8月15日
5月末にいきなり始めたダンスの記録。
昨年の10月と11月に母とちゃびが亡くなった。亡くなるまでの激しい緊張感と、失われてからの悲しみで、すっかり疲弊してしまっていた。
一時、体重が40kg(身長162cm)まで落ちた。
このままでは心身ともにだめになる。運動して食欲増進して、少しずつでも筋肉をつけなければ、と焦った。
ほとんど座りっぱなしで運動に縁がない私。もちろんジムなどにも行ったことがなく、体重計の筋肉量は常に標準にみたず「少ない」を示す。
気を紛らわすためにも、無理やりにでも身体を動かしてみようかと思い、5月末にダンススタジオに入会した。
ダンスは18歳の頃、新宿の店で踊りまくっていた(無料券をやたらにもらっていたので、また、深夜でも歩いて帰れるところに家があったので)以来だ。
5月30日(水)
ヒップホップをやろうと思ったのは、私のイメージに反するジャンルをやってみたかったからだ(ヒップホップの音楽自体は好きではない)。
しかし、初めてのダンスレッスン体験に、若くてはじけたTM先生のヒップホップを選んで、すぐに後悔。
30分以上かけて歩いてスタジオに着いた時にはすでに滝の汗。なのに飲み水も持参し忘れ、すごく疲れる(外の自販機で買えばよかったのに買わなかった。今思えば危険すぎる行為だ)。
ほかの皆さんは3年以上やって慣れている人たち。
私は初めてなのに真面目にマネしてついて行こうとしたのが大失敗だった。
とにかくジャンプしっぱなし(いきなりの有酸素運動)で、息があがってしまい、気持ち悪くなる。
TM先生からは「初めてにしてはうまいですね」とほめられる。ほかの生徒さんにも「からだが柔らかい。運動神経がいい。」と言われて、え??と驚く。
使ったことがない筋肉を使い、全身が熱を持ってかっかした。3、4日は筋肉痛でひいひい。
6月4日(月)
ダンススクールの代表、S先生のヒップホップ(私ひとり)。
芸能人ぽいギラついた人だったらどうしよう、と思ったが(笑)、穏やかで誠実そうな先生でほっとする。
TM先生よりは初心者に丁寧。「リズム感はいい」と言われる。
アイソレーションで首の前後左右の動きを真面目にやりすぎ、翌日、むち打ちのような痛みで嘔吐。この首の運動がいやでヒップホップを断念。
6月7日(木)
TK先生のLock(Rockではない)。私のほかのメンバーは団塊の世代っぽいおじ様がふたり。
トゥエル(腕を回す)が楽しすぎる。
さっそく整骨院の若い踊り好きの子にやって見せて「すごい。本格的ですね。」と言われる。
6月14日(木)
うちにちゅび(ぴょんすけ)がやってきた!片時も目を離さずに世話が必要なので、しばらくダンスはお休み。
7月30日(月)
ちゅびも授乳しなくてよくなり、友人にちゅびを見ていてもらえる夕方に、ダンス再開。日焼けを気にしないで自転車で行けるのは楽だ。
M先生のジャズの基本レッスン(私ひとり)。
M先生は小さくてかわいい女性だが、筋肉の強さ、しなやかさ、特におしりの筋肉の盛り上がりがすごい。
1時間もやる柔軟体操が辛い。特に左の太ももが固いので痛い。
そのあとはバレエのタンジュ、プリエ、パッセ。これは辛くなくて楽しい。
M先生にも「からだが柔らかい」と言われる。バレエをやっている先生に言われるんだから、私はこれでも柔らかいほうなのか?
