絵画

2020年9月 3日 (木)

『イメージの奥底で』 ジャン=リュック・ナンシー / 絵画

9月3日(木)

イメージ・判明なるもの

イメージとは聖なるものである――

(略)

「聖なるもの」は「宗教的なもの」とたえずその語義を混同されている。

ところが宗教とは、結びつき(他者ないし自己自身との結びつき、自然ないし超自然なものとの結びつき)を形成しそれを維持する祭式の遵守なのであって、それ自体としては、聖なるものへと収斂されるべきものではない(宗教はまた信仰へと収斂されるべきものでもない。そもそも信仰はまた別のカテゴリーである)。

聖なるものは、これに対して、分離されたもの、距離をおかれたもの、切り取られたものを意味する。

(略)

聖なるものが聖なるものであるのは分離によってのみであり、それに関しては結びつきなどないとも言える。それゆえ、厳密に言えば、聖なるものの宗教はないことになる。

聖なるものは、おのずから遠ざかったまま隔たりを保持しつづけるものであって、それとの結びつきをもつことができないものである(あるいは極めて逆説的な結びつきのみをもちうるものである)。

したがってそれは触れることのできない(接触しない触れ方によってのみ触れうる、と言ってもよい)ものである。

語義の混乱から抜け出すために、私はそれを判明なるもの〔le distinct〕と名づけたい。

(略)

判明なるものとは、その語源を遡れば、様々な標徴(マーク)によって分離されたもののことである(この語は、刻跡(スティグマ)、鉄ごてによる烙印、刺傷、切り込み、入墨へと送り返される)。

それは、ある描線(トレ)が引き抜き、隔てておきつつ、この退隠(ルトレ)の描線によって標記もするところのものである。

また判明なるものとは触れることのできないものである。というのも我々がそれに触れる権利をもたないからではなく、それに触れる手段を欠くからでもなく、弁別的な特徴線(トレ・ディスタンクティフ)が、もはや触れることの次元にはないものを分離するからである。

したがって、触れてはならないものを分離するというのは正確ではなく、むしろ蝕知しえないものを分離するのである。

しかしこの蝕知しえないものは、みずからを隔ておく描線(トレ)のもとで、またみずからの描線によって、あるいはみずからを隔てるこの散逸の描線(ディストラクシオン)によって姿を現す(したがってこのような弁別的(ディスタンティフ)な描線が、つねに芸術にかかわる事柄なのではないだろうか、というのがここでの最初にして最後の問いであるだろう。)

(略)

判明なるものは、不分明なものに対して跳びかかり、不分明なもののうちへと跳び込みながら、そこに繫ぎ止められることがない。

(略)

あるがままの姿で、だがその弛緩した力ではなく緊迫した力をもって、また、拡散した力ではなく溜められた力をもって、その内奥は露呈される。

(略)

判明なるものは、つねに異質なものであり、連鎖を解かれたもの――繫ぎ止めることができないもの――である。

判明なるものが我々のもとに運んでくるのは、したがってそれが連鎖を解かれてあることという猛威そのものであり、この猛威は近接性によって鎮めることもできずそのようにして距離をおかれたままでありつづける。

それはまさしく触れるか触れないかの距離におかれ、肌に触れんばかりの緊迫した距離を保っている(à fleur de peau)。

(略)

(精華〔fleir〕とは、もっとも繊細な部分、表面であり、前方に残り続けるもの、ただそっと触れる〔efflrurer〕しかないものである。すべてのイメージはすれすれの状態〔à fleur]、あるいはひとつの花〔fleur〕である)。

――――『イメージの奥底で』 ジャン=リュック・ナンシー(西山達也・大道寺玲央 訳 以文社)より

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鬱金香(チューリップ 膠絵 部分)

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2020年8月27日 (木)

イタリアからの友情の奇跡、次の本(画集)と絵について

8月27日(木)

今朝、イタリアのチナミさんから朗報が届いた。現実感が無くて信じられないと同時に、私はこうなることを信じてずっと待っていた。

チナミさんが私のためにしてくださった大胆な冒険の結果、美しく聡明な女神が、私たちふたりに微笑んでくださった!

