植物

2025年6月12日 (木)

斎藤哲夫さんと偶然会う、6月の花、6月の実

6月8日(月)

フヂヤ薬局さんの枇杷の実を採らせていただいていたら、七ツ森の前の信号の向かいに斎藤哲夫さんが立っていた。

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「わあ~~!!」と言ってハグ。

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「ここら辺に住んでるって聞いてたから会うんじゃないかと思ってた。ほんとに会ったね!」と笑顔。

阿佐ヶ谷から青梅街道の方に出て、新高円寺の方まで散歩していたという。これから高円寺で友人と会うと。

「お元気そう。またやせた?」

「やせたよ。歩いた方がいいからね。元気なの?」

「元気です。きょうも夜は卓球行くんですよ。」

「夜卓球?すごいね~」

哲夫さんは顔はやせていたけどお腹周りはちょっとふっくらしていた。

「でもそんなにガリガリじゃないですよね。よかった。私のあばら見て。腸が痛くて42kgまでやせちゃったんですよ」

「わ~、やせてるね。でも元気でよかった」

哲夫さんはビリケンでやった花輪和一さんの個展を見たそうだ。元気でいろいろ活動されていてほんとうによかった。

哲夫さんのホームページが見られなくなっていたから心配していたのです。

今度は7月の私の個展に来ていただけると思う。

6月6日(金)

枇杷と檸檬をリカーにつける。花のような甘い香りで気分がよくなる。

ダークチェリーのお酒と白加賀梅のお酒も。

6月3日(火)雨

まだ夏も若い日。暖かい雨に濡れ、蛇道(細い暗渠)を歩く。

春紫苑に変わって、春紫苑よりも背の高い姫女苑の花。

咲き急ぐ梔子の花。小さくとがった南天の花。

足首のあたりに広がるドクダミの花のみずうみ。

高い枝には泰山木の花。

6月の花は白が多い。

蜜柑色に色づいてきた枇杷の実。

同じ色を競う杏の実。

固く光る小豆色の椿の実、青い木瓜の実。

急に大きくなった梅の実。

まだ青く固いマルメロの実。

植物の繊毛に銀の玉が夥しくとどまって、はじけて、流れるのを見ている。

どこかで鳥が鳴いている。

去年から落ちなかった檸檬の実に飛びつくと

千枚の葉にのった滴が滝のように落ちてきてずぶ濡れになる。

 

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2025年5月20日 (火)

薔薇、薔薇・・・

神代植物公園

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グラハム・トーマス

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新宿区のある住宅地

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とても淡いアプリコット色のピエール・ド・ロンサール。

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2025年4月27日 (日)

大手拓次 ヒヤシンス、薔薇

4月27日(日)

ヒヤシンス 水彩
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  ヒヤシンスの唄 大手拓次『藍色の蟇』より

ヒヤシンス、ヒヤシンス、

四月になつて、わたしの眠りをさましてくれる石竹色のヒヤシンス、

気高い貴公子のやうなおもざしの青白色のヒヤシンスよ、

さては、なつかしい姉のやうにわたしの心を看みまもつてくれる紫のおほきいヒヤシンスよ、

とほくよりクレーム色に塗つた小馬車をひきよせる魔術師のヒヤシンスよ、

そこには、白い魚のはねるやうな鈴が鳴る。

たましひをあたためる銀の鈴が鳴る。

わたしを追ひかけるヒヤシンスよ、

わたしはいつまでも、おまへの眼のまへに逃げてゆかう。

波のやうにとびはねるヒヤシンスよ、

しづかに物思ひにふけるヒヤシンスよ。

・・・

ヒヤシンスと言えば・・と思い出して大手拓次を検索したら、偶然にも今日、「薔薇忌」の集まりを磯部温泉でやっていたみたい。

行ってみたかった気もします。

大手拓次の詩をすごく好きになったのは15歳くらいだろうか。萩原朔太郎より大手拓次がずっと好きで、何度も繰り返し詩集を読んでいた。

小学生の時に『愛の詩集』(鈴木亨編 ジュニア版 日本文学名作選 偕成社)という本を持っていて、その中に「恋」「ばらのあしおと」「風のなかに巣をくふ小鳥 —―十月の恋人に捧ぐ」「とじた眼に」という詩があった。

