花輪和一

2023年11月 9日 (木)

花輪和一さんと高円寺を散歩

11月4日(土)

花輪さんが昼過ぎに新高円寺に来てくれて、高円寺北のほうまで散歩した。

まず、私がものすごく喜んだことがあった。

昨日、東京で再会した時から、花輪和一は煙草をやめて(やめることができて)いたのだ。

ギャラリー工の玄関脇のヒイラギにセミの抜け殻を4つ発見して、私は花輪さんが見たら喜ぶと思って知らせるのを楽しみにしていた。

花輪さんに見せると「まだあるんだ~」と喜んで、すぐに近所のコンビニにプラスチック瓶の牛乳を買いに行き、その容器を洗って抜け殻を丁寧に採取していた。

その時、いつもならここで喫煙タイムになる、と思ったのに花輪さんは煙草を吸わなかった。

私が送った禁煙ガムを小さくちぎって何度にも分けて噛んでいた。

「偉い!あんなに禁煙できなかったのに、ついにできたんだね~すごい!これで新幹線にも安心して乗れるね」

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「絶対に顔のせちゃだめ~」と言われたので顔を隠しました。(画像の無断転載をお断りします)

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高円寺茶房で花輪さんはコーヒーがおいしいとおかわりしていた。

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階段の錆が美しい古いアパートの前で。

高円寺をぶらぶらあてもなく歩きながら、昨日の私の個展の感想をいただいた。

「長い時間、黙ってじっといつまでも絵を見ている人たちがいたでしょ。それがすごいことだと思った。」と言われた。

「それと、ここが○○にも見える、とか言ってた人がいたでしょ。私もそういう深みのある絵を描きたいと思った。偶然のしみとか、はねとか」

「え・・と・・ずっと前から私言ってたよね。何もかもを細かく描き込みすぎないで、抜くところを作って含みを持たせたほうがいいって。そのほうがいいでしょ。もう眼も疲れるし」

「そうでした」

立ち寿司横丁で(座って)スパークリングワインで乾杯。

おなかいっぱいお寿司を食べてで二人で3500円くらいだった。「札幌の狸小路だと安いところでもひとり4000円くらいでしょ?どう?東京の安いお寿司の味は」と尋ねると

「すごく安いね。それにおいしい」

「私一人で食べると750円くらいでおなかいっぱいなんだよね」

「へたするとコンビニ弁当よりも安くお寿司が食べられちゃうんだね」

明日の朝、上野から函館行の新幹線で帰るという。「ちゃんと起きられるか心配~」と言ったら「各部屋に目覚まし時計がついてるからだいじょうぶですよ」と。

花輪さんはサウナが好きなのだが、脱水にならないのかな、とかいろいろ心配してしまう。

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2023年11月 8日 (水)

GALLERY工での個展の記録 10日目、最終日(11月3日)

11月3日(金)

今日は音楽評論などをされている堀内宏公さん。

そして母の介護の時にとてもお世話になった当時のケアマネさんのMさんが見えて本当に感激。ずっと気になっていたのだか勤務先などに個展のご案内を出したらご迷惑だと思い、遠慮していた。

西新宿の古いボロボロの木造の家(まだ存在している)の中に入って、あの頃の悩み、苦しみに寄り添って助けてくれたかた。

創画展のKさん。

ついこの前の卓球教室でご一緒したO原さん(すごく上手な人)。

高校の部活の先輩Aさん。

いつもメールでお話してくださって、私の絵を買ってくださってもいるTさん(わざわざ仙台から来てくださった)。

写真家の堀田展造さん。

漫画家の月城マリさん。このかたは明るくて優しくて、すごく励まされる。

小平市のムサ美の近くに実家があるのに、多摩美の彫刻科を出て高知の農園などで働いているという若いMさん。

私のブログを読んでくださっていると言われて「なぜ?」と聞いたら「だって福山さんてすごく一生懸命じゃないですか}と言われて、若い人にそんなふうに言ってもらえるとは思わなかったのですごく驚いた。

