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2024年10月

2024年10月30日 (水)

花輪和一×福山知佐子「二匹展」初日

10月30日(水)

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「二匹展」の初日。

12時回廊前から花輪さんファンのかたがが窓ガラスから中を覗いていらした。

一番にいらしたのは花輪さんのコレクターのかた。 

それから漫画家の田房永子さん、私のブログを読んでくださっていて、本も持っていてくださると聞いてびっくり。感激。

ご夫妻で花輪ファンのかた。花輪ファンの方々はとにかく熱烈。

ちょっと珍しかったのは毛利武士郎さん(私の恩師、毛武彦先生の弟の彫刻家)ファンのかたで、ネットで検索して私を知ったというかた。

中国から来た若い学生さんで日本の漫画や映画が好きなかた。20歳くらいだと思うが、一番好きな日本の映画監督は鈴木清順と聞いてびっくり。私と同じだ!

寺山修司も好きという。鈴木清順監督はすごく映像がきれい、と。お若いのになんて趣味がいいのかしら。

高1の時の担任の先生が来てくださった!すごくお若い。本当にお変わりない。

そのほかもいろんな花輪さんファンのかたが来てくださったのだが、今は疲労で頭が回らず、記述できない。

そして夕方近くに彦坂尚嘉さんがいらした。

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彦坂さんは初めてお会いするのだが、昔の写真のイメージと違ってやせてらして紳士的なかただった。

絵を見ていただくのは怖かったのだが、私の絵に「写真画像で見るのと全然違う。固体かと思ったが、プラズマだ!こんな絵は見たことがない」と言われて驚愕、感激。

固体、液体、気体、プラズマとあって、プラズマというのは最も現代的という意味だそうだ。

「枯れた花を描くというとモンドリアンが浮かぶが、それとも違う」

「超一流。原芸術、芸術、反芸術、非芸術、無芸術のすべてがある」とまで言ってくださった。

「日本画科を出たと言われていたので・・」という話に

「日本画という言葉は明治時代に国威発揚のために作られた言葉なので、(油絵に対して)膠絵と言った方がいいと思っています。

そして絵は現代美術でないとだめだと思っています。私はほかの画家ともつきあいがなく、たったひとりで、ただ新しいものを作りたいと思って研究してきました」と言うと頷いていらした。

私の画集の枯れていく植物を執拗に追って描いた素描についても、

「私は写生をしない画家は駄目だと思っている。最近の画家はちゃんと写生をしない。ここまで描ける人を、こんな本を見たことがない。こんなこと誰もやってないでしょ」と言われた。

「花が開いて萎れて枯れていく時間を描きたかったんです。枯れて皆が棄ててしまうその先の、誰も見たことがないものを、1年後、2年後までも。

私の恩師、毛利武彦先生は、苦しくてもごまかさないで見えるところすべてを追って描いた素描をほめてくれました。これでいいんだと。でもほかのもっと若い日本画の教授には「もっと崩して」と言われました」と言うと

「ちゃんと見ないで雑に省略したりするのがいいとか、いつからそういうふうになったんだろうね」と。

「みんなものを見ていない。見ようともしない。今の現代アートは妄想だけだ」と、私がいつも思っていたことをそのまま言われた。

「外との関係ではなく、自分の中だけということですよね」

私の画集についても、想像していたのと違う、もっとネットでも説明があったほうがいいと言われた。

「T画廊で展示したいと2年前に言われてから、現代アートの文脈に結び付ける文章がなかなか書けなくて、と言われて保留されているんです」と言うと

「T画廊のYさんには書けないだろうな。この絵は現代アートとは違う。古い油絵でも日本画でもなく現代アートでもない絵があるってことを皆わかっていないんだ。

花輪さんの絵もそうだが、1流の上をいっている。二人の共通点は孤独だということ、誰とも違ういうこと、つまり極北だということだ」と、

うわ・・極北!ものすごい誉め言葉をいただいてしまった。

「二人とも買いたくなる絵だ。なぜならほかのどこにもないからだ」

「花輪さんにはファンの方がたくさんいます。けれど私は全く売れてません」

「一般人は絵を見ることができない。今、持ち上げられている有名な「日本画」の△△はとても通俗が入っている。けれどもこの絵には全く通俗がない」

と、毛利先生が聞いたら喜んでくださる言葉をいただいて本当に嬉しかった。

私の文章だけの本『反絵、触れる、けだもののフラボン』をぺらぺらめくっていただいただけで「すごい。これは○○には読めないでしょ」と。

○○とは有名な美術評論家で詩人。

(今までこの『反絵、触れる、けだもののフラボン』を一番理解してくれたのは谷川俊太郎さん、吉田文憲さん、鈴木創士さん、鵜飼哲さん・・・詩人でもほとんどの人は読めないと思う。)

そして一緒にいらした糸埼公朗さんにyoutubeのための動画を撮られた。私はレットヴィモ副作用の浮腫と眼の下の隈が恥ずかしいのでマスクをしていた。

彦坂先生のお話は盛り上がって、とうに閉廊の7時をまわり、8時40分くらいまでいらしただろうか。

私が3,4歳の頃から肉を食べられないという話も、ちゃんと聞いてくださった。

生肉や毛皮などをアートに使うことも、動物の命の収奪に思えて、私は苦手であること、

アートに肉を使うことは私には肉が動物の死体に見え、動物の生命を自己表現の道具にしていることで、自分が傷つきすぎるので、そういうものを見るのは耐えられないんです、と言うと「なるほど・・」と聞いてくださった。