その本には60人超の詩人の詩が抜粋されていたのだが、その中で私がすごく好きだったのは大手拓次(それから北村初雄、吉田一穂、安西冬衛、八木重吉、新見南吉、中原中也・・・)。

それが大手拓次を知った最初だが、ひらがなが多くて、なにが書いてあるのかよくわからなくても、文字面と音声とリズムで美しい絵が見えた。

大手拓次の詩は強烈に感覚に訴え、動物、植物、そして色や香りについて書かれた詩が多い。

そよそよと、よろよろと、透明で薄暗くて、陰で、不気味で、つかまえどころがなくて、消えいろうとしているのだが、不思議な生命を持ち、いつまでも繰り返し胸に戻ってくる。

大手拓次の詩は、たくさん好きなのがあって選びきれないのだが、とりあえず『藍色の蟇』から、あと五篇、書き写しておきます。

 

・・・

 

  あをざめた僧形の薔薇の花


もえあがるやうにあでやかなほこりをつつみ、

うつうつとしてあゆみ、

うつうつとしてわらつてゐた

僧形のばらの花、

女の肌にながれる乳色のかげのやうに

うづくまり たたずみ うろうろとして、

とかげの尾のなるひびきにもにて、

おそろしいなまめきをひらめかしてうかがひよる。

すべてしろいもののなかに

かくれふしてゆく僧形のばらの花、

ただれる憂欝、

くされ とけてながれる悩乱の花束、

美貌の情欲、

くろぐろとけむる叡智の犬、

わたしの両手はくさりにつながれ、

ほそいうめきをたててゐる。

わたしのまへをとほるのは、

うつくしくあをざめた僧形のばらの花、

ひかりもなく つやもなく もくもくとして、

とほりすぎるあをざめたばらの花。

わたしのふたつの手は

くさりとともにさらさらと鳴つてゐる。

 

・・・

 

  道化服を着た骸骨 


この 槍衾のやうな寂しさを のめのめとはびこらせて

地面のなかに ふしころび、

野獣のやうにもがき つきやぶり わめき をののいて

颯爽としてぎらぎらと化粧する わたしの艶麗な死のながしめよ、

ゆたかな あをめく しかも純白の

さてはだんだら縞の道化服を着た わたしの骸骨よ、

この人間の花に満ちあふれた夕暮に

いつぴきの孕んだ蝙蝠のやうに

ばさばさと あるいてゆかうか。

 

・・・

 

  雪が待つてゐる

 

そこには雪がまつてゐる、

そこには青い透明な雪が待つてゐる、

みえない刃をならべて

ほのほのやうに輝いてゐる。

 

船だねえ、

雪のびらびらした顔の船だねえ、

さういふものが、

いつたりきたりしてうごいてゐるのだ。

だれかの顔がだんだんのびてきたらしい。 

 

・・・


   花をひらく立像 


手をあはせていのります。

もののまねきはしづかにおとづれます。

かほもわかりません、

髪のけもわかりません、

いたいたしく、ひとむれのにほひを背おうて、

くらいゆふぐれの胸のまへに花びらをちらします。

 

・・・

 

 青い吹雪がふかうとも 


おまへのそばに あをい吹雪がふかうとも

おまへの足は ひかりのやうにきらめく。

わたしの眼にしみいるかげは

二月のかぜのなかに実をむすび、

生涯のをかのうへに いきながらのこゑをうつす。

そのこゑのさりゆくかたは

そのこゑのさりゆくかたは、

ただしろく いのりのなかにしづむ。

 

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2025年4月20日 (日)

アオサギが寄って来てくれた、晩生の八重桜

4月15日(火)21℃風が強い

新宿御苑。

アオサギが優雅に池の中にいるな、と見ていたら

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目が合った!若冲の絵みたいに鳥と真正面で対峙する不思議な構図。

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こっちに寄って来た。
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どんどん寄って来た。
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なんで?なんで来てくれるの?