彼は今日、素人の乱のまぬけハウスに泊まると言った(受付前のソファなら1000円で泊まれるという)。

Twitterで見て来てくださったタケイミナコさん。とてもおしゃれなアールデコのイラストのワンピースをお召しになっていて素敵だった。西荻の古着屋で買われたという。

荻窪の古書店のNさんのTwitter仲間のSさん。黙ってじっと絵と対峙してくださった。

鵜飼哲さんが二度目にご来訪くださる。「花輪さんらしき人が新高円寺駅前で迷っていましたが、ひとりで行きたそうだったので」と聞いて飛び出す。

五日市街道の始点の交差点で大きく手を振って、向こう側にいる花輪和一さんを迎える。

私の初個展からずっと応援してくださっているT子さん。

昨年もコスモスと猫の絵を買ってくださったのだが「今年もコスモスシリーズがほしい」と。
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音大声楽科を出たS君。彼が学生の頃に知り合って、もう36歳と聞いて驚く。

独り立ちして仕事をがんばっているI君。彼も学生の頃に知り合ってもう31歳。

最後の片付けをオーナーの濱田始さん、鵜飼哲さん、花輪和一さん、T子さんに手伝っていただいてしまった。

やっとこさカーゴ便に乗せて送り、4人でお疲れ様~の乾杯。鵜飼哲さんと花輪和一さんが一緒にテーブルを囲んでいる貴重で珍しいひととき。
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本当に皆様、最後の最後までお世話になり、ありがとうございました。

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食べ物を片付けたあとに、花輪さんが北海道の自宅の裏山から大切に持って来てくれたおみやげ、黄色くなったミズナラやコナラの葉っぱを出してくれる。「東京はまだ黄葉してないって思ったからさ~」と。
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大きくて茶色いのはホウの葉。ツルウメモドキの鮮やかな実も。

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私は家に荷物を置いてから花輪さんを新宿区役所前のカプセルホテルまで送って行った。

ここ2週間くらいずっと気を張りつめていたので疲労困憊で、地下道から地上に出たら、見慣れた新宿の街がギラギラして、一瞬、どこに区役所があるのかわからなかった。

本当にいろんなかたに会えて、絵を見ていただいて、お話しできて、とてもとても幸せでした。

来てくださったかたがたに心より感謝いたします。



 

 

 

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2023年7月19日 (水)

ボリジ、ノラニンジン、刑務所の中の日記

7月11日(火)雨

ここは札幌よりは高い位置にあるのでだいぶ涼しい。

夜、トイレに行くと窓の外の空気はしんしんと冷えていて寒いくらい。体感14℃くらい。

家の前に植えてある青紫の優美な花。田中未知さんがオランダから種を送って来たという。
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調べてみたらボリジ(瑠璃萵苣、ルリヂシャ)という植物らしい。

私もこの花を初めて行った時のベルリンの原っぱで見て忘れられなかった。聖母マリアの青い衣を描くときに使われ、マドンナブルーと言われるそうだ。

北海道の天気は目まぐるしく変わる。雷が鳴ってざあっと降って、晴れて曇って、また降って。

夕方、ひとりで家の周りを散歩した。どの家も植物を植えている。

ラベンダー、薔薇、ウマゴヤシ、マツムシソウ、タイマツバナ(ベルガモット・モナルダ)が満開。

そして道端に勝手に生えている美しいノラニンジン。初めてこのレースフラワーを道端で見た時、さすが北海道、とすごく感動した。Sdsc04585

ひとり、集落の端っこの階段を降りると、去年ふたりで歩いた最初に花輪さんが発見したイケマの道に出る。今はその道が破壊されていて、広大な農地にブルドーザーが入っているので泣きそうになる。

