アガンベン

2022年9月21日 (水)

もうすぐ個展 / 上村忠男先生からのメール

 

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小菊(和紙、岩絵の具、水干、膠彩)

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星見草(和紙、銀箔、墨、岩絵の具、膠彩)

2022年9月26日(月) ~ 10月2日(日)
吉祥寺ギャラリー gallery re:tail »

福山知佐子個展「花裂ける、廃絵逆めぐり」 (thetail.jp)

リテイルの地図

吉祥寺駅を出、「中道通」と書いてあるゲートをくぐり、まっすぐ進み、10分ほど歩いて「NAKAMICHI」というゲートをくぐったらすぐ左に見えます。

よろしくお願いいたします。

9月21日(水)

3日前、マッサージに行くために台風の豪雨の中をたった10分歩いただけでずぶ濡れになって冷えてしまい、その後、のどの痛みと鼻水が続いている(熱はない)。

今日もマッサージに行き、帰宅後、この秋初めての使い捨てカイロを腰に貼って養生中。

個展を前にして絵の制作に過集中になり、急に疲れが出てしまったようなので、3日前から制作をやめて事務仕事に入っている。

個展の7日間は毎日在廊するつもりなので、体調をしっかり整えたい。

・・・

帰宅してPCを見ていたら、上村忠男先生からメールが届き、信じられない。ありがたい。

上村忠男先生の『アウシュヴィッツの残りのもの――アルシーヴと証人』(ジョルジョ・アガンベン著、2001年、月曜社)を読んでいたく感銘を受け、私はそれがきっかけでジョルジョ・アガンベンに惹かれた。

この本は、「大量殺戮」の「これ以上に真実なものはないというくらいにリアルな事実。事実的諸要素を必然的に逸脱してしまっているほどのリアルさ」をめぐって、「事実と真実、確証と理解のあいだの不一致」をめぐって、

「生き残って証言する者たちは証言しえないものについて証言しているのだ」ということをめぐって書かれている。

ずっと上村忠男先生に拙画集をお送りさせていただきたくて、なかなか上村先生のご住所がわからなくて、また緊張と躊躇いがあって、やっと最近お送りすることができたのだが、まさか届いてすぐにメールをいただくとは夢にも思わなかった。

アガンベンの『書斎の自画像』から文章を引いてまで書いてくださった、メールのお言葉があまりにありがたく、畏れ多くて身体が震えた。

 

 

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2022年1月 7日 (金)

年末から年始までの過緊張、イタリアへの宅急便

12月5日(日)

イタリアへ画集を送ろうとしたら、航空便もEMSも今はやっていないと郵便局で聞いてショック。

ほかの会社に電話で問い合わせると、画集1冊送るのに、FEDEXは1万円超、DHLは13000円超、佐川急便は8800円(DHLに委託すると言うが、なぜかDHLより安い)、最後に問い合わせたヤマトで3200円だったのでヤマトに決定。

12月9日(木)

イタリアへの荷物について、中身が見えるようにしないと受け付けない、電話番号が記入されていないと受け付けないという。テロ対策強化で今年からのようだ。

そして今日また「個人での発送は相手方に関税がかかる」と言われ、「自分が関税を払う」にチェックしていたために突き返され、もう一度電話でヤマトに問い合わせると、稀に相手方に関税がかかる、が、イタリアの配達員の気分による、と言われ・・・たいへん疲れる。

12月19日(日)

イタリアへの荷物(画集)は、今、中国にいるらしい。

12月21日(火)

信じられないことに、画集(ギフト)に関税がかかり、イタリアの友人に代行で支払いをお願いした。

12月24日(金)

ヤマト運輸追跡で、画集が「住所不明」で2度、持ち戻しになったことを知る。関税も払ったのに。配達人が細い路地の奥の住所表示を見つけられないらしい。

12月25日(土)

日本のヤマト運輸から電話があり、先方に電話がつながらないと言われる。絶対にその電話番号で合っている、と答える。27日までにイタリアの受取人がセンターに電話しないと「凍結」になると言われ、焦る。

しかしイタリアの友人からはそんな電話は来ていないとメールで言われる。25日は休日だから配達は休みだし、言っていることがおかしいと。

12月27日(月)

