花輪和一

2024年11月11日 (月)

二匹展 6日目(最終日)の記録

11月4日(祝日)の記録

今日最終日、もう本当に体力ギリギリで頭朦朧だったので今朝もレットヴィモ休薬。

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私の西新宿の古い家を改築してくれた村野正徳君。
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いつも変わらずあたたかい斎藤哲夫さん(シンガーソングライター)。
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今日は中塚正人の「風景」を歌ってくださった。
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このシンプルな曲はいろんな人がカバーしているが、哲夫さんの今日のギターと歌唱は一番泣けました。

いずれyoutubeにアップします。

たくさんのお客様。
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昨日来られて「『反絵、触れる、けだもののフラボン』にサインが欲しいんで、明日持って来ていいですか?」と言われた小説家のM・Kさん。ビーチサンダル姿が印象に残った。

私はこの本を小説家のかたにほめていただくのは初めてなので、たいへん感激した。比喩や観念を入れない、見えるものをそのまま描写することに共鳴してくださったとしたら稀有なことだ。


早稲田大学の谷昌親先生。「美容師にそそのかされちゃって」と髪を伸ばしてパーマをかけたヘアで、すごくおしゃれ。
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ポスターハリスカンパニー代表で寺山修司記念館副館長の笹目浩之さん。映画「田園に死す」の中での花輪さんの描いた看板は、寺山修司が撮影の際に火をつけて燃やそうとしたが、スタッフがそれは忍びない、と言って救ったとか。いいお話を聞かせていただいた。
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笹目さんも「とにかくこの絵が最高にいい」とおっしゃっていたペン画。これは30年以上前の花輪さんの個展で一番の大作で、その時に私が譲り受けた宝物なのです。あまりにも繊細で、かわいくて神々しい。
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安部慎一のドキュメンタリー映画を制作中の外川凌さん。

フルーテイスト、篠笛奏者の藤原雪さん。一緒にお写真を撮っていただきたかったのに撮り忘れてしまいました。

とにかくお客様いっぱい。
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昨日、外から大きなガラス窓越しに私の絵を見て、今日見に来てくださったという元モデルのHamさん。Sdsc01008_20241110130901

詩人の中本道代さん。
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シモーヌ・ヴェイユを主軸に芸術、詩学を探求されている今村純子さん。
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5時になった瞬間、テーブルに突っ伏してしまった。肩首背の筋肉が緊張しすぎて強い吐き気がして。

レットヴィモを飲みながら、サンダルで立ちっぱなしで血行不良の姿勢で連日はきつかった(寒気がするので腰と背中に使い捨てカイロを貼っていた)。

そして花輪さんファンのかたたちの熱い思いに触れ、対応する喜びと緊張感、半端なかったです。

ご来場いただいた皆様、熱心に見てくださった皆様、本や絵葉書など購入いただいた皆様、本当にありがとうございました。

新たな出会いも僥倖でした。

 

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2024年11月10日 (日)

二匹展 5日目の記録

花輪和一ネットオークション、本日11月10日夕方5時終了です。

https://blog.goo.ne.jp/anti-lion

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11月3日(「二匹展」5日目)の記録

だるくて身体が持たないので昨夜からレットヴィモ休薬。

わりと早めの時間に伊藤ゲンさんがいらして私の絵を買ってくださった。

今日はありがたいことに、お客様がたくさんいらしてバタバタしていました。

舞踏の興行の会社にいたというマニアックなマンが好きの、とても面白いK野さんがすごく笑わせてくれたり、

私の旧友たちが来てくれたり・・・花輪さんファンのかたがたはいっぱ~い・・

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画家の高須賀優さん。
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彦坂尚嘉先生がまたいらしてくださった。彦坂さんと平田星司さんと颯田さん。

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4時くらいに来られて、ずっと黙って長い時間、大きな絵と連作6枚を見てくださったS藤さん。昨年も来られたという。黒一色のファッションがすっきり決まっていて俳優さんかと思ったが、一般のかただという。

「絵も、文章も、見れば見るほど迷宮にはまる」と言ってくださった。そんなに長い時間黙ってみてくださるかたはいないので感激した。

玄関入ってすぐに展示した私の絵「エロスとテロル」の前でかっこよく佇むひろき真冬さん。
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平田星司さんのお父様(前衛歌人)が昔、SM雑誌に小説を書いていたという話で盛り上がる平田さんとひろきさん。Sdsc00924

平田星司さんのお父様、織裳雪夫さん。当時、売れっ子の団鬼六が皆を引き連れて慰安旅行に行った時の記事とか。Sdsc00925

ポルトリブレの平井勝正さん。
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根本敬さん。
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閉廊前は彦坂尚嘉先生と語り・・
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軽く夕食をご一緒しました。

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2024年11月 2日 (土)