野生のフキの茎を折って齧ると、苦い懐かしい味に胸がつーんとする。

・・

「これ刑務所の中で書いてた日記。」と、私がねだったわけでもなく花輪さんが大学ノートを持ってきて見せてくれた。

あの名作『刑務所の中』が描かれる前のリアルなデッサン、スケッチと日々の記録。見た夢の記述も多い。

あまりに明確にデッサンした建物の中の絵は、刑務官によってきれいに切り取られて無くなっている。

しかしリアルに細かくデッサンしたことで建物内部の構造すべてが記憶に鮮明に残っていたから、あの漫画を描けたのだなあ、と感動。

『刑務所の中』のまんがに描かれたコマより数段繊細かつ劇的に、赤と青と黒のボールペンの線で描かれた風呂場の窓からの陽の光。光の中になにかがいる。(画像の無断転載は固くお断りします)

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ほかにも毎日、部屋から見える白樺の樹の成長と変容を描いたデッサン、読んだ雑誌の中にあった顔写真や絵(なぜかベルト・モリゾの絵)のスケッチ、見開きの記事ひとつそのまま写したもの(立花隆が書いているオウム関連の記事)・・・。

「なんでこんなに根気があるの?すごすぎる。こんなに根気がある人はいない。」と言うと

「だってやることがないんだもん。しかたないんだよ。」と。

ほかの皆がだらだら寝ている時に、ひとり絵を描かずにはいられなかった、すべてを克明に記録せずにはいられなかった、根っからの掛け値なしの表現者。

それは誰に見せることも意識していない純粋なノートで、天才過ぎて涙が出てくる。

しかし白樺の樹の変容を定点から描いたものを見ても、一般の人は何の感動もないのだろうな、結局、絵を描く人間どうしでしか感動しないのだろうな、と思ってしまう自分もいる。

7月12日(水)曇り

朝7時に起きて、深紅のラズベリージャムをこんもりつけたパンと紅茶。

8時45分発のバスで花輪さんに駅まで一緒に乗ってもらう。

駅で花輪さんに「いろいろお世話になりました。パソコンまで直してもらって。」と言われ、

「ええ?たいへんお世話になったのはこっちでしょう?いろいろすみませんでした。」

「福山さんは精神が強すぎるんだよね~。」

「ええ?どこが?」

「ものすごく精神が強すぎて、それにからだがついていけなくて、すごくやせちゃってて。俺なんてついていくのがやっとだよ。」

11:40発羽田行きの飛行機に、10:30にチェックインしたら、1席だけ残っていた窓際の席がとれた。

千歳の原生林と支笏湖が光るのを空の上から見るのをすごく楽しみにしていたのに・・・今日は厚い曇に覆われていて残念。

新千歳を飛び立ってから窓の外は真っ白。まあ、雨で雷雲の中に入ってしまったりしたら2、3時間も遅れることもあるらしいので、順調に飛行できて幸運と思わないといけない。

30分くらいしてからカーッと晴れて山脈が見え来て、東京に着く頃は36℃。

品川で電車を乗り換える時、温度差に順応できずに吐き気がした。

 

 

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2023年7月18日 (火)

花輪和一と江別、石狩川へ

7月10日(月)蒸し暑い日。

昨年の秋にあんなに感激したイケマでいっぱいの野原が今は失われてしまい、悲しすぎるので、どこか人のいない原っぱに行きたい、と言うと、

花輪さんが「ずっと前に江別の石狩川の岸辺に行った時、原っぱがあったような気がする。」と言うので、行ってみることにした。

江別駅で降りると、本当に何もないところ。店が無く、廃屋ばかり。川への道を駅前交番で尋ねて歩き出すが迷ってしまう。

煙突のある廃屋。ドアを塞いでいる桑の木の実を食べる花輪和一。

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道端に私の好きなビロードモウズイカ。寂しい風景。
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歩けど歩けど川が見えない。30分以上歩き、ジーパンまで汗でぐしょぐしょ。ほとんど人と会わず、途中、やっと出会った人に道を聞く。

そのあと王子製紙の巨大な工場から出てきた人に聞いて、ようやく石狩大橋。
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石狩大橋の周辺はカワヤナギが繁っていて、入って行ける野原はほとんどなかった。樹が刈り取られたほんの少しの場所をたどって岸に降りる。

