文化・芸術

2025年3月26日 (水)

ヒヤシンスの絵 / FODMAP 、ブレンダー 野菜ジュース

3月26日(水)

雪さまにリクエストいただいているヒヤシンスの絵、制作中。

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ヒヤシンスの花色は多いが、私は青色、水色、薄紫系統が一番好きだ。

ご注文いただいたかたからも青色系が希望だと言われたので嬉しかった。

淡い青だとスカイジャケット、ブルージャケット(花の根元が鮮やかな空色で花弁は紫がかった青)、デルフトブルー・・・などの種類のヒヤシンスをイメージして描きたい。

ヒヤシンスの詩と言えば、大手拓次である。

ヒヤシンスは特徴的な素晴らしい香りがあって、真珠や霜のように花弁が光って、幼い頃から大好きな花だが、大手拓次の詩を読んでさらにヒヤシンスが好きになった。

その詩は、ヒヤシンスに色をつけた時に載せようと思う。

・・

猫の絵を買ってくださったサヤカちゃん(30年来の友人)と、最近メールで久しぶりに話した。

サヤカちゃんも長く腸の病気に悩んでいる。彼女は高FODMAP食品を避けることを教えてくれた。

FODMAPというのは、小腸で吸収されにくい4種類の発酵性糖質を指す用語とのこと。

Fermentable➝発酵性
Oligosaccharides➝オリゴ糖
Disaccharides➝2糖類
Monosaccharides➝単糖類
AND
Polyols➝ポリオール

お腹によいとされているヨーグルトや納豆、はちみつやオリゴ糖も高FODMAPに含まれる。

玉ねぎ、にんにく、ブロッコリー、キムチ、マッシュルーム、豆類、絹ごし豆腐、さつまいもなど私の好きなものばかり。

そして私の大好きな果物、さくらんぼ、桃、りんご、梨、マンゴー、スイカ、アボカド、プルーン、あんず、ライチ、柿、西洋梨、いちじく、すいか、プラム、ドライフルーツ・・・これらは全部やめられない。

ずぼらな私にはFODMAPを避けるのは難しそう。

何十年も前から欲しかったのにまだ買っていないブレンダーを買って、生野菜ジュースを飲んでみたいです、と言うと、

サヤカちゃんから、ワット数の低いものだとうまくできないというアドバイスをいただき、一番安い150Wのを買おうとしていたのをやめて500Wのを買うことにした。

本日、ブレンダーが届き、仕事から帰宅して夜、生まれて初めての自分で作る生ジュース体験。

小松菜を2株と有機バナナ一本、それにラブレ1本を加えてジュースにしたら最高においしかった。

飲んだらすぐにおなかがきゅるきゅる・・と鳴ってしまったが。ミヤリサンとロペミンを飲みながらだましだまし飲んでいこうと思う。

・・

先日、卓球仲間のMさんに体重が減ったと言ったら「たいへん、甘いものいっぱい食べなきゃ」と言われたのだが、

私はもう30年くらい、好んで甘いものを食べたことがない。お菓子に興味がなく、ほとんど砂糖を摂らない。

がん細胞はまず糖を吸収するのは事実だが、甘いものを食べても癌の悪化には関係ない、とも言われている。

しかし癌の悪化に関係なくても、身体の糖化、酸化、炎症に関係あることは避けたいし、私は甘いものを食べたいという欲求がまったくない(お酒は時々飲みたくなるが)なので、勧められてもいただかない。

甘いものをお土産にいただいたら、友達にもらっていただいている。

ぶどう糖加糖液の入った飲料も飲まない。

同じく卓球仲間のKさんに「すごくおいしい」という揚げせんべいを持ってきているので食べないかと勧められたが、謹んでお断りした。炭水化物が揚げてあるお菓子は食べない。

癌が動き出してから、絶対に食べたくないものに無理してつきあうこともない。

・・・

明日はまた絵の撮影。

ちゃんと選んだはずなのに、あとから絵を修正したくなったり、選にもれた作品が重要に思えてきたり、どうしても感覚が微妙に変化するので一発で決定!というふうにはならない。

悩み、迷いながら修正を重ねて、頭が少しずつ冴えて、どうにか考えがまとまっていく感じ。時間がかかるのだ。

プロの撮影現場を見るのは楽しい。やりかたを見せていただいていろんな発見がある。

私が現場で、一番撮りたいところのポイント(ディテール、色味など)を説明して、そこに焦点を合わせて撮っていただいて、思い通りの撮影になっていくのがとても充実感がある。

 

 

 

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2025年3月12日 (水)

彦坂尚嘉さん個展・ART FAIR TOKYO 19 (2025)

3月7日(金)

天王洲アイルの寺田倉庫2、CONTEMPOART TOKYOの彦坂尚嘉さんの個展へ。

天王洲という湾岸の場所が海風で寒いだろうと恐れていたのだが、やはり冷たい強風に震える。顔が冷えると敵面に浮腫が酷くなり、眼の奥が痛む。方向がよくわからず迷ってやっとたどり着いた。

エレベーターを待っていたらちょうど彦坂さんと糸崎公朗さんがいらした。

個展タイトルは「3層の美術・・・イベント・絵画の死・生成AIの絵画」。

昨年、永井画廊でされた個展「ゾンビ芸術と美女絵画」について質問してみた。

「ホワイトアート(原始性、狂気)、ピンクアート(イラスト、想像界)、ブラックアート(想像界と象徴界、言語活動)と分類した絵画は3者の比較では読み解くことができるけれど、例えばAI美女絵画1点だけを見て、それがホワイトアートだと判定できるのですか?」