二匹展 4日目

11月2日(土)雨

二匹展、後半となりました。

寒い雨となり、夕方からは土砂降りになったりしたが、予想よりもお客様が来られた。

今日も花輪和一ファンの皆様がたくさん来られました。

カップルで来られた花輪ファンのかた、少しお話してから、男性のかたから「『デッサンの基本』を買いました」と聞いてびっくり。

花輪さんに会いに行ったことを書いていた私のブログから、私のことを知って購入してくださったという。

ものすごく驚いたのは女性のかたが、「きょうは福山さん本人がいらして感激しました。昔、中野ZEROで花輪さんと福山さんが対談されてた時に見ていました」と言われたことだ。

2006年?中野ZEROで映画上映した時、対談したんだっけ・・?花輪さんがスーツで来て、私が壇上で(確か当時の講談社の花輪さん担当の編集者さんからの)質問に答えたこと、花輪さんも質問に答えていたことは覚えている。

そんなレアなイベントをなぜ動画に記録しておかなかったのか、そのへんの記憶があいまい。「東京Walker」にイベント広告が載ったような・・。その当時、私はまだパソコンというものさえ持ってなく、ネットで宣伝した記憶はない。

花輪さんファンのかたたちは本当に息が長くて、よく調べてらっしゃるかたばかり。

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いつもとっても素敵なレトロファッションをお召しのタケイミナコさん。
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いつもとても丁寧な、編集者の鑑、佐藤美奈子さん。
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2回目にお友達を連れて来てくださった漫画家のドブリン!さん。
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右が筑摩書房の編集者の大山悦子さんの後ろ姿。美術について話が盛り上がったのに、お写真を撮り忘れてしまった。大山さんは現代アートをとてもよく見ておられる。
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それから母のケアマネをしてくださっていたMさんが来てくださった。Mさんは昔、演劇をされていたかた。Mさんは何年経っても全然変わらず若々しく見えた。

最後に来られたKさんは彦坂尚嘉さんのお知り合いで、私に興味を持たれたそう。絵を描かれているが、舞踏や役者さんを長くやられていたかた。

Kさんは15年くらい前に十二社の、まさに私の生家のすぐ近くのアパートに住んでいたと聞いて話が盛り上がった。共通の知り合いも多く、不思議なご縁だ。

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2024年11月 1日 (金)

二匹展 3日目

11月1日(金)

朝、彦坂尚嘉さんがfacebookに「二匹展」と花輪和一さんと私について丁寧に紹介してくださっているのに気づきました。

https://www.facebook.com/hikosakanaoyoship

たいへん恐縮に存じます。彦坂さんは「二匹展」最終日にも来られるとおっしゃっている。。重ね重ね恐縮です。

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薄暗い廊下の絵たち。

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窓際の絵たち。

今日も花輪和一さんのファンの方がいらしてくださった。

花輪和一の生の絵47点、未発表の新作多数。一挙公開中です。メールで参加できるオークションも開催中です。

phttps://blog.goo.ne.jp/anti-lion 

なんと、私が花輪さんへのオマージュ「花輪和一――生き延びた童女」を掲載していただいた『法政文芸』を買ってくださったかたがいた!

わ、いいんですか?という感じ。ありがたい~。

今日は私の大切な友人やお世話になっているかたたちがいらした。

私の次の本(沢渡朔さんが撮って下さった私の写真と、私の絵、谷川俊太郎さんの詩がはいった本)・・・(たぶん私の最後の本になるかも)を楽しみにしてくださっている希少なOさん。Oさんは私の大好きな紙関係のお仕事をされている。

日本画家の清野圭一さん。
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清野さんは何年も前からずっと変わらず、私に対して「芸術屋はたくさんいるけど、福山さんは本当の芸術家。数少ない尊敬できる人」と言ってくださるかた。

英米文学、アイルランドのミューラルに詳しい佐藤亨さんと、水声社の私の画集を担当してくださった(たいへんお世話になった)飛田陽子さん。
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私の画集の時は編集長だった飛田さん。

「今は違うのよ」

「今はなんていう役職なんですか?名刺ください」と言っても

「うふふ、言わなくていいわよ。うふふ・・私なんてうふふふ・・」となぜかはにかむ少女のような飛田さん。
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デザイナーで陶芸家の村瀬亜紀さん。しっかり作品を見てくれるかた。
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卓越した水墨画を描かれる新倉章子さん。新倉さんの水墨画は本物。
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新倉章子さんは本物の水墨画を長年真剣に勉強していらして、私が全く知らないことをたくさん知っておられる。

日本画学科を出た人たちがまったく教わったこともない水墨画のお話。

 

 

 

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二匹展 2日目

10月31日(木)

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後ろの棚に展示してあるのは32枚の花輪和一さんの色紙です。

この日も花輪和一さんファンがたくさん訪れてくださいました。ありがとうございます!