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すぐ目の前まで来た。心臓がどきどき・・・

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ああ・・きれい・・

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そして後ろを向いて・・

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飛び立ちました。

「まだ剖(わか)れない巨きな愛の感情です。」と宮沢賢治が書いた「鹿踊りのはじまり」の嘉十のような気持ちになり、しばし、ぼおっとする。

触れてはいけないもの、いつも遠くからしか見られないものが突然近くに来てくれて、とても動揺した。

毛のはえている動物もすごくかわいいけど、鳥もかわいい。どんな動物も殺したくない。食べたくない。

 

私の大好きな「太白」はもうすっかり花がなくて緑になっていた。

遺伝子鑑定により、なぜか(4月に咲いているにも関わらず)「十二月桜」と名前を変えられてしまったけど、それは見て、出会って、触れて、匂いを嗅いだ個人の体験や記憶とは別のことだ。

若林奮先生がいつも言っていらしたことは、自分の体験でないもの(情報など)をわかったかのように表現しないこと、

「振動尺」とは、自分と対象のあいだの振動をはかるものであり、自分の感覚が及ぶ限界をはかるものである。

だから私にとってはずっと「太白」の樹だ。

http://chitaneko.cocolog-nifty.com/blog/2022/04/post-690bf6.htmlp

 

西洋庭園の近くの日陰の森にひっそりと生きていた山桜の樹が、切られて無くなって、もう名残の切株も見つからなくなっていた。

切株があったら、在りし日の姿を脳裏に見ることがもっと容易なのに。

テングス病になっていて、それだからこそ西日を受けて輝く姿は荘厳にも見えていたのに。



「一葉」(盛春の八重桜)も散りかけていた。

おおよそ毎年、4月15日~17日くらいが「一葉」や「鬱金」、「御衣黄」などの盛りだったのに、今年はもうポシャポシャになっていた。

短い春があっという間に終わってしまう。胸が苦しい。

もうハルジオン(春紫苑)もぽつぽつ咲いていた。まだつぼみは多いけれど、春紫苑が咲き終わったらもう本当に春がいなくなりそう。

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今年も生きて福禄寿(晩生の八重桜)の樹と会えた。

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銀杏の新芽。
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2025年4月11日 (金)

新緑、椿、枝垂桜、浮腫がましな日

4月9日(水)23.8℃

今朝は眼が覚めた時に顔が冷えていなくて、眼の奥と瞼の痛みが少なかった。明け方の最低気温が11℃で寒く無かったせいか。

きのう、マッサージ師のWさんに「頭ががっちがち!びっくりするくらい!頭痛が酷いレヴェル」と言われて、こめかみを思いっきりもんでもらったおかげか。

最近のうちでは浮腫(鬱血)が軽いほうだ。浮腫の調子は日によってすごく差がある。

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ソメイヨシノ。私の好きな緑の光の帯が出た。

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私の大好きな去年の立ち枯れと、点描の新芽と、緑の光の帯。
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この緑の光の帯はレンズの汚れのせい?


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白い八重椿。「白雪」だったろうか・・?
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枝垂桜。

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井之頭公園の池。残照ぎりぎりに間に合った。

なんとなく感傷的な風景だが、毛利武彦先生がこの池を森閑とした風景として描いていたのを思って、桜の季節にはつい来てしまう。

 

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2025年4月10日 (木)

冷えると浮腫が酷く体調悪い、国立がん研究センター

4月5日(土)

久しぶりに国立へ。

並木の桜は今日がまさに満開。だけど人気のない枯れ蔓の這う倉庫のようなところに惹かれてしまう。

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菊科の立ち枯れの風情に惹かれて走り寄ってみると、危険なアメリカセンダングサ。

この種子は服や運動靴に刺さって、指で丁寧に抜いても小さな棘が残っていてずっとチクチクと刺す。

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原生林の陰に花びらの大きいニオイスミレが咲いていた。

明治時代の一般の人が描いたスケッチなどを売っているというコレノナというお店に行ってみたかったのだけど、休業中だった。

裏通りを周ると明治牛乳の隣にユニコーンブレッドという素敵なお店と魅力的な古いアパートを見つけた。

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「第一松葉荘」と「月朋荘」と書いてある。

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18時過ぎに国立の駅に戻るとピーィッという高くてきれいな声が鳴り響いていた。