答えは「それは難しいね」ということだった。そして「永井さんはこの分類について理解しているのですか」という質問に対しては「理解していない」と。

「絵画の死」のウッドペインティング連作について、素材は桂の木と表記してあるが杉とのこと。

「この造形なんですけど、下側が丸くて上側が直角に切ってある、このかたちにはどういった意味があるのですか?」と質問すると

「ダダの流れからやったんだよね。よく覚えてないな・・」とのこと。

1971年から72年まで、3回やったという床にラテックスをまくアクションの写真の前で糸崎さんが撮影してくださった。

私が手を向けているのは当時の25歳くらいの彦坂さんの写真。
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71年の自宅でやった時のは撮影されただけだけれど、ルナ三画廊でやった時はたくさんの人が見に来て、最後には数人の女性が躍っていたりしたそうだ。

ART FAIR TOKYO 19 (2025)について、搬入の時に見てきたそうだが、「今の現代アートはとにかく酷いね。」と言われていた。

「どういうふうに酷いですか?」

「とにかく知能程度が低いとしかいいようがない。芸術に達していない。やっている人もギャラリーもなにもわかってない人たちがやってるね」

また、ずっと避けられていた村上隆とやっと話せて動画を撮ることができたと言っておられた。

・・

駅へと戻る途中で、ガラス張りの店の中にずら~~と数百色もグラデーションで並んだ岩絵の具の瓶を見て、ついつい中に引き込まれてしまった。

こんなところに「PIGMENT」という店。

右の棚にはフルーツを詰めるような細長い瓶に鮮やかな顔料がずらり。店員さんに質問すると、イタリアのゼッキ社の顔料だと。

「テンペラやフレスコに使うものですか?」と聞くとそうだという。

もう極力、絵の具を買い足すことはせず、死ぬまでに今持っている岩絵の具を使い果たすと決めていたのに。

迷いに迷って、ラピスラズリよりも鮮やかなフタロブルーと、最近できた岩絵の具の煌く雲母系の黒を1両目(15g)ずつ買ってしまった。

たくさんの種類の膠がおいてあり、膠に混ぜて使えるというアルギン酸溶液が売られていたのだが、どうなのだろう?

「アルギン酸でつまり海藻ですよね?これをまぜて膠の柔軟性が高まるのですか?」と質問したが・・・結局買わなかった。

・・

次に有楽町のART FAIR TOKYO 19 (2025)へ。

通常の私なら絶対に来ない(今の現代アートは異常に疲れるので。)イベントだが、5000円もするチケットをいただいたので。

彦坂さんのブースは2階の無料コーナーで最初に見つけた。75年の「絵画の死」がテーマのウッドペイントの作品郡が目立っていた。

隣がボヘミアンズギルドだった。ジョン・ケージのシックな色の線だけの絵がよかった。ひとつひとつの線がおざなりでなく、全部違う音色。若林奮先生の繊細な「百線」もあった。

KTOのブースで、塚原史さんと会った。22年の私の吉祥寺の個展からの再会。20年以上前に早稲田大学で私の講演があってお世話になった、とKTOのオーナー田中さんに言ったら驚いていた。

「彼女はか弱く見えて、ものすごく強い人なんですよ」と、塚原さんが田中さんに私のことを言ってくださった。

南雄介さんにもお会いできた。

KTOスタッフで、詩が好きで、特に西脇順三郎と左川ちかが好きという珍しい人、一詩(かずし)さんに紹介された。一詩さんは私となら詩の話ができると、私と会うのを楽しみにしていたそうだ。

そして1階のメイン会場へ入場。
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正直、4日の検査結果でサイログロブリンがさらに上がっていたら来なかった。死を目の前に突き付けられた状態で私が耐えられるようなイベントではない。

意外だったのは、超然と我が道を行くギャラリーがけっこうあったことだ。

ローマングラス専門の店、ガレやドームのガラス器専門の店、中国骨董専門の店、素朴な陶の店、漆細工専門の店、熊谷守一ばかりの店、香月泰男ばかりの店、徳岡神泉や小野竹喬の抽象に近い小品を売っている店、戦争画(宮本三郎など)の専門ブースなど、私にはこれらのほうが面白い。

確かに彦坂さんが言ったように、いかにも現代アートといったものたちに関しては10年前、20年前よりレベルが落ちていると感じる。デザイン要素すらもなく幼稚さを売りにしているようなものも多かった。本当によく見る版で押したような類型。日本古美術のパロディなど。

一番惹かれたのは香月泰男の「幼鳥」。中村宏の女学生の顔の絵。

さり気ない古い厚紙に亀裂が入っているような作品郡を見つけて、「あ、この人はセンスいい」と作家名を見たら松澤宥だった。

概念派でオブジェを消そうとした人だが、皮肉にも、コンセプトを読まなくても、眼から入ってくるものにしっかりとなにかがある。まわりに展示されている大方の現代アートの人たちとは知能もセンスもまったく異なる。昔の人の感覚は違う。

なんの予断もなくただ眼をすべらせて行って、「あ、この人はいい!」と、そこだけ異質なものを発見して作家名を見ると、必ず昔の人の作品なのだ。

極力疲労しないように、眼からストレスになる悪いものを入れないようにと気を引き締めて行ったのだが、やはりそうとう疲れた。

最後のほうで東京画廊の山本豊津さんにもご挨拶できた。あいかわらずとても忙しそう。

右の腰に今まで経験したことが無いような痛みが走り、生まれて初めてのぎっくり腰になる危険を感じた。

銀座INZまで歩いて軽食、休憩して帰宅。

 