どこで「二匹展」を知ってくださったのかお聞きすると面白い。

X(Twitter)が多いが、意外にも高円寺の何カ所か(古書店などなど)に貼らせていただいたチラシ(コピー)を散歩の途中で見た、というかたが・・。貼ってみるもんですねえ。

私は昨日に引き続き血行が悪く、からだが冷えてしまい、午後3時過ぎくらいから首肩の凝り、頭重、浮腫などに悩まされる。

だるくてだるくて、遠赤外線パックを腰にあてていても寒いし、体調は最悪とは言えないが元気はない。

今日、個人的に一番印象に残ったのは、夕方になって来てくれたWさん(私のマッサージをしてくれている人)だ。

Wさんは絵なんてほとんど見たことない、展覧会なんて行ったことがない人なのだが、何度か施術のためにうちに訪れてくれて、私の絵や写真を見るたびに「すごい!今まで知らなかった世界を見せてもらってる気がする!」と感動してくれる人。

Wさんは、玄関を入ってすぐにかけてあった私の暗くて渋い絵を見て、

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「すごい!と思った。あれを見てしまったら緊張して、あそこから廊下を通って中に入っていいのか、と思った。」と言った。

絵を見たことが無い人が、そこで衝撃を受けて立ち止まるタイプの絵ではない、と私本人は思っていたので、その発言にとても驚いた。

 

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もっと驚いたことは、Wさんは私の今回の展示の中で一番大きな絵を見て、
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「これすごい!」と言ってから。その絵の横に貼ってあった

「「動物を食べない」と私が言うと、「じゃあ植物は殺して食べていいの?」と反射的に返してくる人がいる。
私は「あなたは植物を切るように平気で生きた動物のからだを切ることができるのか?」と問いたいのだが。

だが死の恐怖や痛みを感じて身を震わし、泣き叫ぶ生命と、芽を切ってもさらに伸びたり、土の下の根から再生したりする植物の生命、ただそこに開かれてあり、種子を飛ばし、伸びるところまで伸び、眠る動物たちを覆って、風に揺らぐだけの生命とを同等に考えられないことは、本当は誰でもたぶん気づいている。」

という言葉を読んでいきなり涙をこぼしたことだ。

「・・・わっ・・ティッシュちょうだい。泣けてしまう。文章が上手すぎる。無駄がなくて、すごく胸に刺さる」と言ってWさんは泣いた。

wさんも動物の肉を食べられなくて、周りの人にいろいろ非難されたりするのが辛いと言っている人。

「この絵を見て、この文章を読むから余計泣けるのかもしれない」とWさんは言った。

私はそんな素直な反応をしてくれる人がまさかいるとは思ってもいなくて、Wさんが泣いてくれたことに泣きそうになった。

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「植物もやさしさを示したり、苦しみを味わったりする」と主張するのは、決して超えてはならない境界線を越えている。植物は苦しまない。
苦しみとは、個体としての生物によって「実際に経験されるもの」だ。
死とは、決して後戻りできない、絶対的で不可逆的な終末だ。
――フロランス・ビュルガ

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「動物は他の動物を食べている。人間も人間以外の動物を犠牲にして生きるのが当たり前だ」と言う人がいる。
ライオンやトラが動物を食うのは本能だ。
肉食は単なる人間の文化にすぎない。動物を殺さない食文化もあり得るし、食べられない「本能」も私の中には確かにある。
・・

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〈動物のジェノサイド〉。〈これらのイマージュが「悲壮〔pathétiques〕」なのは、それらが悲壮にも、それこそパトスの、病理=感性的なも
の〔lepathologique〕の、苦痛の、憐れみの、そして共苦〔同情compassion〕の巨大な問いを開くからでもある〉。
            ――ジャック・デリダ 『動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある』より
・・

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〈先決的、かつ決定的な問いは、動物が、苦しむことができるかであるだろう〉という言葉をめぐって、語れる能力を持っていることを示すことではなくて、動物たち
の苦しみをどれだけ〈共に〉苦しむことが〈できる〉のか、どうしたらその苦しみを〈限界の周りで、限界によって〉〈養い〉、〈生成し、育成し、複雑にできる〉のか
ということだろう。」
——福山知佐子 「応鳴、息の犇めき——ジャック・デリダの動物論に寄せて」より
・・

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私は切断された植物のあいまいな生と死の瞬間を開く。

だが、植物に動物のような感情や痛みがあるとは思わないし、決して植物を擬人化したくはない。

私にはかつて生きていた動物の死骸の一部を展示するようなアートも収奪(動物の虐殺への加担)だと感じられる。

過剰な感覚身体で誰も見ようともしない遺棄されたものによりそい、誰も見ることのできないものを体験し、共通言語から遁れさる「パトスの、

病理=感性的なもの〔lepathologique〕の、苦痛の、憐れみの、そして共苦〔同情compassion〕」を証言することが私の絵の仕事だと思っている。

 

 

 

 

 

 

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2024年10月30日 (水)

花輪和一×福山知佐子「二匹展」初日

10月30日(水)

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「二匹展」の初日。

12時回廊前から花輪さんファンのかたがが窓ガラスから中を覗いていらした。

一番にいらしたのは花輪さんのコレクターのかた。 

それから漫画家の田房永子さん、私のブログを読んでくださっていて、本も持っていてくださると聞いてびっくり。感激。

ご夫妻で花輪ファンのかた。花輪ファンの方々はとにかく熱烈。

ちょっと珍しかったのは毛利武士郎さん(私の恩師、毛武彦先生の弟の彫刻家)ファンのかたで、ネットで検索して私を知ったというかた。

中国から来た若い学生さんで日本の漫画や映画が好きなかた。20歳くらいだと思うが、一番好きな日本の映画監督は鈴木清順と聞いてびっくり。私と同じだ!

