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2023年11月 7日 (火)

GALLERY工での個展の記録 9日目(11月2日)

11月2日(木)

12時オープンの少し前に着いたら、中で味戸ケイコさんが待っていてくださって大感激。今日もいきなり泣きそうになる。

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私が少女の頃、味戸ケイコさんの絵が掲載された本を見ることができたこと、その当時はもちろん、それから年月を経ても少しずつでもそれらを集めることができたことが、どれほど今の私を支えていてくれるかしれない。

味戸さんの画集と一番好きな絵本『あの子が見える』を用意してお話ししていただいた。

味戸さんはご自分の絵を暗いとおっしゃったりするのだが、私はそう感じたことは一度もない。

「前にもそう言ってくれたわね。」

「はい。全然暗いとは感じなくて、むしろ感覚的にすごくしっくりと共感出来て、限りなく温かい闇とか。靄とか、霧とか・・。」

「私も霧や靄が好き。雨の日とか。」

「そう!私もカンカン照りは苦手で雨の日が好きです。植物が濡れて、雫がこぼれたり風に散ったり。」

味戸ケイコさんは本当に鉛筆の感触を大切に描かれていて、そのタッチにすごい深みと陰影と、すぐ近くに在るのによくわからない、見えそうで見えないけれど確かなものが激しく顕われていて。

自分が死んだときに絵がどうなってしまうのか、廃棄されるのが虚しくて怖くて、大きな作品を作れなくなったりした、とお話したら

「自分が死んだあとは誰かが考えてくれるのよ。それは本人は気にしないでどんどん描いていいのよ。私も今あるものを函館の美術館が収蔵してくれることになったり、そういうのは決まる時は急にとんとんと決まるのよ。なるべくひとつのところに収蔵してもらったほうがいいとは思うけど。大切な作品が誰かに買ってもらって散っていても、それはその人が大切にしてくれるんだし。生活のためだったんだからそれもいいのよ」と言われた。

味戸さんはJR高円寺駅からお帰りになるというので途中までお送りした。私の好きな古着屋Ivy Storeで2900円の明るいベージュのニットワンピースを見つけて、「これすごくきれいだし、安いわ~。いいわね」

雑貨屋MALTOでは「こういうのひとつ買ったら限りなく買っちゃいそうになるわね」と。

平凡社の「太陽」などの編集長だった清水壽明さん。
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画集の時にお世話になったカメラマンの糸井康友さん。

そしてミュージシャンの斉藤哲夫さん。ずっと前に個展に来てくださった時は、介護施設のバスの運転手をされていたり、お父様の介護をされていたり。それから私も両親の介護があり。哲夫さんは2度も脳梗塞になられたり。

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そんなこんなで本当に久しぶりの再会。住所がわからなくなって昨年の個展のご案内は事務所に出した。そのハガキを持って哲夫さんは吉祥寺のギャラリーまで来てくれようとしたのに、場所を間違えて会えなかったと知ってびっくり。

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「グッドタイムミュージック」を途中まで歌ってくださり、私もハモった。

「はい、ここから先はギャラが発生します(笑)。なんてのは嘘だけどさ。ちゃんと練習してないからできないや。この前のエンケンの追悼コンサートの時は、つわものぞろいだったからすごく練習したからね。」

「遠藤賢司さん、本当に優しくて。個展にも来てくれたし、私が出したアネモネの絵を描いたはがきに「美しいなあ~ずっと机の上に飾ってるよ」って言ってくれて」と言ったら「今度、エンケンのうちに一緒に行こうか。素敵な木の家だよ。」と。

斉藤哲夫さん、ぜんぜん変わっていない。気取りが無くて正直で温かい。

JRの駅の方から帰ると言われたので送って行った。

「古着屋好きで、高円寺によく来るのよ。でもこっち(新高円寺駅のほう)までは来たことなかったなあ」

私の好きな古着屋を紹介しながら歩いた。花輪和一さんに興味があると言うので、歩きながら彼の話をしたり。

高円寺パル商店街にて。
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そのほかもたくさんのお客様がお見えになった。

新聞社のMさん。お忙しいかたなので初めてお会いできたが、とても謙虚で優しいかた。

 

昨年の個展で猫の絵を買ってくださったYさん。大学で仏文を学ばれたそうだが、メールの文章を読んだだけでも、そうとうの教養と思慮のあるかたとわかる。

そのYさんが大きなアネモネの絵をじっと見ていてくださって、

「今、京都のお寺なんかで若い日本画家に襖絵を描かせたりしてるらしいんですけど、みんな絵が軽い。私は今、若冲に匹敵する人は福山さんしかいないと思っています」と言われて、本当に胸がずきゅーんと打たれるように感激した。

Yさんは2点を選んですごく迷われて、最後に「古い本」という絵をご購入くださった。お父様の思い出に添うように。

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