見上げると数羽のツバメが飛んでいた。とてもかわいい。

駅の構内のスピーカーの上に巣をつくっているのだ。新しい建物なのに気に入られたみたい。
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この日も浮腫が酷く、使い捨てカイロを貼っていたのに冷えたのか、夜は悶絶するくらい胃腸の調子が悪かった。

4月4日(金)18℃

1日から3日間、冷たい雨だったが、桜の花は散らずにしっかりと枝にくっついていた。

私はあいかわらず浮腫が酷く、調子が悪い。
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椿は早生の木は落花してしまった。咲いている花は雨で茶色く傷ついている。晩生の木はまだつぼみ。

4月1日(火)雨5.8℃

真冬の寒さの中、国立がん研究センター中央病院へ。

12時過ぎに採尿、採血。13時半くらいに内科のH先生の診察。

一般検査の方で脱水と言われて驚く。ずっと家にいてお茶ばかり飲んでいるのに。

つまり下痢で脱水していたみたい。

あいかわらず食べると胃腸が痛くて、どんどんやせている。ロペミン(強い下痢止め)は1日2回ずつ飲んでいいと言われる。

Y本先生の診察は15時半くらいまで待たされた。

粉のプロテインも飲んだ方がいいと言われる。ブレンダーで作るバナナと小松菜と牛乳の生ジュースは飲みやすいが、プロテインを入れるとおなかが痛くなるので少しずつ。

一日に50gくらい蛋白質をとらないといけないのに、私はせいぜい25gくらいしか摂れていないみたい。

3月31日(月)

卓球の時だけは汗びっしょりになる。代謝が上がるのは嬉しいけど、食べられないのに運動するのは筋肉が余計落ちてしまうのでよくなさそう。

とりあえず豆乳を飲んでダークチョコをポリポリかじりながらがんばった。

気がつくと自分の右上腕の筋肉が落ちてしまっているのに愕然とする。

それ以上に太腿とふくらはぎの筋肉が落ちてしまってふらふらしている。

アートフェアの日に痛めた右腰が治っていない。冬に捻挫した左足の甲の外側の痛みがぶり返してきて足を引きずっている。

3月30日(日)
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先週は25℃を越えた日が3日もあったのに、急に寒さが戻ったせいか、身体が冷えて浮腫が酷くなる。

朝、眼が覚めた時に顔が冷えていて、瞼が分厚く重く、眼の奥と頭が痛くて、今日は酷い顔をしているとわかる。

眼の下の隈が真っ黒で、その隈の上がぶっくり腫れている。

食べると胃腸が痛くなるので食べられなくて、どんどん体温が低く循環が悪くなり、浮腫が酷くなっている感じ。

浮腫が酷いと頭が重くて、だるくてとにかく苦しい。

それでも春が来たので、植物を見に外に出かけた。

枝垂桜もソメイヨシノも咲きかけ。

枝垂桜の開花していない枝は極細の墨の線のようで、遠くから見ると灰色の靄で、鬱々としながらも甘やかさを感じさせる。

早咲きの椿はぼたぼたと落ちて地面を華やかにしていた。

油断して厚着していなかったので夕方に寒くて震えてしまった。冷たい風にあたるとさらに覿面に顔の浮腫が酷くなる。

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2025年3月28日 (金)

本のための絵の撮影 桜ほぼ満開

3月27日(木)

糸井さんが1時に絵を運びに車で来てくださった。

春の光の中をドライブ。普段通らない道を通るのがとても楽しい。

三鷹や小金井のあたり、けっこう広い生産緑地があったり、たまに去年の枯れ蔓が乱れる原っぱを見つけるとわあっと興奮する。

日向の桜はもう満開。玉川上水の新芽も、国際基督教大学のあたりもきれい。

西武線の青い列車が菜の花が満開の踏切を通り過ぎて行った。

糸井さんの写真スタジオにて、絵の撮影。

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大きい絵は立てて、レンズとの距離をとって撮影。

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私は撮影と同時にPCに送られてくる画像を見て「この銀箔の部分をもっと金属っぽく反射強くして下さい」とか「この青い色をもう少し濃く出してください」などとお願いして、イメージ通りの画像に近づけていく。

撮り方によっては銀箔の部分が白くなりすぎて平板になってしまうので、暗い部分と光があたった部分を一枚の絵の中にいれるようにしてもらう。

コントラストを上げたり、レフ板を使ったり。

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撮影風景を撮るのを忘れたが、いつもどおり小さい絵(SM)は真上から撮影した。

