御嶽山
11月26日(水)
御嶽山へ行きたいと思っていて、金曜が暖かいらしいので28日にと思ったが、季節はずれの黄砂が来る予報が来ていたので水曜に決行。
寒さが少し心配だったが、晩秋の草木の息吹を吸い込みたいのと、今の自分のからだにどのくらいの力があるのか試したかったから。
運が良ければムササビ、モモンガ、カモシカ、イノシシを見られるかも、と思った。
朝、抹茶ソイプロテインを牛乳で溶いたものと卵粥。
薬一式(チラジン、アルファロール、レットヴィモ、下痢止め、吐き気止め、抗アレルギー薬など)と保険証、限度額認定証、ティッシュたくさん(寒冷アレルギーで鼻水が止まらないので)を持ち、
綿100の下着2枚、長袖Tシャツ、フリース、ジャケット、フェイクレザーのパンツ、使い捨てカイロを下着のお腹の上と腰に貼り、貼らないカイロをポケットに入れ、
いざ出発、と10時過ぎに家を出た瞬間に手足の指にテタニーが出た。なぜ?
おそらく昨晩の食事(ジャガイモ中心)のカルシウムが不十分で、今朝摂ったばかりのソイプロテインはまだ消化されてなく、血中カルシウム濃度が低い状態で涼しいところに出たせいかと思う。
ここで牛乳とアルファロールを多めに摂ると、また高カルシウムになってしまうので、痛みを我慢してそのまま駅へ。
電車に乗って、プロペト(ワセリン)を忘れたことに気づく。私は皮膚がすごく薄いので唇が乾燥して切れやすく、しょっちゅうワセリンをべたべたに塗っている。顔に風が当たらないように大きなマスクをしているのでなんとかやり過ごせるだろう。
私は忘れ物なしに旅行をできたことがない。
電車に揺られていると、食べ物の消化が進んだのかテタニーはおさまった。
三鷹を過ぎ、車窓から見える樹木が多くなり、西立川の辺りや、福生市に入った辺りの野山の色どり、晩秋の草姿の魅力に、北海道の花輪和一さんと歩いた野山を思い出す。
青梅駅についたところで11時、12時台には1時間に1本しか青梅線が無いことを知る。
駅の前にある小学校の周りの紅葉が輝いている。黄色く光る点描の銀杏が青空を無数の蝶のように舞っている。
待合室で30分ぼーっとする。
青梅線に乘ればすぐに田舎らしい景色に変わる。
1時半くらいに澤井駅で降り、すでに下山して一杯やっている人たちでいっぱいの澤乃井酒造のガーデンを通って遊歩道に降り、川沿いを御嶽まで歩く。
私は楓の紅葉よりも黄色くなった葛の蔓に惹かれる。私は平面的、直線的な植物よりもねじれて絡まり合う植物の姿に惹かれるからだ。
途中「クマ出没注意」の貼り紙が。
細い道をひとりで行きながら、ここでめまいを起こして沢に落ちたら死ぬのかな、と思う。
途中速足で急ぐとけっこう汗をかき、上着を脱いで手に持って行く。からだは熱いが手だけは冷える。
沢から御嶽駅に上がる急な石段を上がる時にハアハア。
御嶽山ケーブルカー駅行きのバスに乗るが、ここでも運転手さんが来ていなくて30分くらい発車を待つ。
バスの終点滝本駅から目の前に見えているケーブルカー駅までの急坂で息が切れてしまう。かなりハアハア。でも倒れそうな感じではない。
ケーブルカーで山頂駅に上る。イノシシやカモシカはいないかしらと斜面に眼を凝らす。
御岳平駅で自販機の温かいミルクティ―を飲む。
拡大コピーしてきたムササビマップを見ながらまずはビジターセンターの前まで歩く。
途中の杉林は陽が落ちなくても真っ暗で、ちょっと不安になる。私は新宿で生まれ育ったので灯りのないところがすごく怖い。
ゆっくり歩いて神代ケヤキ。