7月31日(火)
「ほぐし」のMさんに全身筋肉痛をほぐしてもらう。(店長のOさんは暑さで体調を崩してお休み。)
Mさんもバレエをやっていた人で、身体が柔らかすぎて、腰痛、肩こりなどは経験したことがないのでわからないというツワモノだ。
やはり腰などはほかの人より柔らかいと言われた。異常に固いのは首だけだと。
8月6日(月)
ジャズの2回目。
やはり柔軟体操が長くてきつい。誰も痛いと言わないのに私だけが、床にかかとやおしりをつけると骨があたって痛い。
ディズニーのアラジンの中の「friend like me」という曲に合わせて振り付けを踊る。
もうひとりの生徒Kさんに、「きょうで2回目です」と言ったら驚かれた。Kさんも3年以上やっているそうで、「私は初めの頃はぜんぜん踊れなかった」と言われた。
一回のレッスンで振りを覚えきれなくても普通なのか、とちょっと安心した。
8月11日(土)
受付でスタジオ代表のS先生に「福山さん、久しぶり!あれからどうしてたの?」と声をかけられた。
「Lockやって、ジャズやって、きょうはアニメです。ヒップホップは首のアイソレーションがきつくて、翌日、むち打ちみたいになって吐きましたよ~。」
夜9時からH先生のアニメーションのレッスン(私ひとり)。
H先生は21歳。イベント企画の仕事もしていて最先端のダンスに詳しい。私と身長は同じくらいなのに顔がすごく小さい。
私のやりたいのは「飛んだり跳ねたりの元気系ではなく、不気味で気持ち悪い系」だと訴える。
ウエイブを教えてもらう。ウエイブはすごく楽しい。それからポップの基礎の腕で叩く動き。
短い振り付けを踊る。「これはそうとう気持ち悪いポーズ。」という止めかたを教わる。
H先生がやっているのは、最近は「アーバン」と呼ばれているジャンルだそう。
きれい系のジャズか、ストリート系か、選んだほうがいいと助言を受ける。どっちかを一生懸命やるともう一方はできなくなる、と。
8月13日(月)
ジャズ3回目。きょうはKさんのほかに、お盆休みだという男性も来ていた。
身体作りの基礎としてはいいのかもしれないが、ジャズダンスは私のやりたいダンスとは違う気がする。
わたしのやりたいのは軸を崩した変則的なダンス。
8月14日(火)
J先生のソウル、パンキング、ワッキングのレッスン(私ひとり)。
曲としてはソウルに合わせて踊るのが一番慣れているし、好きだ。
カウボーイステップ(ステップの最後に投げ縄)、ティルト。
腕のワッキング(腕を後ろから大きく回して、手の甲が顔のすぐ前をかすめるように後ろに回転させ、肘を上げ、背中に曲げた手を、また前に投げる)を教わる。「初めてでできるなんてすごい」とほめられる。
J先生は気どりがなくてダイナマイトボディの女性。鞭のような力強い動きが黒人のよう。黒人とのクォーターで、黒人になりたくてたまらなかったのだという。
スマホで音楽を検索している時、「私はスマホもケイタイも一度も使ったことがないんですよ」と言ったらすごく驚かれた。
「メールとかラインとかしょっちゅう来たり返事したりするのめんどくさいじゃないですか。駅で待ち合わせして会えない時は呼び出し放送。手紙でしか連絡できない友達も多いです。」と言ったら、「すごい。ほんとの自由人ですね。」と言われて、ちょっと嬉しかった。
スマホで検索して、昔のダンスナンバーを見せ、「うわ、楽しい~」と盛り上がる。昔の新宿の話も。
「福山さん面白すぎる。もっと話聞きたいからまた来て。」と言われる。
夜更けの裏通りを自転車で走るのがとても楽しい。
暗闇の中の薄紫の百日紅(さるすべり)。しおれた向日葵。黄花コスモス。しぼんだ白い槿(ムクゲ)。旺盛なヨウシュヤマゴボウ。エノコログサ。アカザ。メヒシバ。オヒシバ。
しばらく計っていなかった体重は44.7gだった。少しずつ筋肉がつきますように。