やっと、画集が先方に届いたという連絡をイタリアから受ける。

・・・

年末から年始、仕事納めもなく、ずっと精神的にフル稼働し、緊張感が抜けなかった。

(正月の食べ物はいつもと同じ、玄米、紀州南高梅の減塩梅干し、海苔、かつおぶし、ブロッコリーや白菜と魚介のスープ。いつもと違うのは近所のスーパーで日本酒「七田」が手に入ったことだけ。)

ようやっと出来た画集を、今まで大変お世話になった方々、見ていただきたい方々に送る作業。ひとりひとりの顔を思い浮かべ、今はどうしておられるのか思いを馳せ、直筆のお手紙を書く。その思いが強すぎて、意識できないがたいへんなエネルギーを使ったようだ。

私がお世話になったかたがたは80歳超え、あるいは90歳超えのかたもおられるので・・・心配で、苦しくて、

阿部弘一先生のご自宅に勇気を出してお電話して、阿部先生が10月から入院しておられると伺ったときは胸が塞がれて卒倒しそうになった。

あと数か月早く、画集を作っていれば、と自分を責めたり・・・どうしようもなく苦しんだ。

1月4日(火)

いつもお世話になっているマッサージ店の仕事始めには、電話するのが遅れて予約が取れなかった。

Sクリニックに星状神経ブロック注射に行く。数時間はからだが温かくなり、少しだけ緊張がとれる。

体じゅうがずっとがちがちで、寝る前にレキソタン(筋肉が弛緩するタイプの精神安定剤)を飲んでも、4時間くらいは眠れても明け方に目覚めてしまったり・・・なかなか根本的な緊張がとれない。

いくつかとても嬉しくありがたいこと(味戸ケイコさん、笠井久子さん、水原紫苑さん、丹生谷貴志さんをはじめ、予想していなかった人たちからの思いがけない反応など)もあった、しかしそういう経験も脳が興奮して熱くなって、とても負荷がかかっているような感じ・・・

1月5日(水)

初めて行くマッサージ店でスポーツトレーナー経験のある店長さんにマッサージしていただいた。そのあとはやっと少し背中のツッパリ感がとれ、からだがだるくなった。

1月6日(木)

雪が降りしきる中、植物に積もった雪の写真を撮りに、近所を30分ほど歩き回る。

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枯れアジサイに雪。

1月7日(金)

朝、積もった雪が光るのを撮りに散歩。鳥が蹴った高い枝からバサッと雪が落ちて、陽光の中にキラキラ舞うのを眺める。
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おなじみのS村さんにマッサージしていただいた。「いつもと違う。すごく硬いし、痛がって手に汗かいて、神経が疲れてるみたい。」と言われる。

いろいろ精神が疲れることはあった。とりわけ嫌な疲労は、私が画集を送った人(20年来の知人)が、彼のブログに著作権を無視して、私の画集の中身の写真(アガンベンの全文や沢渡朔さんの写真を含む)をたくさん載せてしまったこと。私の担当編集(水声社の編集長)さんからも「著作権侵害に引っかかる、営業妨害」と言われ、何度もメールで修正削除をお願いするはめになった。

彼は私の絵や、画集の論考についての感想をちゃんと自分の言葉で文章化してくれる気はなく、ただ安直にたくさんの画像を無許可で載せていた。

そのほかにも画集の値段を間違えたり、私がじかに授業に出ていた恩師である若林奮先生について、なぜか私が「私淑していた」と書いていたり・・。

そして何度にもわたる修正のお願いと確認のメールのやりとりの最後には、「愛人の写真をお見せしましょう」と愛人の水着写真を添付してきた。

私が真剣に作った画集には興味がないのでしょう。けれど、私はなぜ、余計なセクハラを受けなければならないのだろう。

非常にストレスを受けたので担当編集さんに全部そのメールのやりとりを転送したら、とても感情のこもったお電話が来た。やはり「ものすごく気持ち悪い。異常に非常識」と。

 

 

 

 

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2021年12月18日 (土)

福山知佐子画集『花裂ける、廃絵逆めぐり』発売されました

 

福山知佐子画集『花裂ける、廃絵逆めぐり』

水声社より発売されました。3500円+税

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帯「花とは何か?花は、生けるものが世界に向けてかくも開かれてあるところ、生けるものが我を忘れているところにある。
――ジョルジョ・アガンベン 巻頭文「花――福山知佐子の絵画のために」より

