福山知佐子個展最終日
10月19日(日)
ギャラリー十二社ハイデでの個展も最終日。
この絵は割と最近出来たのだがすごく気に入っている。この絵とも淋しいけどさよなら。
鬱金香
最初に高校の時の友人タカちゃんや小学校低学年の時の友人マリコが来てくれた。
マリコは茨城に住んでいて、何十年かぶりかに新宿西口に降りたので、新宿が変わり過ぎてまったく方向がわからなくて迷ってしまったと。私も破壊されている新宿が辛い。
6歳の頃、マリコが住んでいたのは十二社通りの野菜市場の2階。そこはマリコが引っ越してすぐに普通のビルになってしまった。
毎回来てくれる音大卒のS.Y君。Twitterでお知り合いになったM.Sさん。
鎌倉で絵を描いているT.Jさん。芸大のデザイン科卒のアキさん。
そして静かに長い時間見てくださるS.Hさん。S.Hさんは佇まいがすごく美しいかた。
今日は5時から舞踏のパフォーマンスだが、あいにくの降りだしそうな空。
5時、十二社の階段。
村野正徳の挨拶。福山知佐子が愛着がある十二社の記憶、昔あった十二社の大きな池などをテーマに身体表現するそうだ。
村野正徳舞踏パフォーマンス (youtube)
吉田文憲さんの(私が一番好きな)詩、「生誕」を暗唱し、そのあとに舞踏パフォーマンス。
※日本には「舞踏」という日本特有の前衛的な舞踊の形式があります。
西洋の軽やかで流れるようなダンスとは違い、地面に這いつくばるように情念や土着性などを表現するものです。
60年代に土方巽が創始、大野一雄などが発展させたもので、今は世界的にButohとして認知されています。
途中、ばらばらと大粒の雨が降って来て、けっこうな大降りになる。
スマホが濡れたら壊れるのでは、とコートを頭から被ってスマホを庇いながら撮影。
見てくださっているお客様も濡れて申し訳なかった。傘を最初からお客様に用意するべきだった。
パフォーマンス終了後、村野君の予備校時代からのお友達が来て一緒に録画を見ていた。
本人はミミズをイメージして踊ったそうだ。
そして私に若いお客様が。友人のサヤカちゃんの息子さんのK君と、その幼馴染のT君。
私は何と言ったらいいのかわからないくらい、この若いおふたりに励まされた。
私のデッサンを見て、二人で(私に向かって言うのではなく)「すげえ!全部すげえ!絶対描けない!」って本当に驚いて言ってくれていたので。
「どういうところが?」と質問するとK君は「線の選び方がすごい。こんなふうには誰も描けない」と。
スケッチブックを一枚ずつめくって見せたら、その一枚ごとのデッサンに、いちいち「すごい。全部すごい」と言ってくれて
そして枯れたチューリップを和紙の上に鉛筆で描いて岩絵の具を散らした絵を見て、「これが一番好きです。生命の揺らぎを感じる」と言ってくれて、画集まで買ってくれた。
T君は絵をやっている人ではないにも関わらず、私の銀箔の絵を見て「すごい!これ、なんなんですか?」と真剣にくいついてきて、
「銀箔を腐食して、絵の具を使わずに絵を描いたの」と応えたら「すごい!誰もやってない。誰もやってないことを考えるのがすごい」と。
花の部分だけ塗っている紫のチューリップの絵を見て「どうして一部分だけしか色を塗ってないんですか?」と聞かれ
「花は一瞬ごとに動いているから、今の瞬間を描こうとすると全部塗れない。全部塗ると絵が固くなるから。
左のチューリップに比べて右のチューリップは早く無造作に描いているでしょ。無造作に描いた方が運動が描けるから」と応えたら
「すごい!それで動いているように見えるのか」と。
なんで若い人がこんなに素直に、強く興味を持ってくれているのか、本当に驚いた。
なにか表現している特に若い人は、自分のやっていることが一番と思っていて、私のデッサンに興味を持ってくれる人などほとんどいないから。
現代アートをやっている人は設計図は描くかもしれないが、自分の外にある小さな生き物をよく見て鉛筆で描くことなど必要ないと思っているし、
絵をやっている人でも自分の絵のスタイルを作るのに熱心で、ものを見てものに寄りそうデッサンの質には興味がなかったり・・
私の絵を見て敵愾心丸出しで、私から話しかけても「ふん!」とそっぽを向いた同じ美大の同じ学科の10年も15年も後輩の女の子が何人もいたし、
だから、絵の世界とはそういう嫌な感情が渦巻く世界だとずっと昔から認識していたので、ふたりの素直さに愕然とした。
私は萎れて枯れていく植物の運動に寄り添って描くこと、そしていわゆる美大受験用の画一的なデッサンを抜け出て線で描くことを目指して30年やって来たのだけど
きょうは馬鹿の一念で続けて来たことが無駄ではなかったと思えた幸せな日だった。
7時に個展終了。すぐに絵5点を梱包して足利市立美術館に送る準備をした。
そのあと打上げ。昨日H.Mさんにごちそうしていただいたちょっと高級なイタリアンへ。
私がごちそうすると言っているのに、二人はすごく遠慮していた。今日ばかりはごちそうさせて欲しい。
シャブリのグラスで乾杯。マグロと紫玉ねぎのカルパッチョ。スモークサーモンのサラダ。ウニのクリームソースレモン添え。
アケミさんが、「花輪和一展と福山知佐子展を手伝えて、すごくたくさんのお客様と会えて楽しかった。それと知佐子さんのお客様がみんな優しくて素敵な人ばかりでびっくりした」と言ってくれたのが嬉しかった。
「芸術家ってみんなおかしな人ばかりかと思ってたから」と言われ、
「そんなことはないよ。一流の人は優しいよ。変な人って自己顕示欲がおかしくなってるんだと思う」
9日間、たくさんのかたとの出会いがあり、すごく目まぐるしくて体力的に大変だったけれど、幸せでした。
お運びくださった皆様、絵や本や絵葉書をご購入くださった皆様、本当にありがとうございました。
10月25日からは足利市立美術館でのコレクション展「いのちの寓話」に8点が展示されます。
新宿から2時間。空気も澄んでいて、とても良い美術館ですので、お近くのかた、興味がおありのかた、よろしくお願いいたします。
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