目視では薄暗い部屋の中で絵は黒茶色っぽくしか見えないのだが、カメラのフラッシュによって撮影された画像は細部までとてもクリアで、色の変化もよく出ていた。

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これは糸井さんのカメラではなくて私が撮ったのでピントがぶれて失敗した画像。

鬱金香(チューリップ)

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普段はお菓子を食べない私なのに、糸井さんが出してくれたFIKAというクッキーがあまりにおいしそうで、つい1枚いただいてしまった。

伊勢丹オリジナルの北欧クッキーらしいが、甘くなくてソフトでほろほろするタイプ。とてもおいしい。

朝、小松菜とバナナのジュースだけだったので、頭を使ったら急にお腹がすいてしまったみたい。

前に糸井さんのスタジオに来た時は、娘さんは中学生で、今は大学生で留学している。時がどんどん経っている。

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グリーンアパートという古い情緒のあるアパートの庭に、私の好きな野襤褸菊が満開だった。この花は目立たないけれどとても素敵な姿をしているのだ。あまり野襤褸菊を描いている人を見たことがないが、私は何度も描いている。

帰り道では「桜通り」というところを通った。ほぼ満開。

こういう風景を見ると、車の中からでは申し訳ないような気持ちで胸が痛む。花のそばに行って樹の肌合いを感じて匂いをかがないと。

春爛漫の直前の胸が苦しくなるような時間。

中央分離帯にはタンポポが満開。春紫苑はつぼみだった。

 

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2025年3月26日 (水)

ヒヤシンスの絵 / FODMAP 、ブレンダー 野菜ジュース

3月26日(水)

雪さまにリクエストいただいているヒヤシンスの絵、制作中。

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ヒヤシンスの花色は多いが、私は青色、水色、薄紫系統が一番好きだ。

ご注文いただいたかたからも青色系が希望だと言われたので嬉しかった。

淡い青だとスカイジャケット、ブルージャケット(花の根元が鮮やかな空色で花弁は紫がかった青)、デルフトブルー・・・などの種類のヒヤシンスをイメージして描きたい。

ヒヤシンスの詩と言えば、大手拓次である。

ヒヤシンスは特徴的な素晴らしい香りがあって、真珠や霜のように花弁が光って、幼い頃から大好きな花だが、大手拓次の詩を読んでさらにヒヤシンスが好きになった。

その詩は、ヒヤシンスに色をつけた時に載せようと思う。

・・

猫の絵を買ってくださったサヤカちゃん(30年来の友人)と、最近メールで久しぶりに話した。

サヤカちゃんも長く腸の病気に悩んでいる。彼女は高FODMAP食品を避けることを教えてくれた。

FODMAPというのは、小腸で吸収されにくい4種類の発酵性糖質を指す用語とのこと。

Fermentable➝発酵性
Oligosaccharides➝オリゴ糖
Disaccharides➝2糖類
Monosaccharides➝単糖類
AND
Polyols➝ポリオール

お腹によいとされているヨーグルトや納豆、はちみつやオリゴ糖も高FODMAPに含まれる。

玉ねぎ、にんにく、ブロッコリー、キムチ、マッシュルーム、豆類、絹ごし豆腐、さつまいもなど私の好きなものばかり。

そして私の大好きな果物、さくらんぼ、桃、りんご、梨、マンゴー、スイカ、アボカド、プルーン、あんず、ライチ、柿、西洋梨、いちじく、すいか、プラム、ドライフルーツ・・・これらは全部やめられない。