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2025年2月 1日 (土)

南雄介さんに絵を見ていただく

1月29日(水)

元新国立美術館副館長の南雄介さんに絵を見ていただいた。

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最初にお茶を飲みながらおしゃべり。

アガンベンの『アウシュヴィッツの残りのもの』と、デリダの『動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある』などにからめて、証言不可能性、表象不可能性と、アートによる「当事者」の身体からの収奪について私からお話した。

おしゃべりのあと、梱包を解きながら、絵を見ていただく。

私の絵について「破滅的な生き方の人を引き寄せそうな絵ですね」と言われた。

そうだとすれば、それはきっと枯れていく植物の運動を描いていると同時に、絵そのものが崩落しているから(止めてあるけれど)だろう。

私は自分の外にあるもの、枯れていく植物、錆、退色、剥落など人間の手ではなく雨風と時が作ったものに惹かれること、なるべく自分の意図でなく偶然や時が作ったものを画面に召喚したいことなどをお話しした。

私の絵は、現代アートの要素があると同時に桃山の障壁画につながっていて、また、宗達のような要素もあるとも言われた。

現代アートについて、いろいろ質問してお答えいただいた。

現代アートは感性がなくても理論が理解できれば見ることができるので「意識高い系」の若い人たちが見る、とのこと。自分が最先端のアートを楽しんでいるという自負もあるのだろう。

「テキストだけで作品はいらないのでは?と思ってしまうものが多いんですけど」と言うと、「そういうことはありますね」と。

現代アートの3大コンテキストというものも教えていただいて、ああ・・なるほど、と思うと同時に虚しさを感じる。

最先端のメディアアートなどは、メディア(人工)と人工の組み合わせで、私にとっては非常にストレスになるもの。

現代アートの作家の仕事はますます人工にのめり込み、デッサンから乖離し、そこに生きているもの(ロジックが破綻した場所で時とともに生成するもの)を見ようとしない。

南さんは村上隆の企画展をされたことがあるそうだが、「村上隆はきっと福山さんの絵が好きですよ」と言われた。ああ見えて村上隆はホルスト・ヤンセンが好きらしい。

 

 

 

 

 

 

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2024年11月20日 (水)

谷川俊太郎さんのこと

谷川俊太郎さんが亡くなった。
今作っている次の本——沢渡朔さんが撮影してくださった私の写真と、それに寄せてくださった谷川俊太郎さんの詩と、私の絵をまとめた本の完成を見ていただくことができなかったのがとても残念だ。

少女の頃、あまりに衝撃を受けた『二十億光年の孤独』。
「ネロ」は泣けて泣けて暗唱するほど読んだ。

私の最初の個展の時にご案内を出したら見に来てくださった。
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谷川俊太郎さんには大変お世話になっている。
2009年に作った『デッサンの基本』の帯文をお願いした時には4つも文をくださった。

・・・

「花」という言葉が花を覆い隠している
デッサンは花という言葉を剥ぎ取って
花という得たいの知れない存在に近づこうとする
            *
紙の上にワープして
花は「花」という言葉から
自由になる
花が生きるように沈黙のうちに線も生きる
それがデッサンではないか

            *

目前の具体物を紙の上に抽象化する過程で失われるもの
それを惜しむことで何かを得るのがデッサンかもしれない
            *
「写す」のは写真でもできる
デッサンは「移す」のだ
花を紙の上に

・・・

どれも谷川俊太郎さんの『定義』という詩集にも関わっている、
言葉で覆い隠されている物への「不可能な接近」「邂逅」についての問いを提起する谷川さんにしか書けないことばだ。

『反絵、触れる、けだもののフラボン』の帯文をお願いした時、この本について「とても面白い」とお宅の玄関先で言ってくださったことが忘れられない。
私はこの本でいわゆる「現代詩」とよばれる現代詩手帖に載っている詩のようなものではなく、私にとってのポエジィとは何なのかを、絵ではなく言語のかたちにして問うてみたかったのであり、その文章を谷川俊太郎さんがほめてくださったことはこの上ない恩寵だった。

「この書物をオビにするのは、至難の業です。
書いても描いても尽せない
いのちの豊穣に焦がれて
ヒトの世を生きる福山知佐子は
どこまでも濃密なエロスの人だ。」

吉田文憲さんと一緒にご自宅にお邪魔させていただいたこともある。
端的で示唆に富んだ言葉。
吉田さんはいつもの感じで打ち解けていたけれど、谷川さんの人に対する絶妙な距離感を察しすぎて私はとても緊張していた。

その日、『なおみ』という沢渡朔さんの写真とタッグを組んだとても印象的な絵本をくださった。
あの日、谷川さんと一緒に撮っていただいた写真はどこにいったのだろう。

フェリス緑園都市校での谷川さんの講演も素晴らしかった。
人がまったくいない光景にポエジィを感じると谷川さんは言った。

立場は全く違うが、人疲れするという意味でなんとなく通じていると感じていた。
あの時も大学職員の人が谷川さんにあびせるくだらない質問に、私は傍ではらはらしてしまっていた。
もちろん谷川さんはそういうことに慣れっこで淡々とこなすのだけど。

電車でお会いしても、私はごあいさつした後、隣の席に座ってただ黙って揺られていたりした。
谷川さんはしつこく話しかけられたりすることがとてもお嫌だろうと思っていたからだ。