「きょうはたいへんいい勉強をさせていただきました」と何度も言われた。そんな・・・

そんなにほめていただけるなんてまったく予想していなかったので本当に驚いた。

初日からありがたい出会いがたくさんあって胸がいっぱい。

 

 

 

 

 

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2024年10月29日 (火)

花輪和一オークションについて

花輪和一オークションについて

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詳細は あんちりおんのブログ  https://blog.goo.ne.jp/anti-lion

をご覧ください。

入札期間は10月30日(水曜日)午後12時から11月10日(日曜日)午後5時です。
入札はメールで受け付けます。

・・・

花輪和一×福山知佐子「二匹展」のお知らせ

花輪さんの作品は全部で47点、過去最高の数の展示だと思いますので、皆様、見に来てください。

花輪作品の載っている「あんちりおん」、絵はがきも売っています。

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/ 

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「二匹展」明日からです よろしくお願いいたします

10月29日(火)

花輪和一×福山知佐子「二匹展」いよいよ明日からです。

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(部分)

私は体調が悪くならない限り、毎日在廊しておりますのでよろしくお願いいたします。

いつも個展は10日間くらいやっていたのですが、今年はレットヴィモの副作用でしんどいのでたった6日間だけの展示となります。

(蛇足ですが、体力的に非常に厳しいので、会期中は19時以降の夕食などのお誘いにはおつきあいできませんのでご了承ください。)

10月28日(月)

「二匹展」の搬入終わりました。

11時に篠原さんが来てくれて絵を一緒に運んでくださった。

とにかく作品数が多すぎて、どれをどこに配置したらいいのか考えるのがたいへんだった。

しかたなく棚の上部にまで展示。

下の写真の正面の棚にあるのが花輪さんの色紙ですが、最終的には色紙だけでも32枚の展示となります。

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そのほかに額に入れた絵が15点くらいだったろうか・・・計47点。

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花輪和一の生の絵がこんなにたくさん展示されるのは、(正確にはわからないけど)もしかしたら初めてかもしれない・・・。

30年くらい前に渋谷のアートワッズでの花輪和一個展の時に篠原さんも行ったというが、「あそこだって20点くらいだったでしょ。これはすごい量だよ」と。

個人蔵のものもあるので、全部ではないですが、そのうち(たぶん)21点を

会場にお越しになれない全国の花輪和一ファンの皆様のためにオークションします。

たぶん今日の夜にはこのブログとTwitterででオークションサイトをお知らせします。

そして私の作品も、間に合わないかと思ったのに、最後は加速度がついて40点超になってしまい、展示するスペースがなくて玄関や廊下、窓の内側にも展示。

二匹で100点近く展示ということになりました。

篠原さんは必ず私に「どうしたい?」と聞きながら進めてくださる。

絵の展示の設営は頭と神経を使って本当にたいへん。

導線に添って「どこに何を飾ったら印象的になるか、どの方向からどれくらい照明を当てるか」などを考える、非常にあいまいできりのない、それこそ芸術的センスを酷使する仕事だ。

篠原さんはものすごくお忙しいところを来てくださっていて、これから次の仕事場所に行かなけらばならないそうで、最後、私が画題のプレートを引っ付き虫で貼っている頃にはウトウト・・。

5時間半くらいかかり、私も疲れすぎて倒れそうだった。

最後に篠原さんは展示風景の写真を何枚も撮って

「すごくいいよ。いい展示だ」と言ってくださった。

なお物販(ポストカードなど)もいろいろあります。

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花輪和一×福山知佐子「二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションの入札締め切り日は11月10日(日)17時です。

オークションについては、私のブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

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ホームページ、過労

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部分(和紙、銀箔、岩絵の具、膠)

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翳の薔薇 (水彩)

10月22日(火)

ホームページが、jimdoの有料サポート、U野さんのおかげでなんとか半分くらい復活してほっとした。

調べてもらったところ、10月13日に自分でホームページを削除してしまったらしい。

レットヴィモの副作用(頭朦朧)と疲労が重なり、本当に頭がおかしくて変な操作をしてしまった。

15年くらい前から自分ひとりで何もわからずこつこつ作っていた、デザイン的にはすごくださくて統一性がなく、ぐちゃぐちゃと増殖した(そこが私らしい)ホームぺージだったが、

ホームぺージが消えた時、自分のやってきた仕事を知ってもらうものが無くなったことで絶望の淵に落ち込んだ。

本当にもうだめ、すべて失った、と血の気が引いて戻らない感覚。

U野さんには本当に感謝。1時間3800円でZOOMで指導してもらう(私はZOOMも初めてで、アクセス方法もよくわからなかった)のを2回利用したのだが、すごく価値があった。

jimdoって不思議な名前だと思っていたが、ドイツの会社だそうだ。

10月23日(水)

頭朦朧の中、F50号を画の上に乗っかるような前傾姿勢で描いていたら、急にずん!と首の後ろの筋肉の拘縮、同時に強い頭痛が来て倒れそうになった。

普通の頭痛ではなくて、血管切れるんじゃないかと思うような急な痛み。

吐きそうだったが、なんとかこらえて椅子にもたれて少し上を向く姿勢で休む。声も出ない。

同じ姿勢を続け過ぎて首の凝りが限界に達したみたい。

この日はもう何もできず眠るしかなかった。

過労のピークが予定より早く来た。このことはよかったのか・・?