寺山修司も好きという。鈴木清順監督はすごく映像がきれい、と。お若いのになんて趣味がいいのかしら。

高1の時の担任の先生が来てくださった!すごくお若い。本当にお変わりない。

そのほかもいろんな花輪さんファンのかたが来てくださったのだが、今は疲労で頭が回らず、記述できない。

そして夕方近くに彦坂尚嘉さんがいらした。

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彦坂さんは初めてお会いするのだが、昔の写真のイメージと違ってやせてらして紳士的なかただった。

絵を見ていただくのは怖かったのだが、私の絵に「写真画像で見るのと全然違う。固体かと思ったが、プラズマだ!こんな絵は見たことがない」と言われて驚愕、感激。

固体、液体、気体、プラズマとあって、プラズマというのは最も現代的という意味だそうだ。

「枯れた花を描くというとモンドリアンが浮かぶが、それとも違う」

「超一流。原芸術、芸術、反芸術、非芸術、無芸術のすべてがある」とまで言ってくださった。

「日本画科を出たと言われていたので・・」という話に

「日本画という言葉は明治時代に国威発揚のために作られた言葉なので、(油絵に対して)膠絵と言った方がいいと思っています。

そして絵は現代美術でないとだめだと思っています。私はほかの画家ともつきあいがなく、たったひとりで、ただ新しいものを作りたいと思って研究してきました」と言うと頷いていらした。

私の画集の枯れていく植物を執拗に追って描いた素描についても、

「私は写生をしない画家は駄目だと思っている。最近の画家はちゃんと写生をしない。ここまで描ける人を、こんな本を見たことがない。こんなこと誰もやってないでしょ」と言われた。

「花が開いて萎れて枯れていく時間を描きたかったんです。枯れて皆が棄ててしまうその先の、誰も見たことがないものを、1年後、2年後までも。

私の恩師、毛利武彦先生は、苦しくてもごまかさないで見えるところすべてを追って描いた素描をほめてくれました。これでいいんだと。でもほかのもっと若い日本画の教授には「もっと崩して」と言われました」と言うと

「ちゃんと見ないで雑に省略したりするのがいいとか、いつからそういうふうになったんだろうね」と。

「みんなものを見ていない。見ようともしない。今の現代アートは妄想だけだ」と、私がいつも思っていたことをそのまま言われた。

「外との関係ではなく、自分の中だけということですよね」

私の画集についても、想像していたのと違う、もっとネットでも説明があったほうがいいと言われた。

「T画廊で展示したいと2年前に言われてから、現代アートの文脈に結び付ける文章がなかなか書けなくて、と言われて保留されているんです」と言うと

「T画廊のYさんには書けないだろうな。この絵は現代アートとは違う。古い油絵でも日本画でもなく現代アートでもない絵があるってことを皆わかっていないんだ。

花輪さんの絵もそうだが、1流の上をいっている。二人の共通点は孤独だということ、誰とも違ういうこと、つまり極北だということだ」と、

うわ・・極北!ものすごい誉め言葉をいただいてしまった。

「二人とも買いたくなる絵だ。なぜならほかのどこにもないからだ」

「花輪さんにはファンの方がたくさんいます。けれど私は全く売れてません」

「一般人は絵を見ることができない。今、持ち上げられている有名な「日本画」の△△はとても通俗が入っている。けれどもこの絵には全く通俗がない」

と、毛利先生が聞いたら喜んでくださる言葉をいただいて本当に嬉しかった。

私の文章だけの本『反絵、触れる、けだもののフラボン』をぺらぺらめくっていただいただけで「すごい。これは○○には読めないでしょ」と。

○○とは有名な美術評論家で詩人。

(今までこの『反絵、触れる、けだもののフラボン』を一番理解してくれたのは谷川俊太郎さん、吉田文憲さん、鈴木創士さん、鵜飼哲さん・・・詩人でもほとんどの人は読めないと思う。)

