早摘みオリーブオイルの味
12月5日
11月の半ばに新宿から自宅に戻ってからずっと毎日、イタリアのチナミさんが送ってきてくださったオリーブオイルや全粒粉パスタ、そしてイタリア産サフランや乾燥ポルチーニを使った料理を食べている。
チナミさんから届いた、私の帰国後すぐに摘まれたウンブリアの早摘みオリーブのオイルを口にした時、それは大きな衝撃だった。

果実と同じ濃さの緑の色。よくわかるようにお猪口に入れてみた。
イタリアのチナミさん宅のすぐ近くの斜面のオリーブ畑を散歩しながら、よく青いオリーブの実を一粒もいでかじってみたものだ。
固いオリーブの実に歯を立てると、渋みと辛さで舌が痺れ、咽喉はひりひりし、とても一粒全部をかみ砕けるような優しい味ではなかった。
早摘みオリーブのオイルは、固くて青いオリーブの果実をかじった時のほとばしる汁の味、そのまま。
油というよりも強烈に青くて痺れる果汁、植物の生命力そのものだ。
パンにつけるのもおいしいが、そのまま飲んでもおいしい。顔や手につけると乾燥した肌がすべすべになる。
この味を知ってしまうと、偽物オリーブオイルは耐えられなくなりそう。
ポルチーニはふやかしてから、エビ、牡蠣、ニンニク、シイタケ、インゲン、ブロッコリーなどと一緒にパントリークリーム仕立てのパスタにしている。クリームと絶妙に合い、ほんの少しでも強い香りとうまみが出る。
やはりイタリア、ウンブリアのCitta della Pieve産のサフラン。これで魚介と野菜のパエリアを作って食べている。

具材はやはりエビ、牡蠣、ホタテ、アサリ、ニンニク、ミニトマト、シイタケ、シメジ、インゲン、ブロッコリー、赤ピーマンなど。無農薬秋田こまちの玄米で作る。
私の場合、一切の肉関係を入れずに、ほとんどの料理に必ず粉末昆布を入れる。
夕方に一回しか調理しないが、チナミさんのおかげで食生活がすごく充実していて、ずっとイタリアの鮮やかな思い出を反芻している。
12月4日
24℃。12月というのに、なまめいた南風の日だった。
薄着で冬を歩きたくて、白いブラウスの上に暗緑色の綿のコートをはおり、夜、暗渠近くの裏通りを散歩。
今年の3月末に、爛漫の花を垂らしていた薄紅の枝垂れ桜の樹、その隣にもっと淡い色の枝垂れ桜、さらに可憐なユスラウメ、乙女椿と、並んで笑いさざめく少女たちのような樹が、この秋に全部根こそぎ抜かれて更地になってしまった、ただの黒茶色だけの春日医院の跡地。
あれだけの見事な枝垂れを。
その斜め向かいのかつて仕立て屋かなにかのかわいい木枠窓の店だったところ周辺の更地。
さらに向かいの、20年前に何度か通った、棕櫚の樹のあった古い婦人科医院の更地。
このあたり一帯の何十年も培われて醸成したような植物たちが古い家とともに潰されて消えてしまった。
とても淋しい。
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