詳しくはここに書けないが、これで来年、コロナが落ち着いて私が元気でさえあれば、晴れ晴れしい気持ちでイタリアに最高の旅ができるということ。

観光のことではなくて、もちろん私の命である絵に関することだ。そしてこの数年、寝ても覚めてもうなされるほど、いつも考えている次の本に関すること。

昨晩深夜2時半頃、(悲観的な私には珍しく)なぜか急にふっと気が楽になって「だいじょうぶ」な気がした。なんの理由も、きっかけもないのに突然。

丸山ワクチンが効いて精神的に上向いているのかな、と思ったりもしたが、今朝の私にとって最高のニュースのための前ぶれだったのかと思う。

とにかくこのまま自分の信じるとおりに、どんな妨害や嫌がらせがあっても淡々と、熟慮しつつ思い切りよくがんばろう。

ドイツのブレーメンのYさんからもありがたいことに、来年、お宅にご招待を受けている。

ブレーメンは昔、敬愛するホルスト・ヤンセンの生まれ故郷オルテンブルクにハンブルクから向かった夜に、乗り換えをした駅。

藍色の宵闇の中にブレーメンの音楽隊のかわいいネオンが光っていて、それだけでとても心躍った鮮明な記憶がある。そのお伽の国のようなブレーメンに今、ご招待していただけるなんて、不思議なご縁を感じる。

もし来年、イタリアに行くのにあわせてブレーメンに行くことができたら、もう一度オルテンブルクのヤンセン美術館とヤンセンのお墓(思い出すだけで涙。。)と子供の頃のヤンセンがおばちゃまと住んでいた家にも行ってみたい。

Yさんのお家からは、種村季弘先生が『ヴォルプスヴェーデふたたび』に書かれていた芸術村ヴォルプスヴェーデや、もっと小さな芸術村フィッシャーフーデが近いという。グーグルマップで画像を見ても本当に素晴らしいところ。オットー・モーターゾーンたちが惹かれた沼地、湿地の風景がまだ残っているのが泣けてしまう。

自分の命がそろそろやばいのかな、と思った時に、遠い海の向こうから私をよんでくださるかたたちがいる。

このめぐり逢いとご厚意に深謝。

自分を追い込みすぎないように、気を楽に持ってがんばろう。

最近10数枚同時に描いているうちの一枚。チューリップの膠絵(部分)。
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2020年8月25日 (火)

丸山ワクチン4回目 / 膠絵

8月24日(月)

丸山ワクチン4回目(B液)

きょうは珍しくクリニックが空いていて、いったん帰宅せずに受けられた。

やはりアンプルを折るのが難しい。前日にyoutubeなどで医師や看護師の説明動画を何度も見たが、折る時にうまく力が入らない。

このMクリニックで最初に丸山ワクチンを打つ前に採取した血液検査の、サイグロブリンを10倍希釈で計測した結果が出てきた。

708ng / ml  それ以前に検査した時の1300超よりだいぶ低い。これはあくまで精度の低い検査だというが、少しほっとした。

会計を待っていたら、息せき切った若い男性が入って来て、受付で保険証を紛失したが実費で受けたい、返金手続きはどうなるのかを長く質問していて、そのあと「きょうはどうしましたか?」との問いに「首のリンパが腫れて」と答えた瞬間、「それは診察できませんので6時以降に来てください」と。

コロナの疑いの患者は6時過ぎからの診療となっている。マスクをしていてもコロナの疑いのある人と密になるのは怖い。

・・

ワクチンから帰宅して眠ってしまったので、夜中に起きて朝まで絵を描く。きょうは寝転がってなんの警戒もなく幸せそうに眼を細めるプフを描いた。そのまわりに春の小さな花たちを。

下図は作らずに水干と岩絵の具でちゃっちゃっと。かっちり作った感じではなくあどけない生命力を描きたい。

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膠絵、プフと春の花、途中。

8月23日(日)29.4℃

髪を切った記念にチョッピー(チョビ)と。

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久しぶりに少し暑さが和らいだので夕方自転車で少し遠くまで買い物。