ずぼらな私にはFODMAPを避けるのは難しそう。

何十年も前から欲しかったのにまだ買っていないブレンダーを買って、生野菜ジュースを飲んでみたいです、と言うと、

サヤカちゃんから、ワット数の低いものだとうまくできないというアドバイスをいただき、一番安い150Wのを買おうとしていたのをやめて500Wのを買うことにした。

本日、ブレンダーが届き、仕事から帰宅して夜、生まれて初めての自分で作る生ジュース体験。

小松菜を2株と有機バナナ一本、それにラブレ1本を加えてジュースにしたら最高においしかった。

飲んだらすぐにおなかがきゅるきゅる・・と鳴ってしまったが。ミヤリサンとロペミンを飲みながらだましだまし飲んでいこうと思う。

・・

先日、卓球仲間のMさんに体重が減ったと言ったら「たいへん、甘いものいっぱい食べなきゃ」と言われたのだが、

私はもう30年くらい、好んで甘いものを食べたことがない。お菓子に興味がなく、ほとんど砂糖を摂らない。

がん細胞はまず糖を吸収するのは事実だが、甘いものを食べても癌の悪化には関係ない、とも言われている。

しかし癌の悪化に関係なくても、身体の糖化、酸化、炎症に関係あることは避けたいし、私は甘いものを食べたいという欲求がまったくない(お酒は時々飲みたくなるが)なので、勧められてもいただかない。

甘いものをお土産にいただいたら、友達にもらっていただいている。

ぶどう糖加糖液の入った飲料も飲まない。

同じく卓球仲間のKさんに「すごくおいしい」という揚げせんべいを持ってきているので食べないかと勧められたが、謹んでお断りした。炭水化物が揚げてあるお菓子は食べない。

癌が動き出してから、絶対に食べたくないものに無理してつきあうこともない。

・・・

明日はまた絵の撮影。

ちゃんと選んだはずなのに、あとから絵を修正したくなったり、選にもれた作品が重要に思えてきたり、どうしても感覚が微妙に変化するので一発で決定!というふうにはならない。

悩み、迷いながら修正を重ねて、頭が少しずつ冴えて、どうにか考えがまとまっていく感じ。時間がかかるのだ。

プロの撮影現場を見るのは楽しい。やりかたを見せていただいていろんな発見がある。

私が現場で、一番撮りたいところのポイント(ディテール、色味など)を説明して、そこに焦点を合わせて撮っていただいて、思い通りの撮影になっていくのがとても充実感がある。

 

 

 

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2025年3月25日 (火)

個展 7月 /  次の本の制作 / 体重減少

 

今年の個展の会期は

7月1日(火)〜7月26日(土)

13:00~19:00 毎週日月休み 

に決定しました。(日曜日に休みなのが気になるけど・・・)

ギャラリーから5月と言われていたが、5月では全く準備期間に余裕がなくて不安だったので、少しほっとした。

2022年に6月30日から3週間、神楽坂で個展をした時に、初日から36℃くらいの猛暑でたいへんだったのが強烈な思い出だ。

今年も7月は暑くなりそうなので、体力をつけないと。

3月22日(土)

次の本の制作。

先日の写真撮影にもれた絵で、やはり撮影しておいた方がいいものが数点あり、作品の補修をする。

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絵の順番とタイトルを決め、本のページを編集する作業が、うまく回らない頭にはすごくたいへんで時間がかかる。

無理やり絞り出したようなアイディアで進めたら、あとで後悔しそうで不安でたまらない。

 

作品補修に薫泥(燻した銀泥)を使った。昔よく使っていた薫泥の色が何番かわからなくなり、夕方、渋谷のウエマツに色見本を見に行った。

私の記憶では2番だと思った(ネットで色を見て調べた時も2番)が、色見本によると1番。色見本自体が変色していてよくわからない。

そのあと久しぶりに公園通りの坂道を上ったが、あまりにも昔の面影がなさすぎて、人が増えすぎていて、どこを歩いているのかわからなかった。

公園通りは昔、私が高校生の頃はジャンジャンの近くに瀟洒な喫茶店がいくつかあり、本当に素敵だった。

「僕の大好きな喫茶店は坂道の途中にあります・・」と歌になるくらい、情緒のある通りだったのに。

アップリンク(大野一雄さんの映画を観に来た)のあったあたりもすごく変わっていた。

ハンズのほうへ歩くと、昔、宇宙百貨があったあたりの小さな崖のような部分に草が生えているところだけ昔のままっだった。

古レコード屋があった裏通り、もう少し行けば、昔、とても素敵だったドリアン・グレイというアンティーク古着屋があった。ネットで調べると、なんとまだ存在しているみたい。明るい時に歩いてみたい。