今作っている本への詩をお願いする時、今までいろいろお世話になり、そのたびに胸が震えたことを手紙でお伝えした。
「谷川先生はもう覚えていらっしゃらないと存じますが」という私に、
「もちろん全部覚えています」とお伝えくださって泣けた。

谷川俊太郎先生、ずっと多くのものを与えてくださり、そのありがたさはことばになりません。

・・・・・・

11月20日(水)

二匹展で対人緊張などで胃が受け付けなくなり4kgやせ、42kgになった。

その後、少しずつだましだまし食べ、やっと少し体重が戻ってきたが、昨日から寒くなったらてきめんに体調が悪い。

顔が冷たい風にあたると浮腫が酷くなり、眼がちゃんと開かないし、首や眼の奥が痛くて頭が重くて・・とにかく苦しい。

人に会えないレベル。

11月19日(火)

がん研究センター。採血5本。

少し肝臓の数値が上がっていて「お酒を少し飲みました」と言うとY本先生に「関係ないですね。薬を続けているせいでしょう」と言われた。

お酒を飲みたくなるのは緊張がとれないのと寒いせいで、飲んだとしても1杯だけ。

サイログロブリン値が上がっていないかが恐怖なのだが、その結果は来月。

 

 

 

 

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2024年11月11日 (月)

二匹展 6日目(最終日)の記録

11月4日(祝日)の記録

今日最終日、もう本当に体力ギリギリで頭朦朧だったので今朝もレットヴィモ休薬。

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私の西新宿の古い家を改築してくれた村野正徳君。
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いつも変わらずあたたかい斎藤哲夫さん(シンガーソングライター)。
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今日は中塚正人の「風景」を歌ってくださった。
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このシンプルな曲はいろんな人がカバーしているが、哲夫さんの今日のギターと歌唱は一番泣けました。

いずれyoutubeにアップします。

たくさんのお客様。
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昨日来られて「『反絵、触れる、けだもののフラボン』にサインが欲しいんで、明日持って来ていいですか?」と言われた小説家のM・Kさん。ビーチサンダル姿が印象に残った。

私はこの本を小説家のかたにほめていただくのは初めてなので、たいへん感激した。比喩や観念を入れない、見えるものをそのまま描写することに共鳴してくださったとしたら稀有なことだ。


早稲田大学の谷昌親先生。「美容師にそそのかされちゃって」と髪を伸ばしてパーマをかけたヘアで、すごくおしゃれ。
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ポスターハリスカンパニー代表で寺山修司記念館副館長の笹目浩之さん。映画「田園に死す」の中での花輪さんの描いた看板は、寺山修司が撮影の際に火をつけて燃やそうとしたが、スタッフがそれは忍びない、と言って救ったとか。いいお話を聞かせていただいた。
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笹目さんも「とにかくこの絵が最高にいい」とおっしゃっていたペン画。これは30年以上前の花輪さんの個展で一番の大作で、その時に私が譲り受けた宝物なのです。あまりにも繊細で、かわいくて神々しい。
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安部慎一のドキュメンタリー映画を制作中の外川凌さん。

フルーテイスト、篠笛奏者の藤原雪さん。一緒にお写真を撮っていただきたかったのに撮り忘れてしまいました。

とにかくお客様いっぱい。
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昨日、外から大きなガラス窓越しに私の絵を見て、今日見に来てくださったという元モデルのHamさん。Sdsc01008_20241110130901

詩人の中本道代さん。
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シモーヌ・ヴェイユを主軸に芸術、詩学を探求されている今村純子さん。
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5時になった瞬間、テーブルに突っ伏してしまった。肩首背の筋肉が緊張しすぎて強い吐き気がして。

レットヴィモを飲みながら、サンダルで立ちっぱなしで血行不良の姿勢で連日はきつかった(寒気がするので腰と背中に使い捨てカイロを貼っていた)。

そして花輪さんファンのかたたちの熱い思いに触れ、対応する喜びと緊張感、半端なかったです。

ご来場いただいた皆様、熱心に見てくださった皆様、本や絵葉書など購入いただいた皆様、本当にありがとうございました。

新たな出会いも僥倖でした。

 

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2024年10月 7日 (月)

西新宿の生家の改築 最終日 パッションと宿痾

10月5日(土)

1階の奥の部屋。押し入れだったところを壁で塞ぎ、押し入れの外壁を取り除いて、そこに風が流れる(湿気がたまって家が腐るのを防ぐ)ようにしてくれていたのだが、今日はさらにそこに窓の穴を開けていた。

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押し入れだった部分の部屋側と廊下側にそれぞれ灯りとりの窓をつけてくれた。こちらは廊下側。

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1階奥の部屋。窓から蔦が見えるのがきれい。ここのガラスは透明にするかも。
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茶色く汚れた壁は最終的には白くなる予定。
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一階の手前の部屋と奥の部屋はピクチャーレールとダクトレールと照明をつけて、ギャラリーになります。

写真を撮るのを忘れたけれど、1階の手前の部屋と奥の部屋の間の壁はドアひとつ分ぶちぬきになっている。

玄関の下駄箱の上の壁に穴を開けて作った窓のまわりの壁(窓をはめるより壁の方がたいへんと言っていた)もできていた。
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もしかして徹夜した?