そして一緒にいらした糸埼公朗さんにyoutubeのための動画を撮られた。私はレットヴィモ副作用の浮腫と眼の下の隈が恥ずかしいのでマスクをしていた。

彦坂先生のお話は盛り上がって、とうに閉廊の7時をまわり、8時40分くらいまでいらしただろうか。

私が3,4歳の頃から肉を食べられないという話も、ちゃんと聞いてくださった。

生肉や毛皮などをアートに使うことも、動物の命の収奪に思えて、私は苦手であること、

アートに肉を使うことは私には肉が動物の死体に見え、動物の生命を自己表現の道具にしていることで、自分が傷つきすぎるので、そういうものを見るのは耐えられないんです、と言うと「なるほど・・」と聞いてくださった。

「きょうはたいへんいい勉強をさせていただきました」と何度も言われた。そんな・・・

そんなにほめていただけるなんてまったく予想していなかったので本当に驚いた。

初日からありがたい出会いがたくさんあって胸がいっぱい。

 

 

 

 

 

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2024年10月29日 (火)

花輪和一オークションについて

花輪和一オークションについて

Kappato

詳細は あんちりおんのブログ  https://blog.goo.ne.jp/anti-lion

をご覧ください。

入札期間は10月30日(水曜日)午後12時から11月10日(日曜日)午後5時です。
入札はメールで受け付けます。

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花輪和一×福山知佐子「二匹展」のお知らせ

花輪さんの作品は全部で47点、過去最高の数の展示だと思いますので、皆様、見に来てください。

花輪作品の載っている「あんちりおん」、絵はがきも売っています。

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/ 

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「二匹展」明日からです よろしくお願いいたします

10月29日(火)

花輪和一×福山知佐子「二匹展」いよいよ明日からです。

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(部分)

私は体調が悪くならない限り、毎日在廊しておりますのでよろしくお願いいたします。

いつも個展は10日間くらいやっていたのですが、今年はレットヴィモの副作用でしんどいのでたった6日間だけの展示となります。

(蛇足ですが、体力的に非常に厳しいので、会期中は19時以降の夕食などのお誘いにはおつきあいできませんのでご了承ください。)

10月28日(月)

「二匹展」の搬入終わりました。

11時に篠原さんが来てくれて絵を一緒に運んでくださった。

とにかく作品数が多すぎて、どれをどこに配置したらいいのか考えるのがたいへんだった。

しかたなく棚の上部にまで展示。

下の写真の正面の棚にあるのが花輪さんの色紙ですが、最終的には色紙だけでも32枚の展示となります。

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そのほかに額に入れた絵が15点くらいだったろうか・・・計47点。

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花輪和一の生の絵がこんなにたくさん展示されるのは、(正確にはわからないけど)もしかしたら初めてかもしれない・・・。

30年くらい前に渋谷のアートワッズでの花輪和一個展の時に篠原さんも行ったというが、「あそこだって20点くらいだったでしょ。これはすごい量だよ」と。

個人蔵のものもあるので、全部ではないですが、そのうち(たぶん)21点を

会場にお越しになれない全国の花輪和一ファンの皆様のためにオークションします。

たぶん今日の夜にはこのブログとTwitterででオークションサイトをお知らせします。

そして私の作品も、間に合わないかと思ったのに、最後は加速度がついて40点超になってしまい、展示するスペースがなくて玄関や廊下、窓の内側にも展示。

二匹で100点近く展示ということになりました。

篠原さんは必ず私に「どうしたい?」と聞きながら進めてくださる。

絵の展示の設営は頭と神経を使って本当にたいへん。

導線に添って「どこに何を飾ったら印象的になるか、どの方向からどれくらい照明を当てるか」などを考える、非常にあいまいできりのない、それこそ芸術的センスを酷使する仕事だ。

篠原さんはものすごくお忙しいところを来てくださっていて、これから次の仕事場所に行かなけらばならないそうで、最後、私が画題のプレートを引っ付き虫で貼っている頃にはウトウト・・。

5時間半くらいかかり、私も疲れすぎて倒れそうだった。

最後に篠原さんは展示風景の写真を何枚も撮って

「すごくいいよ。いい展示だ」と言ってくださった。

なお物販(ポストカードなど)もいろいろあります。

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花輪和一×福山知佐子「二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションの入札締め切り日は11月10日(日)17時です。

オークションについては、私のブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

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2024年10月 7日 (月)

西新宿の生家の改築 最終日 パッションと宿痾

10月5日(土)

1階の奥の部屋。押し入れだったところを壁で塞ぎ、押し入れの外壁を取り除いて、そこに風が流れる(湿気がたまって家が腐るのを防ぐ)ようにしてくれていたのだが、今日はさらにそこに窓の穴を開けていた。

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押し入れだった部分の部屋側と廊下側にそれぞれ灯りとりの窓をつけてくれた。こちらは廊下側。

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1階奥の部屋。窓から蔦が見えるのがきれい。ここのガラスは透明にするかも。
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茶色く汚れた壁は最終的には白くなる予定。
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一階の手前の部屋と奥の部屋はピクチャーレールとダクトレールと照明をつけて、ギャラリーになります。

写真を撮るのを忘れたけれど、1階の手前の部屋と奥の部屋の間の壁はドアひとつ分ぶちぬきになっている。

玄関の下駄箱の上の壁に穴を開けて作った窓のまわりの壁(窓をはめるより壁の方がたいへんと言っていた)もできていた。
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もしかして徹夜した?