ほかに水沢勉さん、鵜飼哲さん、鈴木創士さんの論考掲載。全192ページ、うちカラー48ページ。


カバーの背側。カバーの背側。
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花の時間を追った膨大なデッサン(素描)の中から選んで、構成して、写真撮影をしていただいて、そのあとのきりのない修正、調整、校正・・・結局5、6年かかったような・・・あまりにも紆余曲折あって苦労しすぎて、まだ嬉しいという実感はわいてこなく・・

まだ張りつめた緊張のほうが強いです。

どうか多くのかたに手にとって見ていただけますように、祈っています。

水声社の本はアマゾンとは契約がありません。全国の書店から、在庫のない場合は注文で取り寄せでき、

あるいはアマゾン以外のhonto、e-hon、楽天ブックス、セブンブックス などなどのネット書店からお求めいただけます。

なにとぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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2019年12月14日 (土)

岡田温司さんトークイベント「知識人と書斎――アガンベン自伝に見る書斎のかたち」

12月8日(日)

岡田温司さんのトークイベント「知識人と書斎――アガンベン自伝に見る書斎のかたち」を聞きに日本橋、コレド室町の中の誠品生活へ。

月曜社の小林さんより、月曜社の最初の本が『アウシュヴィッツの残りのもの』(上村忠男、広石正和訳)で、これが一番売れたとのこと。私もこの本で初めてアガンベンの思想に出会い、強く感銘を受けた。

岡田温司さんは予想していたより柔和なかたで、お話も軽妙で楽しかった。

『書斎の自画像』はハイデガーとの出逢いから始まり、それからは時系列ではなく、自分の書斎にあるものをアガンベンが見ることによって思いつくままに綴られている。

――お話の断片的メモ――

生きる形式と存在の様態が区別されないのはフーコーの影響。 

エピゴーネン・・・有限な存在であるということ。過去のテキストを独自の形式、新しい読み方で受け継ぐ考古学。発展可能性。

ハイデガーの存在論を乗り越える。存在と存在者を区別しない。

哲学と詩作。ポエジーの問題。コミュニケーション(伝達)に限定されない言葉。

岡田さんが最初に訳されたのは『スタンツェ』。

『イタリア的カテゴリー』「西洋の言語はますます哲学と詩のあいだで引き裂かれてしまい、一方は悦びなき認識へと、他方は認識なき悦びへと向かってきたのだが、いまや急を要するのは、哲学にそれ本来の悦びを、詩にそれ固有の認識を奪還することである。」

ダンテ論執筆への岡田さんの期待。

パゾリーニとの関係。

アガンベンは悲観的、黙示録的(「歴史の終わり」を語る)とジョルジュ・ディディ=ユベルマンにも言われているが、悲喜劇である。

コメディ・デラルテ、プルチネッラ・・・アイロニー、ペーソス、諧謔

トト(喜劇王)、人形劇仕立て

身振り・・・目的や意思にしばられない。ギャグ。

「大きな鳥と小さな鳥」・・・サン・フランチェスコの小鳥への説教。喜劇仕立て。

発想のアルケー。

ドゥルーズ追悼文においても「セルフ・エンジョイメント」の思想について言っている。

無為・・・無活性とは違う。常識的に考えていることを無為にする。行為する時の潜勢力。通常のやりかたをエポケーして別のやりかたでやる。

言語の別の使い方。

ジャン=リュック・ナンシー『無為の共同体』・・・共同体の別の可能性。

『書斎の自画像』の巻末・・「草」についての記述。ドゥルーズの動物の生成変化の向こうをはる。アガンベンの弟子エマヌエーレ・コッチャの著作『植物の生の哲学』。

植物は、世界があるとはどういうことか、生命が世界と結びうるもっとも基本的な関係を体現している。

ハイデガーの『放下 (Gelassenheit)』における星々 カント的・・・見上げるもの。それとは対称的な、草・・・足元の・・・。

京都からおいでになった岡田温司さんと。

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コレド室町というところに初めて来た。私には食べられそうな店が無かったので、キラキラしたイルミネーションだけを見て帰宅。
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