ずっと酷暑で見る余裕がなかったが、家を壊した後のほんのわずかな空き地の夏草が美しい。

ヒメムカシヨモギの小さな星雲のような花。イネ科の光る線。メヒシバ、オヒシバ、イヌビエ、エノコログサ。ヨウシュヤマゴボウの実の一部が葡萄色に熟してきた。

8月22日(土)35.2℃

数十年前の老蘭商会の水干のガラス瓶入りのセット3箱60本と白狐印の岩絵の具のセット2箱(合わせて43000円くらいのものを1万円で購入した)の箱の内側の埃と、ガラス瓶全部で83本を次亜塩素酸水で丁寧に拭く。箱の内側の埃は粉ダニで手の皮膚がピリピリする。

番号順に並んでいたのを青系、緑系、赤系、茶と灰系のグラデーションに並び変える。

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2020年8月21日 (金)

丸山ワクチン2回目3回目 / 膠絵

8月19日(水)35℃

丸山ワクチン3回目(A液)。3:40に受付していったん帰宅し4:30に来院。一度目は日傘を差して徒歩で行く。家を出てすぐに脳天が熱くなり滝の汗。ミニ保冷剤を首筋に当てながらハアハア。2度目は自転車。

前回よりは痛くなかった。打つ瞬間は押し子に親指を当てないで普通に持って刺すこと(押し子に指をあてると角度が微妙になって一気に打てない)。

金曜がM医院の休診日なので、本当は土曜の朝にまた打つべきなのだが、混雑する土曜に来院するのが嫌なので月曜にしてもらう。

・・

久しぶりに髪を切る。後ろを15cm切って前下がりのボブに。自粛中は後ろの毛も前に引っぱって自分で切っていたと伝えると「おかしくなってないですよ。ちゃんと切れてます」と。

・・

水干を使うことがほとんどなかったので学生時代に買った残りをちびちび使用していたが、今になって水干の微妙な中間色が欲しくなる。混色できるのだが、今持っている少ない色の中で混色すると微妙に色相が違ってしまうので。

背景をそうとう描いていた絵を洗い流した。感触が違っている場合は重ねるのでなくてさっぱり洗い流す。

8月18日(火)35℃

お盆休みがあけたので5日にぶりにフィットネスに行ったらすごい筋肉痛。家で運動するだけでは鍛えられていない背筋が痛い。

ゲルマニウムの手足温浴。老廃物を排出し免疫を上げる効果があると言われている。冬は冷えた身体が温まって快感だったけど、酷暑では20分が長く感じられる。

運動不足は確かだが、がん患者にとって免疫が上がる適度な運動とはどれくらいなのだろう。あんまり気にしないで適当に。

8月17日(月)36.5℃

丸山ワクチン2回目(B液)。4時予約なので3:55に受付し、いったん帰宅して5時にまた来院。

血液検査の結果はすべて正常。サイグロブリン(腫瘍マーカー)だけは「500超」としか出なかったので今度は10倍希釈でデータを出してもらうとのこと。」

やはりアンプルを開けるのに時間がかかる。勢いで左手に持っているワクチンがこぼれるかもしれないという懸念と、強い力でポキっと折ると指を切ると言われているので(指を切ったら絵が描けなくなる)恐る恐るやっている。

きょうは自分で打ったら少し痛かった。理由はキャップを開ける時に針がキャップのへりにこすれてしまったからだそう。針先は繊細なのでこすれたり、皮膚に鬱だけでギザギザになると。

ちゃびに一日おきに輸液していた時のことを思い出して感傷的になる。緊張で手が震えて失敗(皮下にうまく挿入できずに液漏れ)して何度もやり直したこともあった。ごめんねちゃび(涙)。

・・

裏打ちした紙を下張りしたパネルに張る。M医院から一時帰宅した間に下塗りを2枚やった。鼠鼡の上から黄味がかったた鴬。

8月16日(日)35.5℃

白麻紙の裏打ち6枚。

そのあと腐蝕の研究。

 