いつも個展の前は前日まで絵を描いている。たくさんの途中の絵は置いて行き、できたのだけ出す、というやりかた。

展示の設計図を描いてそれに沿って計画的に、ということができない。

頭の中に絵が浮かんでくる速度が二乗になり、展示の前は過集中になって止まらなくなる。

展示の数か月前に最初に紙をパネルに貼った時は迷いに迷ってなかなか描きだせないのに、展示の前ぎりぎりには脳が勝手に回転して、もうやめろと言われても絵を描くのをやめることができない。

絵を描くのをやめられない状態の時は疲労も食欲も時間も感じない。

集中した時の私はそうなる。だからA井先生(最初の手術で甲状腺を摘出した主治医)に毎回注意される。

この集中の時間が訪れることがなくなれば絵を続けることができなかったし、自分のことが嫌になっていたと思う。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ
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会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、この私のブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。Japanese paper, Silver leaf, Pigments, Glue1 - chisako-fukuyama ページ!

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2024年10月22日 (火)

脳のMRI, 篠原誠司さん

10月21日(月)

国立がん研究センター中央病院で脳のMRI。

14:30より撮影。疲労で眠ってしまった。絶食していても空腹感もない。

15時より先に頭頚部外科のY本先生の診察。

見た感じでは前(6月)とそんなに変化がないとのこと。

サイログロブリンが上がって心配したが、そんなに増大していなくてよかった。

このあと画像解読専門の先生が読み取り、その結果はまた来月教えてくれると。

「(鎌ヶ谷の病院の)A井先生に何と言われましたか?」と聞かれ、「とにかく食べること、仕事に集中しすぎて食べるのを忘れないように、と」と答えたが、なかなか食べられない。

次に内科のH間先生。

主な脳転移は3つ。一番気になる左小脳の転移(サイバーナイフ済)は少し(レットヴィモにより)縮小している。

もうひとつサイバーナイフ済の左小脳の小さな転移は、少し浮腫しているので要観察。

サイバーナイフ後に新たにできた右脳の転移は、もしこれだけ急に大きくなるようなことがあれば、手術でとれる、と言われた。

私のネガティブなイメージでは、レットヴィモの耐性がついてしまえば身体中いろんなところに転移ができて、脳の一カ所だけ手術してもしかたないのではないか・・と思ってしまうのだが、、

悪いことは今は考えないで、レットヴィモが効くことだけ考える。

帰りに東京画廊の山本豊津さんに生きていることを報告に行こうとしたが・・道に迷った末に画廊が休みだった。疲労でぼうっとする。

帰宅したら17:30で、もう卓球に行く時間ぎりぎり。

豆乳と魚肉ソーセージを持って卓球へ。一応、身体は動くみたい。あいかわらずあまり食欲はなく、運動後も快食とはいかない。

10月20日(日)

F50号の絵の制作。

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10月19日(土)

西新宿の家の手前の部屋の天井に和紙を貼る。

街中、どこに行っても金木犀の甘酸っぱい香り。

10月15日(火)

足利市立美術館の篠原誠司さんが、に西新宿の家にいらしてくださった。

室内の寸法を測ってピクチャーレールとダクトレールの位置と長さを決めるため。本当になんて親切なのだろう。

篠原さんは全国を飛び回っていろんなアーティストを手助けしていて、いつもすごく忙しい。

十二社の階段を上る篠原さん。以前に吉増剛造さんと写真を撮るためにここを歩いたという。その時はホテルニュー寿も潰れていなかったかも。

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片隅のヒメムカシヨモギは折られてしまっているのがあった。しかし雨風に翻弄されてこれからもっと美しくなる。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ
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会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

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ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

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2024年10月13日 (日)

斉藤哲夫さんから電話 / 鎌ヶ谷の病院

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鎌ヶ谷の夕焼け

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西船橋の夕焼け

10月3日(木)

シンガーソングライターの斎藤哲夫さんから電話。

二匹展のハガキが届いたと。

「花輪さんとなんてすごいじゃん。絶対行くよ!」と言ってくださって感激。

哲夫さんとももう30年近くのおつきあい。

私は哲夫さんの「されど私の人生」「悩み多き者よ」「バイバイグッドバイサラバイ」「グッドタイムミュージック」が大好きで。

愛や恋という言葉が入っていないこれらの曲を、独特の熱っぽくも色気のある声で歌い上げる哲夫さんは、少女だった私の胸をしびれさせた。

「されど私の人生」は拓郎も歌っていたけれど、哲夫さんの歌は拓郎のように男っぽすぎはせず、もっとひょうひょうと・・

「悩み多き者よ」はオフコースも歌っていたけれど、哲夫さんの歌はもっと生っぽく・・

「最近、ライブの予定入れすぎちゃって、ちょっと疲れてしまう。明日は長野。しかも2日連続。しかも打上げがあるんだよ。最近はもう歌うとものすごく疲れるから打ち上げは無しにしてもらってたんだけど・・」

