花輪和一×福山知佐子「二匹展」初日
10月30日(水)
「二匹展」の初日。
12時回廊前から花輪さんファンのかたがが窓ガラスから中を覗いていらした。
一番にいらしたのは花輪さんのコレクターのかた。
それから漫画家の田房永子さん、私のブログを読んでくださっていて、本も持っていてくださると聞いてびっくり。感激。
ご夫妻で花輪ファンのかた。花輪ファンの方々はとにかく熱烈。
ちょっと珍しかったのは毛利武士郎さん(私の恩師、毛武彦先生の弟の彫刻家)ファンのかたで、ネットで検索して私を知ったというかた。
中国から来た若い学生さんで日本の漫画や映画が好きなかた。20歳くらいだと思うが、一番好きな日本の映画監督は鈴木清順と聞いてびっくり。私と同じだ!
寺山修司も好きという。鈴木清順監督はすごく映像がきれい、と。お若いのになんて趣味がいいのかしら。
高1の時の担任の先生が来てくださった!すごくお若い。本当にお変わりない。
そのほかもいろんな花輪さんファンのかたが来てくださったのだが、今は疲労で頭が回らず、記述できない。
そして夕方近くに彦坂尚嘉さんがいらした。
彦坂さんは初めてお会いするのだが、昔の写真のイメージと違ってやせてらして紳士的なかただった。
絵を見ていただくのは怖かったのだが、私の絵に「写真画像で見るのと全然違う。固体かと思ったが、プラズマだ!こんな絵は見たことがない」と言われて驚愕、感激。
固体、液体、気体、プラズマとあって、プラズマというのは最も現代的という意味だそうだ。
「枯れた花を描くというとモンドリアンが浮かぶが、それとも違う」
「超一流。原芸術、芸術、反芸術、非芸術、無芸術のすべてがある」とまで言ってくださった。
「日本画科を出たと言われていたので・・」という話に
「日本画という言葉は明治時代に国威発揚のために作られた言葉なので、(油絵に対して)膠絵と言った方がいいと思っています。
そして絵は現代美術でないとだめだと思っています。私はほかの画家ともつきあいがなく、たったひとりで、ただ新しいものを作りたいと思って研究してきました」と言うと頷いていらした。
私の画集の枯れていく植物を執拗に追って描いた素描についても、
「私は写生をしない画家は駄目だと思っている。最近の画家はちゃんと写生をしない。ここまで描ける人を、こんな本を見たことがない。こんなこと誰もやってないでしょ」と言われた。
「花が開いて萎れて枯れていく時間を描きたかったんです。枯れて皆が棄ててしまうその先の、誰も見たことがないものを、1年後、2年後までも。
私の恩師、毛利武彦先生は、苦しくてもごまかさないで見えるところすべてを追って描いた素描をほめてくれました。これでいいんだと。でもほかのもっと若い日本画の教授には「もっと崩して」と言われました」と言うと
「ちゃんと見ないで雑に省略したりするのがいいとか、いつからそういうふうになったんだろうね」と。
「みんなものを見ていない。見ようともしない。今の現代アートは妄想だけだ」と、私がいつも思っていたことをそのまま言われた。
「外との関係ではなく、自分の中だけということですよね」
私の画集についても、想像していたのと違う、もっとネットでも説明があったほうがいいと言われた。
「T画廊で展示したいと2年前に言われてから、現代アートの文脈に結び付ける文章がなかなか書けなくて、と言われて保留されているんです」と言うと
「T画廊のYさんには書けないだろうな。この絵は現代アートとは違う。古い油絵でも日本画でもなく現代アートでもない絵があるってことを皆わかっていないんだ。
花輪さんの絵もそうだが、1流の上をいっている。二人の共通点は孤独だということ、誰とも違ういうこと、つまり極北だということだ」と、
うわ・・極北!ものすごい誉め言葉をいただいてしまった。
「二人とも買いたくなる絵だ。なぜならほかのどこにもないからだ」
「花輪さんにはファンの方がたくさんいます。けれど私は全く売れてません」
「一般人は絵を見ることができない。今、持ち上げられている有名な「日本画」の△△はとても通俗が入っている。けれどもこの絵には全く通俗がない」
と、毛利先生が聞いたら喜んでくださる言葉をいただいて本当に嬉しかった。
私の文章だけの本『反絵、触れる、けだもののフラボン』をぺらぺらめくっていただいただけで「すごい。これは○○には読めないでしょ」と。
○○とは有名な美術評論家で詩人。
(今までこの『反絵、触れる、けだもののフラボン』を一番理解してくれたのは谷川俊太郎さん、吉田文憲さん、鈴木創士さん、鵜飼哲さん・・・詩人でもほとんどの人は読めないと思う。)
そして一緒にいらした糸埼公朗さんにyoutubeのための動画を撮られた。私はレットヴィモ副作用の浮腫と眼の下の隈が恥ずかしいのでマスクをしていた。
彦坂先生のお話は盛り上がって、とうに閉廊の7時をまわり、8時40分くらいまでいらしただろうか。
私が3,4歳の頃から肉を食べられないという話も、ちゃんと聞いてくださった。
生肉や毛皮などをアートに使うことも、動物の命の収奪に思えて、私は苦手であること、
アートに肉を使うことは私には肉が動物の死体に見え、動物の生命を自己表現の道具にしていることで、自分が傷つきすぎるので、そういうものを見るのは耐えられないんです、と言うと「なるほど・・」と聞いてくださった。
「きょうはたいへんいい勉強をさせていただきました」と何度も言われた。そんな・・・
そんなにほめていただけるなんてまったく予想していなかったので本当に驚いた。
初日からありがたい出会いがたくさんあって胸がいっぱい。
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