・・

朝、体重を計ると41kgだった。BMI値が16。癌とは関係なく、胃腸の調子が悪いせい。

これは私が30代の時に子宮内膜症の治療で女性ホルモンを止めて一番具合が悪かった時の体重と同じ。

女性ホルモンを止めていた時は、人工的に急激な更年期を作り出していたので、頭痛、肩こり、吐き気、めまい、のぼせ、動悸、疲労倦怠で超絶に具合が悪く、起き上がるのもしんどかった。

その時の記憶に比べれば今は楽だけれど、冬からずっと胃腸が痛くて、食べるとお腹がさしこむのでなかなか多くは食べられない。

1日に700kカロリーくらいしか摂れてない日があったから少しずつやせてしまった。

なんとか体重を戻さなければ、と腸の炎症を抑える食べ物を調べたら、まずはDHA。

抗酸化、抗糖化、抗炎症の食べ物と言えば、やはり野菜(特にブロッコリー、トマト、玉ねぎ、ニンニク、小松菜など)、果物(バナナ、カシス、ブルーベリーなど)、そして発酵食品(ヨーグルト、カマンベールチーズ、キムチ、麹菌など)。

それと筋肉維持のために蛋白質を摂らなければ。私の場合は肉類を一切食べないので、最近はちくわとはんぺんとヨーグルトをよく食べている。

3月17日(月)すごく寒い。

一週間前の雪予報だった日は、風がなくて意外にもぜんぜん寒さを感じなかったのに、きょうは予報では暖かいはずが強い北風で体感4℃くらい。

レットヴィモの副作用が強く出て、眼の下の隈と顔の浮腫がひどくなり、頭痛。アートフェアの時に痛めた腰もまだ痛い。

夜間卓球に、久しぶりにデザイナーのアキさんが来てくれた。

私のブログを読んでくれて、体調のことを気にしてくれていたと聞いてとても嬉しかった。

腫瘍マーカーが急上昇と書いていたので、癌でない人はどう話しかけていいか困ると思う。

腫瘍マーカーがいったん下がったんで、今は話しやすいタイミングなのだ。

アキさんは絵を描いていないけど美大卒で、美術界のドロドロ話など通じやすく、さっぱりしていて話しやすい人。

帰り道、凍るような北風で耳も顔も痛く手もかじかんでしまったが、おしゃべりできて楽しかった。

 

 

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2025年3月 8日 (土)

腫瘍マーカーが下った(奇跡!?)/ 植物の名前

 

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椿 曙(あけぼの)(鉛筆、水彩、)

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椿 八重 春曙光(しゅんしょっこう)(鉛筆、水彩)

3月4日(火)5℃ 暗い灰色の空 夕方から雪

国立がん研究センター中央病院。まず採尿と採血。

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甲状腺癌の腫瘍マーカー(サイログロブリン)の値は、2024年7月880、9月1377、11月3075、12月6470、

この12月の結果6470という過去最悪の数値が1月7日に出て大ショックを受け、もうレットヴィモが奏功していないのではないかと疑われ、

もう絶望に近い気持ちで1月9日にPETMRIを受けたら、不思議なことに全身どこも光っていなかった。

そして鎌ヶ谷の浅井先生に結果の報告をしに行くと、腫瘍マーカーの値が上昇するのは初期のおとなしいタイプの乳頭癌であり、もう少し増殖の速い癌はレットヴィモで抑えられているのではないか、とお聞きしたのが前回までの話。

・・

内科のH先生に呼ばれるまでの1時間ほどの待ち時間、考えないようにしてもだんだん気持ちが追い詰められ、今日は1万越え、もしかしたら2万越え、という数値が頭にちらついてしまう。

1月の末には、あんなに気持ちが前向きだった森永卓郎さんが亡くなり、2月の最初には、長年ブログを読んできた吉野実香さんが亡くなったのも私にはそうとうのショックだった。

呼び出し機械が黒く点滅するのを見た時、いよいよ宣告される、と真っ暗な気持ち。

そして診察室に入ると・・・「検査結果は、下がってました」

「え?・・」

「682。一瞬6000かなと思ったんだけどね。600」

「え?!なんで・・?」

「Y本先生も先に見てコメントされてるけど、甲状腺癌が破壊されたときに血液に流れ込むことがあるみたいで。レットヴィモが効いて癌が壊れる時に血液中のサイログロブリンがすごく高くなることがあるのよ。1万に上がってそのあとぐっと下がったりとか。そういう例があったのを忘れてた」