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2020年8月14日 (金)

丸山ワクチン開始 / セミの羽化

8月13日(木)

きょうも雷雨。

丸山ワクチンの初回。

夕方5時頃来てと言われていたので4:40頃にM医院に着くが、診察に呼ばれたのは6:20。ほかの患者と密になるのが怖くて、待っている時間に疲弊してしまった。

Mクリニックは「熱や咳のある人は6時以降」という決まりだ。6時を過ぎた頃にも何人も患者が来て胸がざわざわした。次回は4時に受付して一度帰宅しよう。

まずは検査のための血液採取。

ワクチンのアンプルは、まず液を全部首から下に落とす。首の微かな切れ込みの上に丸い印があり、切れ込みに力をかけるつもりで首を斜め上に引っ張る。ポキンと折ろうとすると指を切る危険がある。

注射器はまず針がしっかり付いているか確認し、きつくはめる。

注射器で中身を吸い取る時、「注射器の扱いに慣れてますね。」と言われる。「猫の輸液をずっとやってましたので。」

いったんキャップを閉め、キャップごとねじって針を抜き、細い針と交換する(この時、左手に注射器を持ったまま、右手で細い針の袋を開けるのが難しいので、最初に開けておいたほうがいいかも)。

おなかの皮膚(脂肪)を左手でつまんで右手で30~40度の角度で射し、ワクチンを注入。

針が細いのでほとんど痛みを感じない。

きのうに引き続き猛暑。午後に激しい雷の音。すぐ近くの南の空に何度も稲妻が落ちるのを見た。

8月12日(水)

朝、友人愛子ちゃんからセミの羽化の動画と画像が届いた。生まれ出たばかりのセミはオオミズアオのような素晴らしい色をしている。本当に清らかで可憐。

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きょうも36℃。


半年以上ぶりに体組成測定をしたら、意外にも新型コロナで運動を休会する前より筋肉が減少していない。筋肉量の標準が36~40kgのところ33.6kgしかないが、半年以上前と同じ。

だとしたらフィットネスでの運動は筋肉増加に役立っていない?外出自粛期間中は一日5分程度の屈伸をしていたので脚の筋肉は萎えていない?体重も体脂肪率も骨密度も同じ。

 

8月11日(火)

最高気温38℃。

暑いと胃が痛くなり空腹を感じない。

ここ数日、古典柄やアンティークの着物の意匠をよく見ている。

子供の初参りのための単純化された図案の幼さ、面白さ。「雪輪」「ねじり梅」「たちばな」などの繰り返しがすごくかわいくて、薄桃色の絞りはプフに似合うと思う。

アンティークの着物や帯の面白さはなんといっても踊る動物など奇天烈で滑稽味のある意匠。大胆で意外な色合わせ。毒々しさと儚さの共存。

だいたい毎日、夜2時半頃まで絵を描いている。

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2020年8月 7日 (金)

丸山ワクチン承諾書、プフの毛カット

8月4日(火)

M医院に丸山ワクチンの承諾書をいただきに行く。カンカン照り。M医院まで10分もかからないが滝のような汗。

けっこう混んでいたが端っこがあいていたので座って本を読んでいたら、後から年配の男性にぴったり横に座られて焦った。パーテーションがない長椅子で距離無しは怖い。即立ち上がりたかったが立ち上がりづらくてストレスを感じていたら呼ばれた。

私は最初に国立がんセンターで診断を受けた時に、すでに肺への転移がありステージ4と言われたが、M先生に、今の分類のしかたではステージ2にあたると言われた。がんのステージの分類のしかたは4、5年ごとに変わっているということだ。

「肺への放射線は肺炎が必発なんですね」と言われる。

こちらの医院では現在、私の他にひとりのかたが丸山ワクチンをやっているとのこと。もうひとりいたが、そのかたはリタイアされたという。

きょうは1100円。

・・

夕方5時半、3月から休会していたフィットネスにすごく久しぶりに行く。4、5人。真夏のせいなのか、3周のところ、2周でもう頭が熱くなりすぎて無理。具合が悪くならないうちに切り上げる。

