腸の調子を崩しただけだったのでよかった。

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2017年2月17日 (金)

絵の再生 / S・Yさんと会う / M・Mさんと会う / 母また熱 /ネットと電話、どうにか復活

2月16日

以前に絵を買っていただいたS・Yさんに、お借りしていて再生した絵を引き渡す。

〈薔薇の貌〉(2012)

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以前から気になっていた完全禁煙のヴィーガンカフェに行って一緒にランチを食べた。

天井からたくさんのドライフラワーがぶら下がっているこぎれいな店。

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この店の中にはとてもドライフラワーが多いのだが、一か所だけ生のチューリップが活けてあることに、とても眼を惹かれた。

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紅花のドライフラワーの隣に、葉がなくて丈の短い生のチューリップが活けてあった。沈んだ黒紫色の花と、その補色の快活な黄色の花と、八重の華麗な花と。

私にとってチューリップは特別に反応してしまう花。かわいく明るいイメージではなく、妖しく謎めいたイメージ。
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・・・

最近、次の本に載せるために、以前に描いた絵の加筆(再生)をしていた。修理や補修というべきではなく、絵が、日々、刻々と新たに生まれるための命を吹き込む作業というべきだと思うので、的確な言葉を模索している。

薫泥と黒泥を使っての加筆。その上から銀のこれ以上の急激な腐蝕を止めるための保護膜を張る。

<鬱金香――種村季弘に。>(2004)。この絵は、枯れたチューリップを見て、そのまま描いたもの。私は具象、抽象の区別をつけない。

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<Thisle>(2005)
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私とともに、私よりもゆっくり遅れて、あるいは私を待ちかまえているように、絵が朽ちて変化していくのは自然なことで、時間による生きている変化を含めてこそ作品だと思う。

しかし上に重ねていた薄紙が貼りついてしまっていたり、変なふうに目立つ剥落の部分だけ、ほんの少し加筆(再生)をした。

2月11日

宅配便でNTTからルーターが送られて来、本体と電源アダプタとモジュラーケーブルなどを自分ですべて交換し、(認証IDとパスワードが不明でちょっとごたごたしたが)初期登録をやりなおしたら、ネットと電話が復活。

(昨年の10月から何度もNTTやOCNに、通信の具合が悪いことを電話していたのに、もっと早くルーターを送ってくれればよかったのに、と思う。)

自分で全部操作したので、修理料金はただになった。

もし、ルーターを交換して直らなければ、壁の中を工事しなければならないかも、と言われて、すごく不安だったのだが、ほっとした。

ただ、メールの具合はおかしい。画像添付したものが送信できない。

OCNに相談すると、セキュリティソフトが効いているせいだと言われた。

2月9日

冷たい霙。こんな寒い日に母を病院に連れて行っていただくことが心配でたまらなかった。

午後2時。施設から電話があったが、通信の具合がおかしいので、出た瞬間に切れてしまった。すぐ外に出て、公衆電話からかけなおした。

母の熱が下がったこと、S病院に連れて行っていただいた結果、また少し炎症反応はあるが、肺炎でもインフルでもないとのこと。

本当に今度は危険なのではないかと、心配ですごく胸が苦しかったが、とりあえずほっとした。

また施設職員さんたちのおかげで、命拾いをさせていただいた。

2月8日

朝、M・Mさんの熱が平熱まで下がったと言うので、夕方4時頃会う。彼女とは初対面だ。

「運命に逆らって、会えた。」とM・Mさんは喜んでいた。

つくっていた布花を渡す。

M・Mさんは、東京出身で、今、大阪に住んでいる年下の絵の好きな女性だ。

彼女は(私とは部位が違う)がんの手術を経験して、今ちょうど1年。

ブログの暗い印象よりも、実物の彼女はずっと元気そうに見える。

内心の苦しさと見た目の元気さのギャップ、それによって周囲からいたわられないことも彼女の深刻な悩みのようだ。

私もがんを経験している。しかし違う部位のがんを経験したばかりの若い女性に、どういう言葉をかけていいのかわからない。人それぞれにがんの症状やタイプ、闘病の環境も違うので、なんと言っていいのか、非常に悩ましい。

ただ、がんそのものと向きあうより、出来る範囲で自分の本当にやりたいことと向きあったほうが、免疫活性にのためによいのではないか、と私自身の経験からは思う。

・・・

夜、また、母が熱を出したことを知らされる。明日、病院に連れて行ってインフルなのか診てもらうとのこと。

先日、高熱を出したが肺炎でもインフルでもなく、なんとか命拾いさせていただいたのに、また同じ症状。とても不安でいたたまれなくなる。

メールも電話も通信不能の時に、母の具合が悪いことにとても苦しむ。

2月7日

ものすごい北風。とにかく寒い。

朝、今日、会う約束をしていたM・Mさんから電話。なんと早朝から38度の熱を出したと言う。

「這ってでも行って会いたい。」と言われて、なんと答えていいのか非常に困る。私も会いたいが、私はすごく弱くて熱を出しやすい。

今、私が風邪をひいてしまったら施設にいる母にも会いに行けないし、自分の仕事も滞ってしまう。また、私が手伝いをしてもらっている友人にうつったら、友人の仕事関係すべての人に迷惑がかかる。