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花輪さんは木切れを拾って川に投げていた。

「なんで何度もやるの?」と聞くと

「川の流れを調べてる。」

「どっちからどっちに流れてるの?」

「左から右。」

「逆だよ。左のほうが海だもん。」

青紫のクサフジが満開。
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ふと、一生出会えるとは思っていなかったクジャクチョウがひらひらと寄ってきたことに気づき、大興奮。

目の前の礫にとまって羽を閉じたり開いたり。警戒心の強い蝶と聞いていたのに、夢じゃないかと思う。
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クジャクチョウはまとわりつくように何度もひらひら舞ってはまた近くにとまり、花輪さんのリュックにとまった。

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時折、強く差す陽が眩しい。

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帰りも閑散としたアスファルトの道を行くと、またクジャクチョウに出会った。なぜ二度も出会えたのだろう。

「さっきのじゃないの?」と花輪さん。

「まさか。もうずいぶん離れてるもに。」

またも迷いながら30分以上歩き、やっとこさ駅に帰り着く。途中、一軒だけポツンとあったコンビニで飲み物を買い、干上がった喉をうるおす。

江別駅近く「コーポ高島 高島商店江別交換市場」と書いてある不思議な建物。かつてはリサイクル業だったところ?Sdsc04710

駅に入ったらかわいい車が停留していた。この赤と白のはレールを運ぶ車。

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この黄色いのはドクターイエローと言って、レールの診断をする車だと花輪さんが教えてくれた。
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2023年7月17日 (月)

71年藤尾毅アシスタント時代の花輪和一

7月9日(日)曇り

朝、庭のラズベリーを摘む花輪和一。
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ラズベリーはザルにいっぱい収穫でき、次の朝にはまた真っ赤に実る。摘んだ果実はすぐに土鍋で煮詰めてジャムを作る。

電話の横に71年の週刊プレイボーイ誌が3冊あり、「これ何?」と尋ねると、その当時、花輪さんがアシスタントをしていた藤尾毅のまんがが載っているという。捨てるというのでもらって帰ってきた。

藤尾毅「漂忍一族過去帳より 第2話 やまびこ卍」(週刊プレイボーイ1971年11月23日号 集英社)
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この焼け落ちる吊り橋の絵を花輪さんがひとりで描いたそうだが、当時デビュー前、24歳の花輪さんの描写力、やはり天才としか言いようがない。
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ちなみに3冊のプレイボーイは古本屋の店主がくれたものだという。

この1971年のプレイボーイの表紙の写真は、若い女性向けのファッション誌かと思うくらいおしゃれですっきりしている。

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8月24日号には「本誌編集部が映像の世代に敢えて問う 16歳の少年が1年間撮り続けた女ともだちのヌード」という巻頭グラビアが素敵で感心してしまった。

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8月31日号には「16歳の少年が1年間撮り続けた女ともだちのヌード」の第2弾が掲載されている。ポラロイドの光が美しい。少しもいやらしくないヌード。

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このSLの上に乗ったカラフルな服の女の子の写真、まったくプレイボーイぽくなくてNON・NOっぽい。

NON・NOは71年の5月に刊行された。NON・NOの表紙を撮った写真家と同じ人なのかなあ?と思う。

72年くらいからプレイボーイの表紙はタレントの顔のアップで全然おもしろくなくなる。

・・

私のリクエストで「護法童子」を描いてくれている花輪さん。
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2023年7月16日 (日)

花輪和一と小樽天狗山リス園

7月8日(土)

今回の旅で、私がずっと楽しみにしていた小樽天狗山山頂のリス園へ。

本当は平日に行きたかったのだけど、天気が不安定で月曜は雨になるかもしれなかったので急遽出発することにした。

札幌を出発し、思ったより早く、25分くらいで真っ青な海が見えた。車窓のすぐ近くを飛んで行く石ばかりの狭い浜。錆びたトタン屋根に眼を奪われる。

昼に小樽着。天狗山ロープウエイ乗り場までバスで20分くらい。

頂上に着き、ついに来ました!夢にまで見たエゾシマリス園。リスたちはとてもすばやく走り回る。白い綿状のものはポプラの花(穂綿)。

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この表情はうちのちゅびお(キジトラの♂猫)に似ている気がする。
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フードは入り口のところにあるカプセルガチャでヒマワリの種300円を購入。