「ライブは何曲?」

「12曲くらい」

「それはものすごくくたくたになるでしょ。心こめて歌うから精神が」

「そうなんだよ~もう終わったら倒れるしかなくて」

最近は食べ物もおかゆに豆腐か納豆くらいがちょうどよくて、ごちそうを並べられても食べられない、と。

便秘がちだというので「いい食物繊維があるからプレゼントします」

「知佐子さん、すごく健康について調べてるもんね。今度また教えて」

私の近況として、西新宿のボロボロの生家をひとりで修理、改築してくれる人が現れたと話したら

「すごいね、その人。奇特な人だね。よっぽどのことがないとできないよね。でもよい流れが来てよかった」と。

10月7日(月)

夜間卓球に久しぶりに行ったら「体調が悪いんだと心配してた」と言われ、

「いえ、すごく忙しかっただけ。やせちゃった」

「え?顔は丸くなってるじゃない」と言われてショック。

「これはレットヴィモの副作用で浮腫んでいるんです」

10月11日(金)晴れ 25℃

爽やかな空気。きれいな光。

A井先生に近況を報告するため、鎌ヶ谷の病院へ。

国立がん研究センター中央病院のY村先生(A井先生の後輩にあたるかた)が作ってくれたCT検査結果の画像CDを持参。

サイログロブリンが上がったのは、プロトンポンプ阻害薬タケキャブと一緒に2週間も飲んでしまったせいだと思う、とお伝えする。

A井先生は苦笑いのみ。

肺の縦郭(左右の肺の間)リンパ転移の跡が白くなっている、癌細胞が死ぬと白く写る、これはよいことと言われる。

肺全体の粟粒上転移も動いていない。

レットヴィモに耐性がついたら、そのあとは・・ということばかりが恐怖なのだが、浅井先生はネガティブなことは言われなかった。

それより無理しないで副作用が酷くないように服薬量を調整することが大事と。

一番気になるのは食事量が少ないことだと言われた。

たしかにずっと胃が痛くて、ここ1週間近く43kg台。45kgまで戻したい。

「夏からずっとすごく忙しくしています。またもうすぐ絵の展示があるので」

「仕事に熱中するのもいいです。卓球も。けど熱中して食事を忘れることだけはしないでください」

カルシウム量の調節も、空腹にアルファロールを飲むと効きすぎて胃が荒れるそうだ。

食べられる時にちょこちょこ食べること。

首肩が痛くてレキソタン依存気味なことも、当たり前だが頭を前傾させる同じ姿勢で集中しすぎないこと、と。

 

 

 

 

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2024年10月 7日 (月)

西新宿の生家の改築 最終日 パッションと宿痾

10月5日(土)

1階の奥の部屋。押し入れだったところを壁で塞ぎ、押し入れの外壁を取り除いて、そこに風が流れる(湿気がたまって家が腐るのを防ぐ)ようにしてくれていたのだが、今日はさらにそこに窓の穴を開けていた。

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押し入れだった部分の部屋側と廊下側にそれぞれ灯りとりの窓をつけてくれた。こちらは廊下側。

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1階奥の部屋。窓から蔦が見えるのがきれい。ここのガラスは透明にするかも。
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茶色く汚れた壁は最終的には白くなる予定。
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一階の手前の部屋と奥の部屋はピクチャーレールとダクトレールと照明をつけて、ギャラリーになります。

写真を撮るのを忘れたけれど、1階の手前の部屋と奥の部屋の間の壁はドアひとつ分ぶちぬきになっている。

玄関の下駄箱の上の壁に穴を開けて作った窓のまわりの壁(窓をはめるより壁の方がたいへんと言っていた)もできていた。
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もしかして徹夜した?


1階のトイレの扉と、1階手前の部屋の押し入れの扉に和紙が貼ってあったが、少し皺になっていた。

「この皺はまずいかもね・・日本画科出て何十年和紙貼ってるんだ、って言われちゃいそう。私、水で濡らしてやり直すわ」と言って

霧吹きで全体を湿らし、数分置いて、下のほうから両手でぴんと伸ばしながら和紙を剥いでいく。そして一番上のところをピンと左右に伸ばして張り直し、上から下にピーンと引っ張りながら貼り直した。

「すごい!きれい!」と言われる。私にもひとつくらいほめられる仕事があってよかった。

手前の部屋の押し入れは工具入れになった。
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手前の部屋と廊下の間の窓。ガラスが無かったところに、どこかで見つけて来たガラスをガラスカッターで切ってつなぎ合わせてはめてくれた。左側の曇りガラスには蔦の触手(ヤモリの足跡のような)がそのまま残してある。

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福山家出土品の一部。左の緑の瓶は「人體消毒液 リゾホルム」と書いてあり、床下から出て来た。
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1階の奥の廊下。時代本箱。アルミサッシは和紙を張った障子戸で隠す予定。
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いつか付けてもらう予定のキツネのノッカー。高円寺のMALTOさんのドアに付いていたもので、私が何年も前から熱望していたがもう在庫がなく、先日、思い切ってこれを譲っていただけないかお願いしたら売ってくださったもの。
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売っていただけるなんて思っていなかったので「嘘みたい!信じられない!嬉しい~!」と叫んだら「そんなに喜んでいただけるなんて本望です」と店主さんに言われた。