その後、すぐに電話もネット(メール)も不通になる。

ほとんど不通なのだが、ごくたまにメールが送受信できるので、「きょうはすごく冷たい北風だから、とにかく明日以降にしましょう。」と通信。

OCNテクニカルサポートに公衆電話から連絡。なかなか通じなくて長く公衆電話ボックスにいると、道を通行中の人からは奇異な目で見られているようだ。

2月6日

昨年の10月くらいから、ひかり電話が通話中に急に切れて無音になったり、受話器を上げて番号をプッシュしてもかけることができなかったりすることがたまにあり、それがだんだん頻繁になって困っていた。

昨年から何度かOCNテクニカルサポートに電話したが、ルーターの再起動をするくらいで、きょうまでだましだましやってきた。

今日、ついに、電話だけでなく、PCのインターネットまでがほとんど通じなくなる。

(「ほとんど」というのは、たまに一瞬通じる時があるからだ。)

私は携帯を持ってないので、電話もメールも誰とも通信できない状態。

公衆電話からOCNテクニカルサポートに電話。

とりあえず壁からの線を抜いてルーターを再起動してみてくれとのこと。

訪問修理になると、訪問費用7500円を含め、最高で3万円かかるかもしれないと言われた。

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2017年2月14日 (火)

布花(染め花) パンジー / 膠絵の再生

2月6日

インターネットアクセスがおかしく、ひかり電話もメールも通じない。

・・・・

外では、どの路地を歩いても、北風に震えながらかわいいパンジーが咲きそろっている。

菫や三色菫は、この時期、愛おしくてたまらない。

光だけが春を告げる極寒のこの時期、布花をつくりたい衝動にかられてしまい、パンジーをつくった。

(ネットが通じなくて、仕事ができないことを自分への言い訳にして、しばし趣味にのめりこむ。)

私はまったく布花を習ったこともなく、去年から適当に始めたので、型紙もとらず、いきなりはさみで布を花びらのかたちに切って、染料とコテで、自分の感覚でつくっている。

布花は、染料の混色の反応とぼかしのやりかたによって微妙なニュアンス、自分の憧れのイメージの花の象徴的な雰囲気がつくれることが面白い。

子どもの頃に、狭い空き地や川の土手で、花を夢中で摘んでいた時の感覚。

イングランド各地で見たアンティーク市の隅っこで見つけた、古色を帯びた無数のちっちゃな手工芸の宝物の記憶。外国映画で見た昔の婦人や少女たちの服飾。

見て、触れて、素敵だったものの記憶や、憧れから、自分の中で醸し出されたイメージ。

パンジーの布花をつくるのは、これが初めてだ。

自分が菫(スミレ)の雰囲気を感じるイメージは(PC画面だとどう映っているかわからないが)、たぶんこんな色。幼い頃から大好きな濡れたビロードのような深い紫。

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暗い紫のパンジーたち。なるべくヴィンテージ風に、くすんだ色に抑えた。

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黒に近いパンジー。

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青味がかった小ぶりの花のヴァリエーション。

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下は少し赤味がかった紫のパンジー。

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私はものをつくり始めると、いろんなヴァリエーションをつくってみたい欲が止まらなくなる。

枯れて渋いのと、ちょっとかわいらしい感じのと、茶色系やいろいろのパンジーをつくった。

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薄い黄色、ベージュ、サーモン、オレンジ、薄紫の淡い夕焼けのようなぼかしのパンジー。Sdsc00264

淡い色あいの小さなパンジーいろいろ。
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7日に初めて会うことを約束している年下の女性M・Mさんは緑が好きだと言っていたので、緑の小さな薔薇もつくった。

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1月31日

きょうは気温が急上昇で20度。

カメラを持って、外をふらふら、植物を見て歩いた。

香りのよい紅梅が満開。素敵な木枠の窓の家。

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椿はちらほら咲き始めていた。

山茶花は、椿より脆そうなひらひらした花で、少しの北風にも散りそうなのに、11月から咲いていて、まだ散らない花が残っていた。見た目より強い花。

パンジーは三原色を混ぜたあらゆる色合いの花がある。

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菫らしい紫の花も無限に微妙なニュアンスの紫があり、花びらの裏やふちに空色が光って見えるのがすごくきれい。

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このヴィオラも、ふちは白く、ぼかしがきれい。

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細い裂(菊咲き)の花びらのアネモネモナーク。

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昔、ルドゥテが描いた花びらが細い裂になっているアネモネの絵を見て、なんて素敵な花だろうと思った。

その当時は花屋でもこの菊咲きのアネモネ・モナークは見なかった。たいていアネモネ・デカンか、アネモネ・モナリザばかりだった。

20年前くらいからアネモネ・モナークは球根や切り花でも売っているようになった。

とても繊細できれいな花。

・・・・

昔、描いた絵の、経年により傷ついた部分を加筆(再生)。

久しぶりに薫銀泥と黒泥を溶いた。

うまく絵の具がのるか不安だったが、やってみたら思っていたよりずっとうまくいった。

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