1階のトイレの扉と、1階手前の部屋の押し入れの扉に和紙が貼ってあったが、少し皺になっていた。

「この皺はまずいかもね・・日本画科出て何十年和紙貼ってるんだ、って言われちゃいそう。私、水で濡らしてやり直すわ」と言って

霧吹きで全体を湿らし、数分置いて、下のほうから両手でぴんと伸ばしながら和紙を剥いでいく。そして一番上のところをピンと左右に伸ばして張り直し、上から下にピーンと引っ張りながら貼り直した。

「すごい!きれい!」と言われる。私にもひとつくらいほめられる仕事があってよかった。

手前の部屋の押し入れは工具入れになった。
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手前の部屋と廊下の間の窓。ガラスが無かったところに、どこかで見つけて来たガラスをガラスカッターで切ってつなぎ合わせてはめてくれた。左側の曇りガラスには蔦の触手(ヤモリの足跡のような)がそのまま残してある。

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福山家出土品の一部。左の緑の瓶は「人體消毒液 リゾホルム」と書いてあり、床下から出て来た。
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1階の奥の廊下。時代本箱。アルミサッシは和紙を張った障子戸で隠す予定。
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いつか付けてもらう予定のキツネのノッカー。高円寺のMALTOさんのドアに付いていたもので、私が何年も前から熱望していたがもう在庫がなく、先日、思い切ってこれを譲っていただけないかお願いしたら売ってくださったもの。
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売っていただけるなんて思っていなかったので「嘘みたい!信じられない!嬉しい~!」と叫んだら「そんなに喜んでいただけるなんて本望です」と店主さんに言われた。

 

今日は私も疲労と副作用で顔も腫れて体調悪く、もう作業ができないと言ったら「天井に和紙を張るのだけ手伝ってほしい」と言われ、

「じゃ、やりましょう」と腹をくくったが、M・Mさん自身が(たぶん頭のほうが)疲労困憊で「できるかな・・・?もうちょっとだけ待って」と

玄関のところに座っていた。すごく朦朧としていそう。

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あまりにもM・Mさんがお疲れのようなので、自分でスツールの上に載ってみたら天井に手が届いた。紙の幅に鉛筆で線を引いて、その範囲に少し水で薄めた糊を刷毛で塗っていく。

最初の一枚は手伝ってもらいながら私が主導で貼った。ロール紙をぴっちり角に付けて、たるまないようにピーンと貼っていく。

この作業は私の一番の弱点である首(甲状腺癌手術の時に転移していた周りの筋肉を大幅に切除したため、頭の重さを支えきれない)と肩の筋肉を酷使するため、10分くらいで痛くて吐きそうになった。

2枚目を貼るための糊を塗っているM・Mさん。
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M・Mさんはよろけて薄めた糊を床にぶちまけたりした。もう疲れすぎて限界なのだと思う。汚れた床を拭いたり、木の削りカスを掃除するくらいは私でもできる。

そのあとM・Mさんは風呂場の床のセメント部分に塗料を塗っていた。いずれはバスタブを持ち上げて、その下を掃除するという。

ガスレンジ台も作りたいけど(そんなものまで作るの?)今日は無理、と。

大きなところでは、うちの出っ張っている玄関部分(大昔に増築したところ)を壊して隣家と接触している壁を無くしたほうがいいと何度も言われた。

隣家側の壁にセメントの防火スプレーをかけたほうが、万が一、隣が火事になった時にも安全という。

「玄関を屋根から壊すことなんてできるの?」

「手(バールと金づち?)で少しずつ壊せば」

「じゃ、私が生きているうちにできたらやってください。あなたの情熱と意志がもしあるなら」

午後3時過ぎまで作業。このあと彼は荷物整理して、夕方からは舞踏のレッスンに行く。そして今日の夜か明日には長距離バスで地方へ。

M・Mさんは最初の頃から作業状況を逐一写真に撮っていたが、ついにほぼ出来上がった部屋を撮りながら「すごくいいと思う。よくできた」と言っていた。

こんなふうに古い家を改築したのは初めてだという。

「もう二度とこんなたいへんな仕事はできないし、やりたくない」

1か月前くらいだったか、彼は「仕事のこと考えると(自分の納得する予定通りにできるのか不安で)心臓が痛くなる」と言っていた。

期限内に自分の納得するかたちで一旦終了できるように、よほど頭を使い、よほどいろいろ心配して自分を追い詰めたのだろう。

「Tさん(M・Mさんの友人でうちに泊まっていた人)にも、命削ってるねって言われた」という。

「あと5日・・・あと5日くらい作業すれば全部完成ですね」とぽつりと言われた。

最初のひと月は家具の破壊と、掃除、遺品整理、ゴミ出しからやってくれた。数えきれないほどゴミ出ししてくれた。

誰も考えなかった天井を落とすこと(80年近く溜まった埃とネズミの糞の掃除)、どの建築家にも無視された大変な作業、柱をジャッキで上げ、白アリなどで腐っている部分を切って継ぎ直し、土台石に載せることをやってくれたのも、表面的なことではなく根本の重要なことだから。