「それって珍しいことなんですか?」

「あまりないね。だけどレットヴィモが効かなくなるには早すぎるし、おかしいと思ってた。治験からやってる人は2年、3年は続いてるからね。正直、この薬はまだわかっていないことが多いけど・・」

「ええ~・・なんかもう今日はすごく緊張して・・」悲観で固まっていたのでなんだかすぐには信じられない気持ち。

「緊張しやすいんだよね。とにかくレットヴィモが効いているということ。そんなわけで薬とじっくりつきあっていきましょう」

そして次にY本先生の診察。

「甲状腺癌の生検で腫瘍に針を刺すと、潰れたがん細胞が血液に流れ込んでサイログロブリンの値がすごく上がってしまうことがあるんです。だから針を刺す前に血液検査をする、という決まりがあるんです」と言われた。

昨年の3月に2324になった時、一昨年に人生で一番痛い手術をして右肺中葉を切除したのに、1年も持たずに脳や骨に転移していて切除する前と同程度の数値になってしまったことに絶望しそうになり、

そのあとレットヴィモ服用によりいったん700まで数値が下がったのに、それからたった4か月、5か月で数値が3000、6000と急上昇したことに、正直、そうとう心がすさんでしまっていた。

もうあとは進行していくだけ、耐えていくだけ、と思うと孤独感や虚無感がひどくなり・・。しかしこんなことがあるのだろうか。

・・・

夕方、Wさんのマッサージを受ける。肩も首も顔も頭もがちがちと言われる。

今日、1万越えの数値だったら、これからどんどん悪くなる一方だと緊張していたから。

「ほら、6000の時に私が、今がピークだからだいじょうぶって言ったじゃない」

「そうだっけ?・・・」適当に慰めてくれたことが本当になった。

帰り道、牡丹雪が暗闇の中に舞い、街路の銀杏の木の根元に白く積もっていた。

3月3日(月)

前日の予報では雪だったが、雨に変わったので使い捨てカイロをお腹と背中に貼って夜間卓球へ。寒いので先生のほか4人しか来ていなかった。

明日、がんセンターで腫瘍マーカー結果が出る恐怖を忘れるため、打つことだけに意識を集中して10勝。

新入りの力まかせにスマッシュを打つ(しかし空振りが多い)男性に勝てた。

3月2日(日)22.1℃

「この植物の名前は何でしょう?」という木の札。

最初の樹は「イヌシデ」と答えて、木の札をめくったら正解だったので驚かれる。

この樹は、井之頭公園の端っこの原生林にたくさん生えていて、少し斜めにねじれながら伸びるこの樹の枝ぶりと、縦に亀裂が入った灰褐色の木肌が絵になると感動して、昔に名前を調べたことがあるのだ。

シデとは「四手」であり「紙垂」であり、神道で玉串やしめ縄などに垂らす紙に、淡い緑色の花穂のかたちが似ているからである。

似たようなアカシデ、クマシデなどの樹との区別は私には難しいが、武蔵野の林にはイヌシデが多い。

2番目に出会った「この植物の名は?」に「マンサク」と答えてまた正解して「げっ」と言われる。

「花が咲いてないのに、どうして枝ぶりだけでわかるの!?」と。

実はよくよく細部まで見ると、去年の枯れて萎びた花が一輪、枝の端っこにぶらさがっていたので、花の形ですぐにマンサクとわかったのだ。

3番目に出会ったのは早咲の椿。

この花はふっくらした上品な薄桃色で、花弁に可憐な皺があり、花芯の黄色自体が柔らかく光っているような優しい色合い。

「曙(あけぼの)だね」と正解して「ぐげっ」と言わせる。

この花は初釜によく使われるらしい。

同じく蕊の黄色が滲み出したように、花弁の根元が薄黄色に光る椿に、八重咲きの「春燭光(しゅんしょっこう)」という花がある。この花はまだ莟だった。

ヒヨドリがせわしく飛び交っていた。持っていた小さな苺の実を木の幹に置いておいたら食べてくれそうだった。

 

 

 

 

 

 

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