柵の中にはリスたちの巣穴(土に堀った穴)があるので立ち入り禁止。家族連れとカップルが多い。

「リスが怖がるので追いかけたりしないでください」と書いてあるのに、 大声で叫びながらリスを追いかける子供たちにげんなりする。

暑いので日傘を差してしゃがんで静かに見ていたら、私の日傘の影に入って来た子。

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膝に置いた上着に乗ってきて、布の影に入って休んでいた。かわいすぎてたまらない~。
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夢中でシマリスを撮り続け、汗をかき、喉はカラカラ。自動販売機で冷たい飲み物を飲んだ。マーガレットが咲く斜面。
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2匹並んでいるのは、たぶん親子。
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左の小さい子は、まだ眼が開いていないようで、ずっと眼を閉じて動かずモグモグ食べて、そのあと巣穴に入って行った。
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こちらの子はブタナの長く伸びた茎を引っ張ったり、噛んだりして遊んでいた。
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茎をおまたにはさんでみたり・・
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お手手で莟を引っ張ったり・・リスは若い草の芽も食べる。
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水飲み場で飲んでいる子をしゃがんでじっと見ていたら、また私のほうに近づいて来た。
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静かにしていたら手首に乗って来て、このあと肩まで乗って来た。まわりの子供たちに騒がれたくないので、日傘で隠してじっとしていた。

(注意 感染症注意のため、手から直接に餌をあげてはいけないこと、木のスプーンでやることになっています。)
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1時に山頂に着いて日暮れまで4時間以上、私は水分補給とトイレのほか休憩なしてずっとシマリスを撮っていた。

私には夢のような体験だったのだけど、またもいつもの理由で花輪さんと喧嘩してしまった。

最初の20分くらいで花輪さんが私に黙っていなくなり、すぐに気づいてリス園の外に出ると、思ったお通り、端っこで煙草を吸っていたのだ。

「なんで黙っていなくなるの?」

「邪魔しちゃ悪いと思ったから。リスに興味ないし。」

「嘘!煙草の禁断症状でおかしくなってるだけじゃない。ここ禁煙だよ。まわりに誰一人吸ってる人いないし。」

「どこにも禁煙て書いてないから。」と言われて頭に来て、売店の人にはっきり聞いてくる、と言って走って行ったらやはりドアのところに「敷地内禁煙」と書いてあった。

花輪さんにはレストランハウスで好きなものを食べて待っていてもらった。

5時過ぎにロープウエイで下山しバスを待つ時も、花輪さんは即、木陰の方に行ってタバコを吸う。

「さっき吸ってたのにもう我慢できないの?」と聞くと「だってさっきは半分しか吸えなかったんだよ~。」と。

3月に私が右肺の中葉切除の手術を受ける報告をして、もう死ぬかもしれないから煙草をやめてほしい、と言ったときは「わかりました。やめます。」と言ったのに。

帰りは私の大好きな「石狩挽歌」に出てくる「朝里の浜」に降りてみたいと思ったのだけど、そうすると帰宅が相当遅くなってしまうので、車窓から流れる景色を撮るだけで諦めた。

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岩の上に鵜がいる寂しい海の景色。

この日、札幌からの地下鉄には浴衣の若い女の子が多く、真駒内公園で花火大会だと話しているのが聞こえた。

スーパーで買い物をしてバス停でバスを待つ時もまだ、8時半くらいまで花火が上がっていた。

 

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2023年7月15日 (土)

花輪和一と北大植物園、札幌貨物ターミナル

7月7日(金)

午後から北大植物園へ。

花輪さんと初めて会った30年くらい前に一緒に行ったはずだが、あまり覚えていない。

花輪さんが大通りをどんどん進む。大通公園の西の端の薔薇はまだ満開。暑くて息切れ。

日陰を求め、アンティークで落ち着く札幌市資料館の庭でおにぎりを食べる。
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北海道立近代美術館の横まで行き、私が「絶対に方向が違う。来過ぎだよ。植物園は札幌駅のすぐ近くだった。」と言って引き返す。