 

今日は私も疲労と副作用で顔も腫れて体調悪く、もう作業ができないと言ったら「天井に和紙を張るのだけ手伝ってほしい」と言われ、

「じゃ、やりましょう」と腹をくくったが、M・Mさん自身が(たぶん頭のほうが)疲労困憊で「できるかな・・・?もうちょっとだけ待って」と

玄関のところに座っていた。すごく朦朧としていそう。

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あまりにもM・Mさんがお疲れのようなので、自分でスツールの上に載ってみたら天井に手が届いた。紙の幅に鉛筆で線を引いて、その範囲に少し水で薄めた糊を刷毛で塗っていく。

最初の一枚は手伝ってもらいながら私が主導で貼った。ロール紙をぴっちり角に付けて、たるまないようにピーンと貼っていく。

この作業は私の一番の弱点である首(甲状腺癌手術の時に転移していた周りの筋肉を大幅に切除したため、頭の重さを支えきれない)と肩の筋肉を酷使するため、10分くらいで痛くて吐きそうになった。

2枚目を貼るための糊を塗っているM・Mさん。
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M・Mさんはよろけて薄めた糊を床にぶちまけたりした。もう疲れすぎて限界なのだと思う。汚れた床を拭いたり、木の削りカスを掃除するくらいは私でもできる。

そのあとM・Mさんは風呂場の床のセメント部分に塗料を塗っていた。いずれはバスタブを持ち上げて、その下を掃除するという。

ガスレンジ台も作りたいけど(そんなものまで作るの?)今日は無理、と。

大きなところでは、うちの出っ張っている玄関部分(大昔に増築したところ)を壊して隣家と接触している壁を無くしたほうがいいと何度も言われた。

隣家側の壁にセメントの防火スプレーをかけたほうが、万が一、隣が火事になった時にも安全という。

「玄関を屋根から壊すことなんてできるの?」

「手(バールと金づち?)で少しずつ壊せば」

「じゃ、私が生きているうちにできたらやってください。あなたの情熱と意志がもしあるなら」

午後3時過ぎまで作業。このあと彼は荷物整理して、夕方からは舞踏のレッスンに行く。そして今日の夜か明日には長距離バスで地方へ。

M・Mさんは最初の頃から作業状況を逐一写真に撮っていたが、ついにほぼ出来上がった部屋を撮りながら「すごくいいと思う。よくできた」と言っていた。

こんなふうに古い家を改築したのは初めてだという。

「もう二度とこんなたいへんな仕事はできないし、やりたくない」

1か月前くらいだったか、彼は「仕事のこと考えると(自分の納得する予定通りにできるのか不安で)心臓が痛くなる」と言っていた。

期限内に自分の納得するかたちで一旦終了できるように、よほど頭を使い、よほどいろいろ心配して自分を追い詰めたのだろう。

「Tさん(M・Mさんの友人でうちに泊まっていた人)にも、命削ってるねって言われた」という。

「あと5日・・・あと5日くらい作業すれば全部完成ですね」とぽつりと言われた。

最初のひと月は家具の破壊と、掃除、遺品整理、ゴミ出しからやってくれた。数えきれないほどゴミ出ししてくれた。

誰も考えなかった天井を落とすこと(80年近く溜まった埃とネズミの糞の掃除)、どの建築家にも無視された大変な作業、柱をジャッキで上げ、白アリなどで腐っている部分を切って継ぎ直し、土台石に載せることをやってくれたのも、表面的なことではなく根本の重要なことだから。

すべてこの古い家の命を本当に長く持たせるために。

誰も関心を持たない、私でさえ諦めていた遺棄されたものの命を蘇られせてくれた。

M・Mさんにはいろんなことを教えてもらった。ゴミの中から使えるものを拾い出して有効活用すること。買わないで自分で考えて作ること。

巨大に感じるものでも自分の手で破壊できること。破壊を恐れないこと。つくりかえたいと思ったらつくかえられること。

そういう実際の、本物の破壊と創造の行動を目の当たりにしながら、私は残り少ない命の時間にできることを考えていた。

私が本当に目撃したものは、どんなにハードでも(ほかの誰にも何をやっているのかを理解されなくても)自分が納得するところまでやり遂げたいという身に覚えのあるパッション。

やりたいと決めたら集中して、命を削っているとわかっていても心身ともに捧げてしまう身に覚えのある宿痾。

嫌いなもの、嫌いな人には徹底して関わりたくないという身に覚えのある宿痾。

私たちは時折、現代アートの話、あるいは「絵画」の話、表現の話をした。どんな「絵画」が好きか、どんなアートを酷く不快に思うか。

彼は私より遥かに現代アートのことをよく知っていて、最先端の現代アートのギャラリーに展示されたこともあって、けれど今はもうアートの制作はしていない。

中学時代に土方巽を知り、今はアートより舞踏していたほうがいいという。しかも舞踏を発表したいわけではないと。

「感謝してもしきれない」という陳腐な言葉では表せない。

私が生きているうちに、少しでも有効にこの場所を使えたらいいけれど。でもお金のために焦燥するのはよくない。できれば信頼できる人とだけ、楽しい気持ちで何かできたらいい。