1階のトイレの扉と、1階手前の部屋の押し入れの扉に和紙が貼ってあったが、少し皺になっていた。

「この皺はまずいかもね・・日本画科出て何十年和紙貼ってるんだ、って言われちゃいそう。私、水で濡らしてやり直すわ」と言って

霧吹きで全体を湿らし、数分置いて、下のほうから両手でぴんと伸ばしながら和紙を剥いでいく。そして一番上のところをピンと左右に伸ばして張り直し、上から下にピーンと引っ張りながら貼り直した。

「すごい!きれい!」と言われる。私にもひとつくらいほめられる仕事があってよかった。

手前の部屋の押し入れは工具入れになった。
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手前の部屋と廊下の間の窓。ガラスが無かったところに、どこかで見つけて来たガラスをガラスカッターで切ってつなぎ合わせてはめてくれた。左側の曇りガラスには蔦の触手(ヤモリの足跡のような)がそのまま残してある。

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福山家出土品の一部。左の緑の瓶は「人體消毒液 リゾホルム」と書いてあり、床下から出て来た。
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1階の奥の廊下。時代本箱。アルミサッシは和紙を張った障子戸で隠す予定。
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いつか付けてもらう予定のキツネのノッカー。高円寺のMALTOさんのドアに付いていたもので、私が何年も前から熱望していたがもう在庫がなく、先日、思い切ってこれを譲っていただけないかお願いしたら売ってくださったもの。
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売っていただけるなんて思っていなかったので「嘘みたい!信じられない!嬉しい~!」と叫んだら「そんなに喜んでいただけるなんて本望です」と店主さんに言われた。

 

今日は私も疲労と副作用で顔も腫れて体調悪く、もう作業ができないと言ったら「天井に和紙を張るのだけ手伝ってほしい」と言われ、

「じゃ、やりましょう」と腹をくくったが、M・Mさん自身が(たぶん頭のほうが)疲労困憊で「できるかな・・・?もうちょっとだけ待って」と

玄関のところに座っていた。すごく朦朧としていそう。

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あまりにもM・Mさんがお疲れのようなので、自分でスツールの上に載ってみたら天井に手が届いた。紙の幅に鉛筆で線を引いて、その範囲に少し水で薄めた糊を刷毛で塗っていく。

最初の一枚は手伝ってもらいながら私が主導で貼った。ロール紙をぴっちり角に付けて、たるまないようにピーンと貼っていく。

この作業は私の一番の弱点である首(甲状腺癌手術の時に転移していた周りの筋肉を大幅に切除したため、頭の重さを支えきれない)と肩の筋肉を酷使するため、10分くらいで痛くて吐きそうになった。

2枚目を貼るための糊を塗っているM・Mさん。
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M・Mさんはよろけて薄めた糊を床にぶちまけたりした。もう疲れすぎて限界なのだと思う。汚れた床を拭いたり、木の削りカスを掃除するくらいは私でもできる。

そのあとM・Mさんは風呂場の床のセメント部分に塗料を塗っていた。いずれはバスタブを持ち上げて、その下を掃除するという。

ガスレンジ台も作りたいけど(そんなものまで作るの?)今日は無理、と。

大きなところでは、うちの出っ張っている玄関部分(大昔に増築したところ)を壊して隣家と接触している壁を無くしたほうがいいと何度も言われた。

隣家側の壁にセメントの防火スプレーをかけたほうが、万が一、隣が火事になった時にも安全という。

「玄関を屋根から壊すことなんてできるの?」

「手(バールと金づち?)で少しずつ壊せば」

「じゃ、私が生きているうちにできたらやってください。あなたの情熱と意志がもしあるなら」

午後3時過ぎまで作業。このあと彼は荷物整理して、夕方からは舞踏のレッスンに行く。そして今日の夜か明日には長距離バスで地方へ。

M・Mさんは最初の頃から作業状況を逐一写真に撮っていたが、ついにほぼ出来上がった部屋を撮りながら「すごくいいと思う。よくできた」と言っていた。

こんなふうに古い家を改築したのは初めてだという。

「もう二度とこんなたいへんな仕事はできないし、やりたくない」

1か月前くらいだったか、彼は「仕事のこと考えると(自分の納得する予定通りにできるのか不安で)心臓が痛くなる」と言っていた。

期限内に自分の納得するかたちで一旦終了できるように、よほど頭を使い、よほどいろいろ心配して自分を追い詰めたのだろう。

「Tさん(M・Mさんの友人でうちに泊まっていた人)にも、命削ってるねって言われた」という。

「あと5日・・・あと5日くらい作業すれば全部完成ですね」とぽつりと言われた。

最初のひと月は家具の破壊と、掃除、遺品整理、ゴミ出しからやってくれた。数えきれないほどゴミ出ししてくれた。

誰も考えなかった天井を落とすこと(80年近く溜まった埃とネズミの糞の掃除)、どの建築家にも無視された大変な作業、柱をジャッキで上げ、白アリなどで腐っている部分を切って継ぎ直し、土台石に載せることをやってくれたのも、表面的なことではなく根本の重要なことだから。

すべてこの古い家の命を本当に長く持たせるために。

誰も関心を持たない、私でさえ諦めていた遺棄されたものの命を蘇られせてくれた。

M・Mさんにはいろんなことを教えてもらった。ゴミの中から使えるものを拾い出して有効活用すること。買わないで自分で考えて作ること。

巨大に感じるものでも自分の手で破壊できること。破壊を恐れないこと。つくりかえたいと思ったらつくかえられること。

そういう実際の、本物の破壊と創造の行動を目の当たりにしながら、私は残り少ない命の時間にできることを考えていた。

私が本当に目撃したものは、どんなにハードでも(ほかの誰にも何をやっているのかを理解されなくても)自分が納得するところまでやり遂げたいという身に覚えのあるパッション。