広大な植物園の塀をぐるっと回って正面入り口へ。

ここでは重要文化財の建物をまとめて見ることができる。

中にある熊など動物の剥製を見たくなかったので外観だけ見た。

この日に見た植物で一番感動したのはプンゲンストウヒ(ホプシー)。コニファーの中でひと際美しい。Sdsc03966
凍った青灰色が清冽な冷気を吐いているよう。

温室の中で私は暑さでへばっていたが、花輪さんは熱心にシダ類などを見ていた。さすが。

・・

そのあと、私がぜひ行ってみたかった札幌貨物センター駅へ。

「平和」という駅で降りて、線路の上の長い歩道橋を渡る。歩道橋の上から窓ガラス(開けることはできない)越しに撮った景色。

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新千歳からの電車の窓越し、いつもこのたくさんの線路とコンテナのある風景に強烈に惹かれていた。
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右手に写っている赤い車が気になる。

花輪さんは以前、東京の出版社への原稿がぎりぎりになった時、この平和駅にある運送会社から航空便で原稿を送っていたそうだ。

向こう岸へ渡ってから運送会社まで相当歩く。柵の中を突っ切れば数分だが立ち入り禁止となっている。

人のいないがらんとした倉庫街を行く花輪和一。

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ここまで来れば線路が見える。東京ではもう枯れたヒメジョオン(姫女苑)が乱れ咲いている。
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2023年7月13日 (木)

北海道の花輪和一宅へ(7月5日~6日)PC設定

7月5日(水)

夕方の飛行機で新千歳へ。

新千歳から札幌へ向かう車窓からの風景。この風景を見ると遠くに来た思いで胸がいっぱいになる。

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札幌貨物センターのたくさんの貨物。
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西口を出て正面にあるアイヌの長老像で待ち合わせ。

「ああ!元気そうですね!」と花輪さん。

「左側の髪がすごく無くなったの。髪が少ないでしょ?」と聞くと

「うん。少ない。」と正直な反応。

家に着いてからは花輪さんが買っておいてくれた塩水につけてある雲丹とホッキ貝で乾杯。

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今描いている絵を見せてもらった。猫たちの話らしい。

PCを使おうとしたら画面が開けない。マイクロソフトのアカウントとパスワードを入れてください、というようなのが出て、入れた後に電話番号に認証番号を送るという。

花輪さんはケイタイを持っていず、家の電話を入れてもまったく認証番号など送られて来ない。

明日の朝、一番に、駅の近くのパソコン修理ができるところに電話することにする。

7月6日(木)

9時にパソコン修理屋さんに電話。夕方6時半に、子供連れでいいなら来られるというのでお願いする。

山の少し下にあるセイコーマートに近道で行くのには、裏山の白樺林を抜け、急な坂をロープを握って降りなければならない。雨が降って土が濡れたら、私には荷物を持って上り下りできる自信がないような道。

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セイコーマートそばの廃屋の横の原っぱ。

シロツメクサ、ヒメジョオン、ブタナなどの晩春の雑草と混じって誰かが植えたムスクマロウが満開。ムスクマロウは冷涼な地でないと咲かないらしい。

ハナビシソウ、ユリやデルフィニウムまで咲いている。ネギも植えてある。

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近所の家の庭の薔薇がどこも満開。東京より2か月遅れている。

ものすごいショックだったことは、昨年の10月20日に二人で夢中になって遊んでいた山ほどのイケマの原っぱが、ただの平地になり、家が建っていたことだ。

その向かいのツキミソウとイケマの原っぱも宅地に。

私が花輪さん宅に着くなり教えてくれた花輪さんが最初に近所でイケマを発見した場所も、植物は抜かれ、花輪さんが櫟(イチイ)の赤い実を食べた広大な農地もブルドーザーが入っていて全部宅地になっていた。