8月3日(月)

梅雨が明けて急の猛暑に身体がぜんぜんついていかない。

丸山ワクチンの接種の承諾をお願いにM医院に初めて行く。M医院は口コミがとてもよく、いつも混んでいるみたい。

狭い待合室に6、7人。『大家さんと僕』があったので夢中で読み(大家さんの戦前、戦中の記憶の話などが素晴らしかった。大家さんが私の知らない昔の新宿をよく知っているところにもすごく惹かれた)、ちようど1冊読み終わる頃に呼ばれた。

なぜ今ワクチンを受けたいのかを説明。M先生は45歳くらい。偉そうなところがなくて話しやすい先生。「甲状腺癌についてよく知らない」とおっしゃって目の前でPCで調べていた。肺の粟粒状転移について、手術も抗がん剤も放射線もできないということが意外に思われたようだ。

20分くらいも話して、承諾書を書いておくから明日の夕方取りに来て、と言われる。

860円。

・・

最近はだいたい深夜2時くらいまで絵を描いている。

無造作であることと、ぴりっとした神経のとおった形の両立。そのことばかり考える。

8月1日(土)

湿った曇り空。夕方、友人と荻窪方面にサイクリング。

また教会通りの「クリーニング東京社」の横を通った。きょうは開店されていた。自転車までも絵になる。

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先日来た時、カメラのISOがオートになっていなくて粗い写真になってしまったので撮り直し。自転車に乗っているあいだもマスク装着だが、一瞬だけマスクをとって撮影。

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きょうは環八を渡って上荻の方を周って来た。

プフの顎の下に毛玉が5つもできてしまっていた。ちょうど自分で舐められない部分の長毛をハサミでカットした。顔だけ見ると長毛種でない子になった。

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胸の長い襟巻の部分もカットすべきか迷う。

 

 

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2020年7月20日 (月)

膠絵の制作 / 母の夢

7月19日(日)

一週間前から描きかけのパネルを引っ張り出して膠絵(「日本画」という言葉の由来に抵抗があるので、基本的には私は「膠絵」と言っている)を描きだした。

下図はなし。画面の中に絵が見えたものから少しずつ筆を入れ、並行して20枚ほどを制作。

制作しだすと頭が急激に回転しだして、頭の中にたくさんのイメージ、試したいことが溢れだしてくらくらするほどになる。

3匹が入れ替わり立ち代わり邪魔して、まともに場所がとれないが、台所のほんのわずかな隙間で立ったまま筆を入れたり、箔を貼ったり、腐食の部分を修正したり。

特にプッピィ姫がパイルヘアゴムを飛ばしてくれと、ひっきりなしにかわいい顔でにゃあにゃあ迫ってくる。ピーンと飛ばすと、ダッとすごい勢いで跳ねて、口にくわえて持ってくる。最近、やたらにおしゃべりやお返事が上手になって来た。

7月12日(日)

ガチャッと玄関のドアが開いた音がして目が覚める夢を見た。

母が帰って来た。

からだがだるくて眠りに引き戻されそうになるのを必死で振り切って起きる。早く、今、起きなければ、今会わなければ母に会えなくなると焦った。

ねばりつくふとんからからだを引きはがすように起き、隣の部屋に行くと母は待っていてくれた。ああ!間に合ってよかった。今の私より若い母。

「来てくれたの?」私は夢の中にいることも、現実では母はもう亡くなっていることもはっきりと知っていた。

「心配だったから。」と母は落ち着いて言った。私は母の肩に抱きついた。

「ありがとう。だいじょうぶだよ。また来てね。」

それから母は壁のほうにすうっと消えた。

・・・

描きかけでほっておいた絵のパネルを20数枚出してきて、埃を拭いた。

次の本のレイアウトと制作を同時進行。

レイアウトに関しては、絵と絵の間隔の問題、キャプションの位置の問題、見た目の直観で違和感を覚えた箇所を修正してもらっても、規則性としてどうなのかなどを考えるとわからなくなってくる。

・・・

セリーヌの『夜の果てへの旅』が読み返したくなって部屋の中を捜した。やはりすごくよかった。

 

 

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2020年7月10日 (金)

花輪和一さんから猫草守の絵が届く

7月8日(火)

雨が上がった瞬間に外に出ようとしたら花輪和一さんから手紙が来ていた。

なんと「猫力」「火水風土」「身強清心」「猫草守」と文字が入った猫の絵!!!