やりたいと決めたら集中して、命を削っているとわかっていても心身ともに捧げてしまう身に覚えのある宿痾。

嫌いなもの、嫌いな人には徹底して関わりたくないという身に覚えのある宿痾。

私たちは時折、現代アートの話、あるいは「絵画」の話、表現の話をした。どんな「絵画」が好きか、どんなアートを酷く不快に思うか。

彼は私より遥かに現代アートのことをよく知っていて、最先端の現代アートのギャラリーに展示されたこともあって、けれど今はもうアートの制作はしていない。

中学時代に土方巽を知り、今はアートより舞踏していたほうがいいという。しかも舞踏を発表したいわけではないと。

「感謝してもしきれない」という陳腐な言葉では表せない。

私が生きているうちに、少しでも有効にこの場所を使えたらいいけれど。でもお金のために焦燥するのはよくない。できれば信頼できる人とだけ、楽しい気持ちで何かできたらいい。

・・

私も疲労で頭が朦朧として身体が動かなかったが、一旦帰宅してお茶を飲んでから17時過ぎに新宿へ出た。

花輪和一さんとの二匹展のために展示する作品を選び、合う額があるものはそれを使い、額がないものは発注する準備。

21時過ぎに帰宅。午前2時すぎまで眠れなかった。

・・・・・・・・・

「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ
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会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、私のブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/japanese-style-paintings-1-%E8%86%A0%E7%B5%B5/

 

 

 

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2024年10月 6日 (日)

西新宿の生家の改築あと2日、玄関のドアクラッキング塗装取り付け、ラストスパート

10月4日(金)雨のち晴れ

西新宿の生家の改築はいよいよ明日の昼で一旦終わり。

玄関のドアのニス仕上げをするのに、今日は晴れでばっちりと思っていたのに、昼から結構降っていた。

雨に濡れて陽が差してきた十二社の石段。ヒメムカシヨモギが美しい。
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石段の中ほどにあるホテルニュー寿(アラーキーご愛用だったらしい)だったところ(廃屋)の入り口。
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昔の風情をわずかに残している。塀の中をのぞくと、黒電話の入った箱などが見える。地主のJ寺はここを潰すつもり?
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今日はまず、9月から今までのお支払いをさせていただいた。

M・Mさんの細かい作業日誌による時給×時間の計算で、〇〇万7800円をお支払い。7月、8月分の額の1.6倍。9月から一日の作業時間が長くなっていてどんどん過労気味に。

(私のブログを見てM・Mさんにお仕事を依頼したいと思ったかた、ちゃんとお金を払ってあげてください。ただM・Mさんはお金のための仕事はしない、やりたいと思った仕事しか引き受けないそうです)

日誌の手書き請求書にサインしたものをくれた。「字、書くの速いし慣れてるよね。子供の頃、習ってた?」

「はい。中学の時は生徒会の書記でした」

「うわ!」

「誰もやりたがらなくて時間がもったいなかったので、犠牲的に立候補して・・・選挙ではどういう学校にしたいかを演説しました」

そういうキャラには見えないけど。



一階のトイレの下側についている窓が壊れていたのを作ってくれている。こんなことまで・・。
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トイレの窓を外からはめているところ。左隣の家は廃屋で、うちと同じくらい古い(戦後1年目に建った?)。その家とうちのあいだは狭くていろんなガラクタと朽葉が詰まっている。
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手前に写っている鉄の台は、M・Mさんが見つけて、その上にエアコンの室外機を載せてくれた。

私は防ガスマスクをつけて玄関のドアの外側に透明な飴色の油性ニスを塗り、乾いてからドアをひっくり返してもらって、ドアの内側に水性ニスを塗った。

M・Mさんは大量の作業服をいっぺんに二層式の洗濯機に入れていて「水が回転しない」という。粉の洗剤も全然溶けてなく、素手を突っ込んでかき回した後、乾いたタオルでぱっと手をぬぐっていたのでぞっとして「強アルカリだよ。ちゃんと手を水で洗わないとかぶれるしアレルギーになるよ」

若い人は昔の二層式の洗濯機なんて知らないのだ。洗濯槽の水を抜いて洗濯ものの半分を脱水機に入れ、残り半分にたっぷり水を入れたら普通に回転した。

「洗濯物が多すぎて重すぎで回らないのよ。半分量で洗い、脱水、水を変えるを3回繰り返すんですよ」

「勉強になりました」

もう明日には旅立つので、冷蔵庫の中のものを使い切るために、M・Mさんは手慣れたスピードで玉ねぎをトントンと微塵切りにし、バターとオリーブオイルで炒めた。
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大根は1cm角に切り、ニンニク、キノコも入れて塩をふって炒め、しんなりしたら昆布だしと牛乳を入れ、土鍋で炊いて冷蔵していた麦と玄米を加えて、クリームリゾット。

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ニスが乾いたドアを玄関に取り付けるのがたいへんだった。重いドアを持ち上げてもらって、蝶番の穴を木にあいている穴に合わせて、私が生まれて初めて使う電動ドライバーでネジを止めていった。電動ドライバーの快感。すごく楽しい。

重たいドアを外した時になぜか固まって動かなくなってしまった金具(クローザー?)を金づちで叩いて直すM・Mさん。

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玄関にドアがついたところ。
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左側の茶色い木の部分(これもドアで、本来は開くのだが錆びついていたのをM・Mさんが直した)を白いクラッキング塗装にしようと思い、はずして水平に置いてもらったら、白い塗料がなかった。