・・

6時半にパソコン修理の人が来てくれた。

私はどうやって解決するのか一部始終を見て質問し、メモしている。

一緒に来た4歳の女の子が部屋と台所と洗面所を駆け回る。もちろん花輪さんにはあやすことはできない。

niftyの最初の契約の時にもらったIDなどを駆使して、電話番号への認証番号なしでもなんとかパソコンを開くことができた。

PINなどは私が紙に書いてパソコンの端っこに貼った。

花輪さんはメールもしないし、ただyoutubeや地図を見るくらいなのだけど。

とにかくわからないウインドウは消すこと、クリックしないこと、とお願いする。

夕食は花輪さんが買っておいてくれたタラバガニ、アスパラ、トマト、ビール。

 

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2022年11月20日 (日)

宇野昌磨 ほか NHK杯

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札幌市の真駒内川沿いで採取した野葡萄(スケッチ、水彩)。

10月26日に北海道から帰宅したらエッセイのお仕事が来ていて、花輪和一へのオマージュを書くことにした。

それがとても難しくて、ブログやTwitterをする余裕もなく、必死で書いているうちにフィギュアグランプリシリーズが始まっていた。

あれ、真駒内のリンクでやっているんだ、今頃花輪さんちへ行っていればエキシビションを見ることができたのかな、などと思いつつ・・。

・・・

11月19日(土)

宇野昌磨選手のフリー。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ『G線上のアリア』~ ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ『Mea tormenta, properate! 』

宇野昌磨選手を生かすなんと素晴らしい選曲!

かすかに水色を感じさせる灰色の静かな靄のような衣装。

靄が水平にゆっくりと流れ、その中から息づき動き出すもの。

後半からは、情熱をを急かせる楽器の音と魅惑的な的な声の熱唱に

ぼっと燃え上がり濃いオレンジ色の炎に変わる。

我が苦しみよ急げ!と少しの悲惨さもなく情熱で、自ら痛みの劫火の中に飛び込もうとする歌なのだろうか。

今回は練習で苦しんでナーヴァスになりそうなところをステファンコーチに救われたそうだが、

そのような精神状態だったことが嘘のよう、

フリーはこの時期とは思えないほど完成度が高く、ひとりだけ別次元の表現力だった。

信頼するステファンコーチのほんのひとこと(「完璧を求めすぎてはいけない」)で焦燥がリラックスや意欲、集中力へと変わり、身体の制御と解放度が変わるとはすごいことだ。

ステファンコーチの熱い言葉で、宇野昌磨選手の心も灰色からオレンジ色に燃え上がった。

山本草太選手の点数がどうなってしまうのか、どきどきしたが、2位と結果が出た時の宇野選手の喜び方が素晴らしかった。

最後に選手たち、コーチたちの、最高に喜び合い、称えあう姿が見られて最高の大会。

三浦璃来&木原龍一組の快挙も素晴らしかった。このふたりの清涼感は特別。

村元哉中&高橋大輔組のリズムダンス (『Conga Is Gonna Get You』ほか)もことのほか素晴らしかったし、これからが楽しみ。

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2022年11月 1日 (火)

北海道の花輪和一さんとの1週間の記録(7)

10月26日(水)

今朝は2階からドンドンという体操の音がしなかった。

和室の方から気配がするので開けてみたら、花輪さんはそこで知人から送られてきた戦前の人が書いた手紙のコピーを読んでいた。

庭の真っ黄色だったヤマイモの葉が急に茶色くなっていたのが淋しかった。ドウダンツツジに絡まったヤマイモの間に、花輪さんが鳥たちのために向日葵の種の詰まった花首を5つもひっかけているので、ゴジュウカラやヤマガラがよく来る。

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真緑に茂っていた大葉も全部黒く枯れてしまった。昨日の朝と今朝、氷点下になったからだという。