これは私の愛した「ちゃび」の絵らしい。手紙にはあいかわらずちゃびへの嫉妬まじりの花輪節。

「(略)・・・かわいかったんですが、やはり猫は猫。自分は死んだとはっきり認識できないんです。今も眠っているような気分でいるんですね。しぶと・・・かった。まあ生命力強いというか飼い主の影響力も大きかったんです。猫っかわいがりも度が過ぎた。今もそのつもり、ウトウトしつつこの地上にとどまって、旅立ってないんです。」

「杉並一、東京一、猫可愛がりされた幸福な、猫のぶんざいでそこまでいったんですから、幸福すぎたヤツでした。困った時など、幼児に語り掛けるように、状況が理解できるように、繰り返し説明すれば、やつもホッコリ片目を開けて力になって動いてくれるでしょう。」

「一生で使い切れないほどの愛情を注がれて「猫生」を終わったんですから、受けた「愛」を返してくれる・・」

「ということなので、「猫草守」は、折ってカバン等に入れていれば、あのしぶとかったチャッピピピイ~~~!のお力があり、健康体、長生き体になれます。」←(キッパリ)

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3日に肺のがん転移が増大してしまったことを電話した時、「なにかお守りの絵を描いてほしいけど、不動明王はかわいくないから嫌。動物がいい。」とわがままを言ったのにすぐに応えてくれた。

花輪さんも小学生の時に、友達の家で生まれた子猫をもらってかわいがって育てていたそうで、

「今でも夜、眠る前、心が落ち着いた時に呼べば来るなあ、と思う」と。涙。。。

「うちの長男のちゅびがDV男っぽいんだよね。朝4時からにゃあにゃあうるさくて、最近、安眠できなかったの。そうかと思うと私にべったりくっついてきて。ほかの2匹はおとなしいんだけど。」

「そんなバカ猫はビシィイ!!とやってやんなきゃだめだよ~!ペットホテルに預けるとか、他人様のめしを食わせて性根を叩きなおしてやんなきゃ!かわいがりすぎなんだよ~」

「そんなのかわいがるくらいなら花輪さんに愛情注いだほうがいいよね~」

「そうですよ~」

たくさん笑わせて、泣かせてくれて、勇気とやる気が湧いて来た。

花輪さんとのつきあいは、もう30年。彼の態度は出会った時から少しも変わらない。はかりしれぬ才能で、いつも私を驚かせてくれて、少しも偉そうなところがなくて正直で。

童心と、並外れた感性を潰されずに、地獄の苦しみをくぐり抜けてきた稀有な芸術家。

花輪さんは幼少の頃から虐待されて親の愛情不足のまま育ったが、決して自分が弱い者を虐待する側や、卑怯でセコイ搾取をする側にはならなかった。

(私は承認欲求ばかりが肥大したいんちきハリボテ野郎が大嫌いだ!すっこんでろ!と思う。)

 

私の永遠のちゃび。

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7月6日(月)

ちゃぶ台で猫背になってPC作業をするのは非常に内臓が圧迫されて身体に悪いそうなので、LANケーブルの長いのと、ソケット2本を買って来て机とちゃぶ台の配置を変え、机と椅子で作業するようにした。

壁に立てかけていた50号と30号の木製パネルの後ろを掃除。3匹のすごい毛と埃。50号に張っていた雲肌和紙が黴ていたので破って捨てた。壁の汚れを薄めたハイターで拭く。

本の詰めの作業と同時に、今まで途中にしておいたたくさんの絵の制作にとりかかる。

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2020年6月30日 (火)