「ベージュの塗料でいいっすよ」

「やだ。白でかすれたクラッキングにしたい」

「緑(薄荷色)でいいっすよ」

「ん・・・と、私は画家なので自分の色の感覚に合わないことは妥協したくないの。彫刻家の人は色はどうでもいいのかもしれないけど」

しかたないので水とスチールたわしできれいに洗って、ドアの上についていたクモの巣とドアの下の泥も掃除して元の位置に戻してもらった。

カフェ板を敷いた部屋の隅の隙間に数cmに細長く切った板をはめた部分、さらに細くあいた隙間に2mm~5mmにスライスした板をはめて金づちでトントン叩く。最後の1mmくらいの隙間はパテを詰めるという。実に几帳面。
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私も手伝って昨日パテで埋めた木の継ぎ目の部分を、やすりのついた器械で研磨してつるつるにする。この作業はものすごく粉が舞い、玄関の空気が白濁したので急いでドアを開けて防塵マスクをつけてもらった。あとでもう一度上から白い塗料を塗るらしい。
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1階の手前の部屋。
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1階のトイレに余ったカフェ板を敷き詰め(もったいないと思う)、水道管の水漏れしている部分を直してくれているM・Mさん。
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M・Mさんは本当に必死に、仕上げられるところをンどんどん仕上げてくれていっている。

私も普段使わない筋肉を使い、一度もやったことのないことをやっているので全身筋肉痛で頭が朦朧とするのだが、彼はものすごく疲れていると思う。

なにしろ設計図もマニュアルもない作業を、すべて彼一人の頭で考えながらやってくれているのだから。

彼は以前、鬱になったことがあるという。彫刻をやっている時、どんどんハイになって、やり終えた時にその反動で鬱になると。

どんな感じかというと「枯れた感じ」。何も喜びを感じられない、何にも感動できない。それは脳に負担をかけ過ぎたあとのバーンアウトだろう。

彼は一見おっとりしてるように見えて、実際は私よりずっと非論理的な感覚が激しい。

「あの場所は嫌(なんとなく陰気)な感じ。ずっといると具合悪くなって耐えられない」(なぜ?と質問しても明瞭な応えが得られない)、「あの人は嫌い、フリーダムを演じてる感じが」とか(これは非常に共感しやすい)、私が意識していなかったことをいきなり言われる。

ものすごく芸術家気質で、独自の嗅覚でいちいち不安や嫌悪を感じているので消耗しやすいのだ。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、このブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/japanese-style-paintings-1-%E8%86%A0%E7%B5%B5/

 

 

 

 

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2024年10月 5日 (土)

西新宿の生家の改築あと3日、玄関のドアのクラッキング塗装、十二社の石段

10月3日(木)

明後日の昼でここの改築は一旦終了。

今日はまず玄関の壁にはったベニヤの継ぎ目にパテを塗る作業を手伝う。

オフホワイトに塗った木の板の質感の上に白いパテを盛り上げながら、私はマチエールを大切に絵を描いている感覚にしかならず、和紙を張らずに木製パネルに描いている気持ち。ここに銀箔を組み合わせる想像で高揚する。

玄関のドアのクラッキング塗装の続き。最初に失敗した部分、薄荷色の塗料が残っているので、もう一度焦げ茶色の下塗りをラフにしたところ。

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クラッキング塗装完成。
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作業していた部屋の床にカフェ板を敷くために、塗装完成したドアを奥の部屋に移動。
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カフェ板を敷いた上にドアを置いたところ。こちらの部屋は黄色っぽい裸電球ひとつなので、薄荷色が黄緑っぽく映る。

いよいよニスを塗って仕上げるのだが、やったことのない私は、油性ニスで水性塗料のクラッキングが溶けたりしないのか不安。

小さな木切れにクラッキング塗装したものに試し塗り。

匂いにアレルギー反応が出て気分が悪くなる可能性があるので、明日、防ガスマスク(銀箔の腐蝕で発生する硫化ガスのために買ったもの)を持って来て一気にやることにする。

私が大好きな大切な場所、十二社の昔(私が幼児の頃)から残っている石段。そこらじゅう料亭だらけで三味線の音が聞こえていた昔の面影はほとんど消え失せ、たったひとつここだけが懐かしい姿を留めている。

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ここを昨日から測量している人たちがいる、とM・Mさんに言われて見に行く。

尋ねたところ、測量の依頼主はここら辺一帯の地主、(福山家と因縁の)J寺とのこと。まさかここを工事しないよね・・・?この石段が崩されたら私のショックは計り知れない。十二社の乳銀杏が切られて無くなっていたことも私には酷いショックだったのに・・。

「十二社の石段を守るイベントをやればいい。僕とF(社長)さんがここで踊るから」とM・Mさんが言う。

廊下の古い天井を無くして(80年の埃とネズミの糞を掃除し)石膏を塗ったベニヤをはめてくれたところの、端っこをきれいに合わせて釘で止める作業。
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M・Mさんはすごく焦って集中していて、いつもお昼や3時にお茶を飲むのに、この日は一度も休憩をとらなかった。