神代ケヤキにもムササビがよく来ているらしいが巣箱は見えなかった。
大鳥居の前に着いた時に3時。それから本殿に上らずに集落を上がったり下がったり、うろうろする。
萱葺の家にムササビが出入りしているというが、湯気や煙の出る穴の部分は細い木で塞いである。この隙間からは出入りできなさそうなので不思議。
自分の身体を確かめながら歩く。寒いというほどではない。
急な上り坂は息がきれても体中の血液やリンパの循環がよくなって爽快な感じだが、急な下りの時に膝の斜め上の外側の筋肉が攣るのが気になった。
ムササビの巣箱の近くで確認している人には会わなかった。
もしムササビ目的の人がいたとしても、4時過ぎの陽が落ちたあとに巣箱の近くに来て、そのあと山の上の宿に泊まる人だろう。
陽が落ちて真っ暗な中で、巣箱を見ながらひとりでじっと立って待っているのを想像したら怖くなったので、一旦ケーブルカー駅に戻ることにする。
神代ケヤキから急坂を下っている時、膝斜め上の外側の筋が急激にズキッと攣り、これはまずいと思った。
腸脛靭帯なのか、大腿二頭筋なのか、手で押しても細い筋が金属のように拘縮していてすごく痛い。自力で歩けなくなったらたいへん。
冷えているのもあるし、(癌の手術の時に副甲状腺を切除しているので)カルシウム吸収が悪いのも関係ありそう。
無理は禁物なので3:42のケーブルカーで下山することにした。
途中、枯れたオヤマボクチ(ヤマゴボウ、ネンネンボウ、ウラジロ)やノアザミ、ノコンギク、センニンソウ、サルトリイバラ、茶色く乾いて化石のようになった果実のついたヤマユリなどをじっくり眺め、味わいながらゆっくり歩く。
ケーブルカーを降りてから、目下に4:03発御嶽駅行きのバスが待っていてくれるのだが、下りの急坂ががきつい。膝斜め上のすじが痛すぎてうまく歩けない。
まったく柔軟でなく、筋肉もやせているので腸脛靭帯断裂とかあり得るのでは、と不安になるような痛み。
皆がさっさとバスに走って行く中、とろとろと、焦らないことを意識して極めてゆっくり歩いた。
バスで御嶽駅に戻る。
御嶽駅に何か売店が出ているのを見たら、生山葵だったので感激。
ピアスしているおしゃれな20歳くらいの青年。「これ、作っているおうちの人ですか?」と尋ねると
「そうです。父が」
「ええ?!ここらへんで?」
「奥多摩の方です。うちは山3つ持ってるんで」
「すごい!山葵栽培ってたいへんなんですよね。湧き水のある山の斜面でですか?」
「そうです。段々畑にして」
以前に山葵栽培について読んだことがあり、とても微妙でたいへんな仕事と思う。
山葵は100円のから3000円のまで大きさ別になっていた。
かわいらしいのを3本購入。これを摺り下ろして食べるお蕎麦やお刺身は最高。
ホームの端っこに立って夕焼けに続く線路を見ると、未知の世界への旅情のようなものに襲われる。
錆びた鉄の柵に、私の大好きな紫や空色や青磁色の実のついたノブドウの蔓が絡まっていた。
帰りの御嶽からは接続がよかった。吉祥寺で総武線に乗り換えた。
反省要素としては脱水気味であったこと。途中、御岳平で一本の缶のミルクティしか飲んでいない。
行きの三鷹、青梅、澤井でトイレに寄ったが、もっとこまめに水分を摂って、もっと頻繁にトイレに行かないといけなかった。
帰宅してからほっとしてビールを飲んだら気持ち悪くなったのも脱水のせいだと思う。
お風呂で自分で脚の筋肉を肘でもんでいる。
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