・・

私も疲労で頭が朦朧として身体が動かなかったが、一旦帰宅してお茶を飲んでから17時過ぎに新宿へ出た。

花輪和一さんとの二匹展のために展示する作品を選び、合う額があるものはそれを使い、額がないものは発注する準備。

21時過ぎに帰宅。午前2時すぎまで眠れなかった。

・・・・・・・・・

「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ
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会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、私のブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/japanese-style-paintings-1-%E8%86%A0%E7%B5%B5/

 

 

 

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2024年10月 6日 (日)

西新宿の生家の改築あと2日、玄関のドアクラッキング塗装取り付け、ラストスパート

10月4日(金)雨のち晴れ

西新宿の生家の改築はいよいよ明日の昼で一旦終わり。

玄関のドアのニス仕上げをするのに、今日は晴れでばっちりと思っていたのに、昼から結構降っていた。

雨に濡れて陽が差してきた十二社の石段。ヒメムカシヨモギが美しい。
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石段の中ほどにあるホテルニュー寿(アラーキーご愛用だったらしい)だったところ(廃屋)の入り口。
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昔の風情をわずかに残している。塀の中をのぞくと、黒電話の入った箱などが見える。地主のJ寺はここを潰すつもり?
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今日はまず、9月から今までのお支払いをさせていただいた。

M・Mさんの細かい作業日誌による時給×時間の計算で、〇〇万7800円をお支払い。7月、8月分の額の1.6倍。9月から一日の作業時間が長くなっていてどんどん過労気味に。

(私のブログを見てM・Mさんにお仕事を依頼したいと思ったかた、ちゃんとお金を払ってあげてください。ただM・Mさんはお金のための仕事はしない、やりたいと思った仕事しか引き受けないそうです)

日誌の手書き請求書にサインしたものをくれた。「字、書くの速いし慣れてるよね。子供の頃、習ってた?」

「はい。中学の時は生徒会の書記でした」

「うわ!」

「誰もやりたがらなくて時間がもったいなかったので、犠牲的に立候補して・・・選挙ではどういう学校にしたいかを演説しました」

そういうキャラには見えないけど。



一階のトイレの下側についている窓が壊れていたのを作ってくれている。こんなことまで・・。
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トイレの窓を外からはめているところ。左隣の家は廃屋で、うちと同じくらい古い(戦後1年目に建った?)。その家とうちのあいだは狭くていろんなガラクタと朽葉が詰まっている。
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手前に写っている鉄の台は、M・Mさんが見つけて、その上にエアコンの室外機を載せてくれた。

私は防ガスマスクをつけて玄関のドアの外側に透明な飴色の油性ニスを塗り、乾いてからドアをひっくり返してもらって、ドアの内側に水性ニスを塗った。

M・Mさんは大量の作業服をいっぺんに二層式の洗濯機に入れていて「水が回転しない」という。粉の洗剤も全然溶けてなく、素手を突っ込んでかき回した後、乾いたタオルでぱっと手をぬぐっていたのでぞっとして「強アルカリだよ。ちゃんと手を水で洗わないとかぶれるしアレルギーになるよ」

若い人は昔の二層式の洗濯機なんて知らないのだ。洗濯槽の水を抜いて洗濯ものの半分を脱水機に入れ、残り半分にたっぷり水を入れたら普通に回転した。

「洗濯物が多すぎて重すぎで回らないのよ。半分量で洗い、脱水、水を変えるを3回繰り返すんですよ」

「勉強になりました」

もう明日には旅立つので、冷蔵庫の中のものを使い切るために、M・Mさんは手慣れたスピードで玉ねぎをトントンと微塵切りにし、バターとオリーブオイルで炒めた。
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大根は1cm角に切り、ニンニク、キノコも入れて塩をふって炒め、しんなりしたら昆布だしと牛乳を入れ、土鍋で炊いて冷蔵していた麦と玄米を加えて、クリームリゾット。

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ニスが乾いたドアを玄関に取り付けるのがたいへんだった。重いドアを持ち上げてもらって、蝶番の穴を木にあいている穴に合わせて、私が生まれて初めて使う電動ドライバーでネジを止めていった。電動ドライバーの快感。すごく楽しい。

重たいドアを外した時になぜか固まって動かなくなってしまった金具(クローザー?)を金づちで叩いて直すM・Mさん。

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玄関にドアがついたところ。
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左側の茶色い木の部分(これもドアで、本来は開くのだが錆びついていたのをM・Mさんが直した)を白いクラッキング塗装にしようと思い、はずして水平に置いてもらったら、白い塗料がなかった。