とうとう東京に帰る日となると落ち着かなくて、とりあえず私は昨日採取したヤマブドウをスケッチすることにした。

花輪さんは庭の畑の仕事をしたり、明らかに昨日までと違い、私と顔を合わせないようにしていた。

花輪さんは冬になって道が雪で覆われても、週1でバス通りを1時間半かけて徒歩で下り、駅近くのスーパーで買い物して帰りだけバスに乗って帰るという。

「途中(徒歩で40分くらいの場所)にもスーパーがあるのに、どうして駅の近くまで歩くの?」と聞くと「そのほうが楽しいから。」と。

今日、私が乗る予定のバスは1:40発で、飛行機出発の(4:15)のぎりぎり1時間前に新千歳に着く予定。緊張して何度も時刻表を見る。

最後に残っていた富良野ホップのサッポロクラシックビールをいただき、もう一度バスの時間表を見、そしてまた絵を描き・・・

花輪さんに「いろいろたいへん迷惑かけました。私がいると気が散ってすごく疲れたでしょ。」というと、

「福山さんて満ち潮の人だから・・」

「満ち潮?」

「絵描いて、写真撮って、テレビ見て内容も覚えてて、パソコンもやって、料理して、しゃべって、全部一緒にできるから、すごいエネルギーが押し寄せて来て・・・一緒にいると大学生と小学生みたいなんだもん。俺はずっとひとりでやってきて、1週間も人が泊まるなんて絶対にないことだから。」と言われ、

感傷的になって涙がこぼれた。

「また来ていい?来年の5月とか。」と言うと「いいですよ~。その頃なら季節もいいしね。」

そして1時40分発のバスに乗り、駅まで一緒に行ってくれたのだが・・・

なんと!!

バスから降りるとカバンの中に飛行機のチケット引換券がないのに気づき、たいへん狼狽。

「間に合わないかもしれない!」

「とにかくタクシーで取りに帰ろう」と花輪さんが言ってくれた。タクシーに乗っている間、ただただ平謝り。バスなら25分くらいかかる道を15分くらいで家に着く。

家に飛び込んだらはたしてPCの横にファイルが置いてあった。待たせてあったタクシーに飛び乗り、タクシーの中でメモを見ながら時間を計算する。

「出発時刻の20分前を過ぎますとご予約いただいている場合でもご搭乗いただけませんのでご注意ください。」と航空引換証に書いてある。

何度計算しても搭乗手続きの20分前ジャストにしか着きそうにない。

「本当に私のバカっぷりに呆れたでしょ。」と言うと、「いいや。だいじょうぶですよ~。死にはしませんから。」と花輪さんは少し嬉しそう。

「とにかく行ってみます。本当にいろいろありがとう。」「きっとすべてうまくいきますよ。」と言われ、頭を下げ手を振りながらあたふたと地下鉄に飛び乗る。

22分ほどで札幌駅に着いたが、改札でバスからの乗り継ぎ券が引っかかり、精算機に入れたら機械が止まってしまった。ああ、こういう運命なのかなと思いつつ、大きな声で駅員さんを呼び、お釣りを持ってきてもらう。

JRの改札へ走り、新千歳行き3:11発の電車に乗る。新千歳着は3:49と書いてある。チェックインの締め切りが3:55だから、駅のホームからスカイマークのカウンターまで6分しかない。

電車の中でトイレに寄り、猛烈ダッシュに備える。そしてホーム着からダッシュ。しかし新千歳の改札でもスイカの料金不足で引っかかる。

搭乗階へと駆け上がり、黄色いカウンターの飛行機会社の人めがけて「チェックインお願いします!遅れちゃいました!」と吐きそうなほど息を切らしながらお願いすると「だいじょうぶですよ。」と。

この時、3:55ぴったりだった。

すぐに荷物安全検査。そのあと搭乗が始まったのだが、もしあと数分遅れたら乗せてもらえなかったのだろうか?

乗せてもらえるとなったらやっと落ち着いて、通路側ではなく、少しでも景色が見える窓際から2番目の席を選んだ。

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窓側の席ではないけど、千歳を離陸してすぐになんとか撮れた山の上の湖(支笏湖?)。進行方向右の夕焼けが見える側の席で良かった。

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東京が近づいた時に見えた富士山。

家に着いてから花輪さんに「無事に着きました。いろいろすみませんでした。」と報告の電話。

「よかったですね~。」と花輪さん。

 

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