私が空腹に耐えられなくなって「コンビニに行くので何か買ってきますか?」と聞いてもも「何もいらない」という。

たこ焼きを買って来て、熱々のを勧めてもピリピリしていて「話しかけないで」ときつく言われる。

天井板を固定する作業が終わって「やっと終わった!」とお勝手の方に来て「あっ、たこ焼きがある」とぱくっと食べて「おいしい~」と。

「さっき、熱々にした時にひとつくらいつまめばいいのに」と言うと「作業に集中してる時って、一言も話しかけられたくないでしょ。」と。

「11月の私の二人展が終わるまでは何かイベントをすることもできないんだから、そんなに根をつめて焦らなくていいでしょう。過労になっちゃう」と言うと、

「きりのいいところで止めたいんです。自分で納得するきりのいいところで。デッサンだって途中は必ずいいところで中断しろってさんざん習ってきたし」と。

「私はデッサンはむしろ、何が描いてあるかわからないところ、人がやらない奇妙なところで中断したいけどね。」

 

油性ニスに使った刷毛をベンジンにつけて洗ってくれた。明日はクラッキングの油性ニス仕上げの本番。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、このブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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2024年10月 4日 (金)

西新宿の生家の改築 最後の買い出し

10月2日(水)晴れ

今日は最後の買い出し。

7月からやってくれていた私の生家の改築も、6日の午前中で一旦(基礎工事が)終わりで、M・Mさんは東京を離れる。

あとはたまに東京に来た時にちょこちょこやってくれるらしい。

M・Mさんが石神井のレンタカー店に行ったら保険証が無いと借りられないと言われ、急遽、予定変更で東中野のレンタカー店前で12時半に待ち合わせ。

車でまずは西新宿の生家に行き、古い洗濯機を載せて板橋の家電リサイクル指定引き取り場所へ向かう。
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M・Mさんは、以前、こういう場所で大きな家電を車から降ろして運ぶ仕事もしていたという。
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次に練馬のホームセンターに、注文していたカフェ板23枚を取りに行く。

ここは思ったよりずっと小さな店舗で、ドアの外側のクラッキング塗装を堅牢にするためのニスを探したが、あまり種類がなかった。

店員さんに聞いてもわかりそうもなく・・結構迷って、屋内用、木用と書いてあるのが気になったが油性の透明なのを買った。

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結局、さらに垂木を買うためにさらに中野のホームセンターへ。

また私の好きな中野操車場を上から見ることができた。
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ここで練馬のホームセンターになかったスプレーのニスも一応買った。

カフェ板を下ろしにまた西新宿の生家へ。

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このあと三河島の建設会社のF社長さんのところに、この前お借りしたジャッキ2台を返しに行く。

その近くの荒川の見晴らしの良いところで夕焼けが見れたらいい、と言っていたのだが、時間がどんどん押してしまい、

途中、中野坂上の駅前を過ぎる瞬間にきれいな夕焼けを見た。
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車が文京区を過ぎるころには外は真っ暗。新三河島に着いてからもF社長さんの会社になかなかたどり着けなかった。

ようやくお目にかかれたF社長さんはとてもチャーミングなかただった。

すぐ近くなので、広い荒川のほとりに行ってみた。けっこう釣り人のような人たちがいた。

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最近の私は忙しくて(がんのせいではありません)少し体重が落ちている。きのうの夜は43.7kgだった。

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2024年10月 3日 (木)

西新宿の生家 部屋の下に井戸?玄関のドアのクラッキング塗装

10月1日(火)曇りのち時々雨

玄関の大きなドアのクラッキング塗装。まず小さなベニヤ板に液体糊と塗料の濃度を実験。

先日失敗してクラックがはいらなかった部分を全部、紙やすりのついた(アイロンのようなかたちの)器械で削り取る。最初、要領を得ず無駄に力を使ったが、先の方に力を入れて押すと削れる。

ドア全体にやすりをかけ、焦げ茶色の塗料で下塗りして乾かす。

液体糊を塗って手で均一に伸ばし、少し乾いたら薄荷(ミント)色の水性塗料を、下の糊と混ぜないように上に乗せていく。

途中、ぽつぽつ雨が来たのでドアを玄関に入れて立ててもらったら、まだ液体糊が乾ききっていなくて、塗装がだらだらと下に流れてしまった。

泣く泣く流れた部分をすべて雑巾で拭いてきれいに水拭きし、やり直し。

ドアを室内(手前の部屋)に入れて水平にしてもらってやることにした。 

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薄荷(ミント)色の塗料を塗って1分くらいで少しずつクラック(ひび割れ)が出てくる。

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同じ部屋の古い板の間部分をはがして床下を見ていたM・Mさんが突然叫ぶ。

「わあ、なにこれ!やばい!やばい!」

「?」

「こんなやばい現場初めて。今のうちに写真撮っておいたほうがいいすよ」

見ると床下に井戸のような穴があった。板の間部分をはがして下を見たことなんてないから、びっくり。

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M・Mさんがスマホで写真を撮ったら、オーブのような光が3つも写っていて「すごく怖い!」という。

「私は心霊とか本当に全然怖くないの。ただ大きな穴を見ると落ちるような気がして怖いだけ。木でちゃんと穴を塞いでね」と私。

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穴をふさぎ、垂木を組み、カフェ板をのせていく。

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こちらは奥の部屋。部屋のゆがみに合わせて、ぴっちりはまるようにカフェ板をやや斜めに切って隙間を埋める。Sdsc00393_20241003230301
器用にきっちり合わせて埋めているので、思わず「すごい!きれい!」と叫んでしまう。

Sdsc00392_20241003230301

そして奥の部屋の天井も・・・。私のトラウマだった父の煙草のやにで茶色くなっていた天井板を落とし、同時に80年近く溜まっていた埃とネズミの糞を掃除機で吸い取ってくれて、きれいに石膏を塗った板を何枚もきっちりはめてくれた。
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やにで茶色い壁は、あとで研磨して白く塗ってくれるそう。

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