「ベージュの塗料でいいっすよ」

「やだ。白でかすれたクラッキングにしたい」

「緑(薄荷色)でいいっすよ」

「ん・・・と、私は画家なので自分の色の感覚に合わないことは妥協したくないの。彫刻家の人は色はどうでもいいのかもしれないけど」

しかたないので水とスチールたわしできれいに洗って、ドアの上についていたクモの巣とドアの下の泥も掃除して元の位置に戻してもらった。

カフェ板を敷いた部屋の隅の隙間に数cmに細長く切った板をはめた部分、さらに細くあいた隙間に2mm~5mmにスライスした板をはめて金づちでトントン叩く。最後の1mmくらいの隙間はパテを詰めるという。実に几帳面。
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私も手伝って昨日パテで埋めた木の継ぎ目の部分を、やすりのついた器械で研磨してつるつるにする。この作業はものすごく粉が舞い、玄関の空気が白濁したので急いでドアを開けて防塵マスクをつけてもらった。あとでもう一度上から白い塗料を塗るらしい。
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1階の手前の部屋。
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1階のトイレに余ったカフェ板を敷き詰め(もったいないと思う)、水道管の水漏れしている部分を直してくれているM・Mさん。
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M・Mさんは本当に必死に、仕上げられるところをンどんどん仕上げてくれていっている。

私も普段使わない筋肉を使い、一度もやったことのないことをやっているので全身筋肉痛で頭が朦朧とするのだが、彼はものすごく疲れていると思う。

なにしろ設計図もマニュアルもない作業を、すべて彼一人の頭で考えながらやってくれているのだから。

彼は以前、鬱になったことがあるという。彫刻をやっている時、どんどんハイになって、やり終えた時にその反動で鬱になると。

どんな感じかというと「枯れた感じ」。何も喜びを感じられない、何にも感動できない。それは脳に負担をかけ過ぎたあとのバーンアウトだろう。

彼は一見おっとりしてるように見えて、実際は私よりずっと非論理的な感覚が激しい。

「あの場所は嫌(なんとなく陰気)な感じ。ずっといると具合悪くなって耐えられない」(なぜ?と質問しても明瞭な応えが得られない)、「あの人は嫌い、フリーダムを演じてる感じが」とか(これは非常に共感しやすい)、私が意識していなかったことをいきなり言われる。

ものすごく芸術家気質で、独自の嗅覚でいちいち不安や嫌悪を感じているので消耗しやすいのだ。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、このブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/japanese-style-paintings-1-%E8%86%A0%E7%B5%B5/

 

 

 

 

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2024年10月 5日 (土)

西新宿の生家の改築あと3日、玄関のドアのクラッキング塗装、十二社の石段

10月3日(木)

明後日の昼でここの改築は一旦終了。

今日はまず玄関の壁にはったベニヤの継ぎ目にパテを塗る作業を手伝う。

オフホワイトに塗った木の板の質感の上に白いパテを盛り上げながら、私はマチエールを大切に絵を描いている感覚にしかならず、和紙を張らずに木製パネルに描いている気持ち。ここに銀箔を組み合わせる想像で高揚する。

玄関のドアのクラッキング塗装の続き。最初に失敗した部分、薄荷色の塗料が残っているので、もう一度焦げ茶色の下塗りをラフにしたところ。

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クラッキング塗装完成。
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作業していた部屋の床にカフェ板を敷くために、塗装完成したドアを奥の部屋に移動。
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カフェ板を敷いた上にドアを置いたところ。こちらの部屋は黄色っぽい裸電球ひとつなので、薄荷色が黄緑っぽく映る。

いよいよニスを塗って仕上げるのだが、やったことのない私は、油性ニスで水性塗料のクラッキングが溶けたりしないのか不安。

小さな木切れにクラッキング塗装したものに試し塗り。

匂いにアレルギー反応が出て気分が悪くなる可能性があるので、明日、防ガスマスク(銀箔の腐蝕で発生する硫化ガスのために買ったもの)を持って来て一気にやることにする。

私が大好きな大切な場所、十二社の昔(私が幼児の頃)から残っている石段。そこらじゅう料亭だらけで三味線の音が聞こえていた昔の面影はほとんど消え失せ、たったひとつここだけが懐かしい姿を留めている。

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ここを昨日から測量している人たちがいる、とM・Mさんに言われて見に行く。

尋ねたところ、測量の依頼主はここら辺一帯の地主、(福山家と因縁の)J寺とのこと。まさかここを工事しないよね・・・?この石段が崩されたら私のショックは計り知れない。十二社の乳銀杏が切られて無くなっていたことも私には酷いショックだったのに・・。

「十二社の石段を守るイベントをやればいい。僕とF(社長)さんがここで踊るから」とM・Mさんが言う。

廊下の古い天井を無くして(80年の埃とネズミの糞を掃除し)石膏を塗ったベニヤをはめてくれたところの、端っこをきれいに合わせて釘で止める作業。
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M・Mさんはすごく焦って集中していて、いつもお昼や3時にお茶を飲むのに、この日は一度も休憩をとらなかった。

私が空腹に耐えられなくなって「コンビニに行くので何か買ってきますか?」と聞いてもも「何もいらない」という。

たこ焼きを買って来て、熱々のを勧めてもピリピリしていて「話しかけないで」ときつく言われる。

天井板を固定する作業が終わって「やっと終わった!」とお勝手の方に来て「あっ、たこ焼きがある」とぱくっと食べて「おいしい~」と。

「さっき、熱々にした時にひとつくらいつまめばいいのに」と言うと「作業に集中してる時って、一言も話しかけられたくないでしょ。」と。

「11月の私の二人展が終わるまでは何かイベントをすることもできないんだから、そんなに根をつめて焦らなくていいでしょう。過労になっちゃう」と言うと、

「きりのいいところで止めたいんです。自分で納得するきりのいいところで。デッサンだって途中は必ずいいところで中断しろってさんざん習ってきたし」と。

「私はデッサンはむしろ、何が描いてあるかわからないところ、人がやらない奇妙なところで中断したいけどね。」

 