すべてこの古い家の命を本当に長く持たせるために。

誰も関心を持たない、私でさえ諦めていた遺棄されたものの命を蘇られせてくれた。

M・Mさんにはいろんなことを教えてもらった。ゴミの中から使えるものを拾い出して有効活用すること。買わないで自分で考えて作ること。

巨大に感じるものでも自分の手で破壊できること。破壊を恐れないこと。つくりかえたいと思ったらつくかえられること。

そういう実際の、本物の破壊と創造の行動を目の当たりにしながら、私は残り少ない命の時間にできることを考えていた。

私が本当に目撃したものは、どんなにハードでも(ほかの誰にも何をやっているのかを理解されなくても)自分が納得するところまでやり遂げたいという身に覚えのあるパッション。

やりたいと決めたら集中して、命を削っているとわかっていても心身ともに捧げてしまう身に覚えのある宿痾。

嫌いなもの、嫌いな人には徹底して関わりたくないという身に覚えのある宿痾。

私たちは時折、現代アートの話、あるいは「絵画」の話、表現の話をした。どんな「絵画」が好きか、どんなアートを酷く不快に思うか。

彼は私より遥かに現代アートのことをよく知っていて、最先端の現代アートのギャラリーに展示されたこともあって、けれど今はもうアートの制作はしていない。

中学時代に土方巽を知り、今はアートより舞踏していたほうがいいという。しかも舞踏を発表したいわけではないと。

「感謝してもしきれない」という陳腐な言葉では表せない。

私が生きているうちに、少しでも有効にこの場所を使えたらいいけれど。でもお金のために焦燥するのはよくない。できれば信頼できる人とだけ、楽しい気持ちで何かできたらいい。

・・

私も疲労で頭が朦朧として身体が動かなかったが、一旦帰宅してお茶を飲んでから17時過ぎに新宿へ出た。

花輪和一さんとの二匹展のために展示する作品を選び、合う額があるものはそれを使い、額がないものは発注する準備。

21時過ぎに帰宅。午前2時すぎまで眠れなかった。

・・・・・・・・・

「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ
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会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、私のブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/japanese-style-paintings-1-%E8%86%A0%E7%B5%B5/

 

 

 

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2024年10月 6日 (日)

西新宿の生家の改築あと2日、玄関のドアクラッキング塗装取り付け、ラストスパート

10月4日(金)雨のち晴れ

西新宿の生家の改築はいよいよ明日の昼で一旦終わり。

玄関のドアのニス仕上げをするのに、今日は晴れでばっちりと思っていたのに、昼から結構降っていた。

雨に濡れて陽が差してきた十二社の石段。ヒメムカシヨモギが美しい。
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石段の中ほどにあるホテルニュー寿(アラーキーご愛用だったらしい)だったところ(廃屋)の入り口。
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昔の風情をわずかに残している。塀の中をのぞくと、黒電話の入った箱などが見える。地主のJ寺はここを潰すつもり?
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今日はまず、9月から今までのお支払いをさせていただいた。

M・Mさんの細かい作業日誌による時給×時間の計算で、〇〇万7800円をお支払い。7月、8月分の額の1.6倍。9月から一日の作業時間が長くなっていてどんどん過労気味に。

(私のブログを見てM・Mさんにお仕事を依頼したいと思ったかた、ちゃんとお金を払ってあげてください。ただM・Mさんはお金のための仕事はしない、やりたいと思った仕事しか引き受けないそうです)

日誌の手書き請求書にサインしたものをくれた。「字、書くの速いし慣れてるよね。子供の頃、習ってた?」

「はい。中学の時は生徒会の書記でした」

「うわ!」

「誰もやりたがらなくて時間がもったいなかったので、犠牲的に立候補して・・・選挙ではどういう学校にしたいかを演説しました」

そういうキャラには見えないけど。



一階のトイレの下側についている窓が壊れていたのを作ってくれている。こんなことまで・・。
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トイレの窓を外からはめているところ。左隣の家は廃屋で、うちと同じくらい古い(戦後1年目に建った?)。その家とうちのあいだは狭くていろんなガラクタと朽葉が詰まっている。
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手前に写っている鉄の台は、M・Mさんが見つけて、その上にエアコンの室外機を載せてくれた。