『デッサンの基本』34刷りとなりました

https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/6-iris-rose-pansy-violet-etc/

6月の初めに『デッサンの基本』増刷、34刷となりました。

購入してくださったかたがた、読んでくださったかたがたに心より感謝申し上げます。

(受験のためのデッサンには傾向があると思いますが)デッサン(素描、スケッチ、写生)には正解の描き方はありません。

対象の姿、構造をよく知るためであれ、その魅力を紙に留めるためであれ、自分の外にあるものを見て描くことで、あらゆる意図を超えた未知のものに触れ得ることがデッサンの喜びではないでしょうか。

林檎の花(鉛筆デッサン、水彩、スケッチ)

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パンジー Pansy (鉛筆デッサン、スケッチ)
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猫 ちゅび(鉛筆デッサン スケッチ)
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薔薇 Rose (水彩)

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薔薇 Rose(鉛筆デッサン、スケッチ)

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2020年6月17日 (水)

鵜飼哲さんとスカイプ / 血液検査と星状神経ブロック

https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/pencil-drawing-watercolor-painting-1-tulip-anemone/

6月16日(火)

鵜飼哲さんと夜10時にスカイプのお約束をいただいていた。

次の本についての相談。

画集をこの秋に出すべきか来春まで伸ばすか迷いもあったのだが、コロナを含め、あらゆる状況がどうなるのか一切読めないので、出せる時に出しておくほうがいいとのこと。

イベントのことなども心配してもしかたないので、とにかくやれることをやれる時にやること。

鵜飼さんが退職とともに遠くに引っ越しされることを聞いてショックを受けた。頻繁にお会いするわけではないが、近くにおられるだけで何か安心していた。

時がどんどん過ぎていく。

6月17日(水)

新高円寺のかかりつけのクリニック(脳神経科はないが頭痛には対応している)に星状神経ブロックと今回の頭痛の相談に行く。

Sクリニックの待合室はコロナ対応でずいぶん変わっていた。待合室のベンチがひとり分のスペースごとにプラスチックの板で仕切られ、背中部分もプラスチックの板で遮断されていた。待っている人数も4人くらいで通常の2割くらいしかいなかった。

今回の頭痛発作の経過とかかったクリニック、薬のメモを渡す。先生も看護師さんも住友3MのN95マスク。

O院長先生はまず私の血圧を疑った。その場で計測すると上が180超あった。家から5、6分の距離を歩いて来ただけで、どきどきして明らかにおかしい。

なぜこんなにも血圧が急上昇するのか自分でもわからない。私は4歳くらいから肉食をしていないし、魚と野菜と果物、オリーブオイルやDHA,EPAも採っている。塩分控えめ。ジャンクフードも甘いものも食べない。162cm、47kg。内臓脂肪は平均より少ない。ストレッチもしている。

「自律神経かなあ。あなたの神経の細かさは異常よ。」と(毎回のことだが)言われる。「はい・・」としか言いようがない。

「カテコールアミンが高くなってるかもしれないから血液検査をしていい?もしかしたらお腹の腫瘍(褐色細胞腫)かもしれない」と、考えていなかった病気を出されて少し不安になる。

その前に動脈の硬さをみる検査。仰向けに寝た状態で両手両足の血圧を測定するとやや高めだが正常範囲だった。

星状神経ブロックのあとに検査のための血液採取。結果は一週間後になるそう。

「自粛期間中、特にがんばって運動をしていたんですよ。かえって悪かったのかな?」と言ったら「やんなくていいんじゃない?もともと運動なんてやってないでしょ。」と。しかし元気に運動できていた時は、確かにこんなにどきどき頭がほてっていなかったはずだ。

帰宅してから褐色細胞腫について検索して恐ろしくなった。

高血圧になる病気を調べて、もしかしたら常用しているチラジンの量が過剰で甲状腺機能亢進症なのかもしれない、とふと思った。チラジンの量を少し減らして、それで血圧が安定して普通に戻ればいいのだが・・。

 

 

 

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