油性ニスに使った刷毛をベンジンにつけて洗ってくれた。明日はクラッキングの油性ニス仕上げの本番。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

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オークションについては、このブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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2024年10月 4日 (金)

西新宿の生家の改築 最後の買い出し

10月2日(水)晴れ

今日は最後の買い出し。

7月からやってくれていた私の生家の改築も、6日の午前中で一旦(基礎工事が)終わりで、M・Mさんは東京を離れる。

あとはたまに東京に来た時にちょこちょこやってくれるらしい。

M・Mさんが石神井のレンタカー店に行ったら保険証が無いと借りられないと言われ、急遽、予定変更で東中野のレンタカー店前で12時半に待ち合わせ。

車でまずは西新宿の生家に行き、古い洗濯機を載せて板橋の家電リサイクル指定引き取り場所へ向かう。
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M・Mさんは、以前、こういう場所で大きな家電を車から降ろして運ぶ仕事もしていたという。
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次に練馬のホームセンターに、注文していたカフェ板23枚を取りに行く。

ここは思ったよりずっと小さな店舗で、ドアの外側のクラッキング塗装を堅牢にするためのニスを探したが、あまり種類がなかった。

店員さんに聞いてもわかりそうもなく・・結構迷って、屋内用、木用と書いてあるのが気になったが油性の透明なのを買った。

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結局、さらに垂木を買うためにさらに中野のホームセンターへ。

また私の好きな中野操車場を上から見ることができた。
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ここで練馬のホームセンターになかったスプレーのニスも一応買った。

カフェ板を下ろしにまた西新宿の生家へ。

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このあと三河島の建設会社のF社長さんのところに、この前お借りしたジャッキ2台を返しに行く。

その近くの荒川の見晴らしの良いところで夕焼けが見れたらいい、と言っていたのだが、時間がどんどん押してしまい、

途中、中野坂上の駅前を過ぎる瞬間にきれいな夕焼けを見た。
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車が文京区を過ぎるころには外は真っ暗。新三河島に着いてからもF社長さんの会社になかなかたどり着けなかった。

ようやくお目にかかれたF社長さんはとてもチャーミングなかただった。

すぐ近くなので、広い荒川のほとりに行ってみた。けっこう釣り人のような人たちがいた。

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最近の私は忙しくて(がんのせいではありません)少し体重が落ちている。きのうの夜は43.7kgだった。

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2024年10月 3日 (木)

西新宿の生家 部屋の下に井戸?玄関のドアのクラッキング塗装

10月1日(火)曇りのち時々雨

玄関の大きなドアのクラッキング塗装。まず小さなベニヤ板に液体糊と塗料の濃度を実験。

先日失敗してクラックがはいらなかった部分を全部、紙やすりのついた(アイロンのようなかたちの)器械で削り取る。最初、要領を得ず無駄に力を使ったが、先の方に力を入れて押すと削れる。

ドア全体にやすりをかけ、焦げ茶色の塗料で下塗りして乾かす。

液体糊を塗って手で均一に伸ばし、少し乾いたら薄荷(ミント)色の水性塗料を、下の糊と混ぜないように上に乗せていく。

途中、ぽつぽつ雨が来たのでドアを玄関に入れて立ててもらったら、まだ液体糊が乾ききっていなくて、塗装がだらだらと下に流れてしまった。

泣く泣く流れた部分をすべて雑巾で拭いてきれいに水拭きし、やり直し。

ドアを室内(手前の部屋)に入れて水平にしてもらってやることにした。 

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薄荷(ミント)色の塗料を塗って1分くらいで少しずつクラック(ひび割れ)が出てくる。

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同じ部屋の古い板の間部分をはがして床下を見ていたM・Mさんが突然叫ぶ。

「わあ、なにこれ!やばい!やばい!」

「?」

「こんなやばい現場初めて。今のうちに写真撮っておいたほうがいいすよ」

見ると床下に井戸のような穴があった。板の間部分をはがして下を見たことなんてないから、びっくり。

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M・Mさんがスマホで写真を撮ったら、オーブのような光が3つも写っていて「すごく怖い!」という。

「私は心霊とか本当に全然怖くないの。ただ大きな穴を見ると落ちるような気がして怖いだけ。木でちゃんと穴を塞いでね」と私。

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穴をふさぎ、垂木を組み、カフェ板をのせていく。

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こちらは奥の部屋。部屋のゆがみに合わせて、ぴっちりはまるようにカフェ板をやや斜めに切って隙間を埋める。Sdsc00393_20241003230301
器用にきっちり合わせて埋めているので、思わず「すごい!きれい!」と叫んでしまう。

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そして奥の部屋の天井も・・・。私のトラウマだった父の煙草のやにで茶色くなっていた天井板を落とし、同時に80年近く溜まっていた埃とネズミの糞を掃除機で吸い取ってくれて、きれいに石膏を塗った板を何枚もきっちりはめてくれた。
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やにで茶色い壁は、あとで研磨して白く塗ってくれるそう。

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