私は防ガスマスクをつけて玄関のドアの外側に透明な飴色の油性ニスを塗り、乾いてからドアをひっくり返してもらって、ドアの内側に水性ニスを塗った。

M・Mさんは大量の作業服をいっぺんに二層式の洗濯機に入れていて「水が回転しない」という。粉の洗剤も全然溶けてなく、素手を突っ込んでかき回した後、乾いたタオルでぱっと手をぬぐっていたのでぞっとして「強アルカリだよ。ちゃんと手を水で洗わないとかぶれるしアレルギーになるよ」

若い人は昔の二層式の洗濯機なんて知らないのだ。洗濯槽の水を抜いて洗濯ものの半分を脱水機に入れ、残り半分にたっぷり水を入れたら普通に回転した。

「洗濯物が多すぎて重すぎで回らないのよ。半分量で洗い、脱水、水を変えるを3回繰り返すんですよ」

「勉強になりました」

もう明日には旅立つので、冷蔵庫の中のものを使い切るために、M・Mさんは手慣れたスピードで玉ねぎをトントンと微塵切りにし、バターとオリーブオイルで炒めた。
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大根は1cm角に切り、ニンニク、キノコも入れて塩をふって炒め、しんなりしたら昆布だしと牛乳を入れ、土鍋で炊いて冷蔵していた麦と玄米を加えて、クリームリゾット。

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ニスが乾いたドアを玄関に取り付けるのがたいへんだった。重いドアを持ち上げてもらって、蝶番の穴を木にあいている穴に合わせて、私が生まれて初めて使う電動ドライバーでネジを止めていった。電動ドライバーの快感。すごく楽しい。

重たいドアを外した時になぜか固まって動かなくなってしまった金具(クローザー?)を金づちで叩いて直すM・Mさん。

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玄関にドアがついたところ。
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左側の茶色い木の部分(これもドアで、本来は開くのだが錆びついていたのをM・Mさんが直した)を白いクラッキング塗装にしようと思い、はずして水平に置いてもらったら、白い塗料がなかった。

「ベージュの塗料でいいっすよ」

「やだ。白でかすれたクラッキングにしたい」

「緑(薄荷色)でいいっすよ」

「ん・・・と、私は画家なので自分の色の感覚に合わないことは妥協したくないの。彫刻家の人は色はどうでもいいのかもしれないけど」

しかたないので水とスチールたわしできれいに洗って、ドアの上についていたクモの巣とドアの下の泥も掃除して元の位置に戻してもらった。

カフェ板を敷いた部屋の隅の隙間に数cmに細長く切った板をはめた部分、さらに細くあいた隙間に2mm~5mmにスライスした板をはめて金づちでトントン叩く。最後の1mmくらいの隙間はパテを詰めるという。実に几帳面。
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私も手伝って昨日パテで埋めた木の継ぎ目の部分を、やすりのついた器械で研磨してつるつるにする。この作業はものすごく粉が舞い、玄関の空気が白濁したので急いでドアを開けて防塵マスクをつけてもらった。あとでもう一度上から白い塗料を塗るらしい。
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1階の手前の部屋。
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1階のトイレに余ったカフェ板を敷き詰め(もったいないと思う)、水道管の水漏れしている部分を直してくれているM・Mさん。
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M・Mさんは本当に必死に、仕上げられるところをンどんどん仕上げてくれていっている。

私も普段使わない筋肉を使い、一度もやったことのないことをやっているので全身筋肉痛で頭が朦朧とするのだが、彼はものすごく疲れていると思う。

なにしろ設計図もマニュアルもない作業を、すべて彼一人の頭で考えながらやってくれているのだから。

彼は以前、鬱になったことがあるという。彫刻をやっている時、どんどんハイになって、やり終えた時にその反動で鬱になると。

どんな感じかというと「枯れた感じ」。何も喜びを感じられない、何にも感動できない。それは脳に負担をかけ過ぎたあとのバーンアウトだろう。

彼は一見おっとりしてるように見えて、実際は私よりずっと非論理的な感覚が激しい。

「あの場所は嫌(なんとなく陰気)な感じ。ずっといると具合悪くなって耐えられない」(なぜ?と質問しても明瞭な応えが得られない)、「あの人は嫌い、フリーダムを演じてる感じが」とか(これは非常に共感しやすい)、私が意識していなかったことをいきなり言われる。

ものすごく芸術家気質で、独自の嗅覚でいちいち不安や嫌悪を感じているので消耗しやすいのだ。

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「花輪和一×福山知佐子 二匹展」のお知らせ

会期:2024年10月30日(水)~11月4日(月)

時間:12:00~19:00(最終日は17:00まで)

場所:GALLERY工+with 東京都杉並区梅里1-8-8 梅里1-8-8ビル101 

昨年秋に私が個展でお世話になったギャラリー工さん(丸の内線新高円寺駅すぐ)でやります。

https://www.ga-kou.com/

ギャラリーにお越しになれない方のために、ネットオークションも開催する予定です。

オークションについては、このブログでお知らせしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

私のHPです。https://chisako-fukuyama.jimdofree.com/japanese-style-paintings-1-%E8%86%A0%E7%B5%B5/

 

 

 

 

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